2024年11月18日

『財務省 解体』がSNSトレンドに

個人的には厚労省外郭団体も解体して欲しいところですが。。。w
まあ、実際に解体されても困るので、提言ということにしておきましょう。もし私が医師会長になったらとのお題で。
1.国に対して、診療報酬を上げろ といっても聞くはずがないので、まずは規制緩和を求める。
2.地域の医師会での活動を盛り上げるために、表彰・名誉を配る。
を行いたいと思います。どちらもほぼ無料で簡単に出来ることがポイントです。
具体的には1は特に赤字傾向が強い病院に向けての施策になります。『病床のうち差額ベッドを設定できる数や割合の制限を撤廃する』事から求めます。先日お話した差額ベットの数は決まっており、法改定しなくても解釈で変えられますし、変えられないのなら選定療養費での追徴ベッド代を取れるようにすれば良いのです。差額ベッドの次は個室の制限も撤廃を求めます。ヨーロッパでは50%以上、アメリカでは100%個室でないといけないのですが、日本では個室は19%程度です。もっと個室を増やしてよいと規制緩和してもらいます。診療報酬はそのままでも病院収益が少しは増加するのではないでしょうか。昨今のオーバーツーリズムで値段が高騰する前のビジネスホテルより安い宿泊費自体がおかしいと感じないといけないのです。
2はその地方で頑張っている医師や医療機関に向けて栄光を与えるのが目的です。赤ひげ大賞などは日本医師会でやっておりますが、先鋭的な方が受賞されることはすくなく長く地域貢献している方などが受賞されているようで、あまりメディア受けもしません。その地方で特別症例数の多い方、保険での検査や治療でありながらその地方で唯一行っている医療機関などを啓蒙で周りに伝えて奨励します。実はガイドラインの関係上、この症例数が一番多いとか、県内でこの検査治療を行っているのはウチだけだ!とかの広告は医療機関では打てないのです。従って、医師会やマスメディアから言ってもらう形になります(有料だとガイドラインに抵触するので無料なのがポイント)。そうすればその方のモチベーションにもなりますし、給与なども上がることでしょう。
ではどのタイミングで打診するのが良いのか? 実は今が良いのです。政府から無理難題を言われながらも9割以上の医療機関でマイナンバーを利用できるように医師会で協力しました!、12月にはいるとマイナンバー利用でのトラブルがまた増えるでしょうから、今のうちにお礼としての規制緩和を政府に求めるのがよい時期なのです。

2024年11月13日

この2年間で9割以上の医療機関でマイナンバー受診できるようになりました!

全国11万弱の医療機関のほとんどでマイナンバー受診ができるようになりました。この11万という数はどれくらいになるか、考えてみました。全国のコンビニの数5万6千件、全国の郵便局の数2万4千件、ラーメン屋の数2万5千件、すべてを足したくらいの数になりそうです。全国のコンビニ、郵便局、ラーメン屋さんでマイナンバーが利用できるようになったと考えると、すごいことですね!
実際には薬局でもマイナンバー受診できると思われますので、もっと多くの施設でご利用できるようになっております。
医療機関側はここまで協力したので、これでマイナンバーカードを利用しないのでしたら医療機関の責ではありません。


2024年10月4日

経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト)にも今年度から栃木市の助成が出るようになりました。

2011年に最初にお話したフルミストにも今年度から栃木市の助成金が認められるようになりました。この経鼻ワクチンは2歳以上19歳未満まで薦められています。生ワクチンのため、従来の不活化ワクチンより長期間持つ可能性も高く、また全ての株での対応のため毎年当たり外れが少ないことも良いですね。もちろん一回接種、痛みがないワクチンですので希望者が今後増えてくると思われます。
一時期アメリカでCDCが薦められないとした時期がありますが、副反応などが原因ではなく、効能効果の問題で生ワクチンで保存方法や輸送方法の問題ではなかったかと思われます。日本でも生産するようになり薬事承認が今年通りましたので今後爆発的に利用されるようになると思われます。現在はまだ在庫がありますが、しばらくすると在庫切れになると思いますのでお早めに。

2024年9月25日

サワシリンやMINOでの近年の薬疹の増加につきまして

直近のデータではありませんが、以前に比べ近年2011年-2016年での抗生剤での薬疹頻度が高くなっているとの論文を読みました。筆者は使用頻度が高くなっていることが理由の位置づけでした。この2017年など梅毒が激増した時期であり、それに伴い使用率が高くなった可能性もあるため当時の使用法は仕方がない部分があると思われます。しかしそのような理由があるわけでなく、政府が主導するこれらの抗生剤などにさらに集中処方されるとなると、今後薬疹頻度はさらに高くなると怖れられます。

J-Stage 薬疹の変遷と診断より

2024年9月11日

国政策のピットフォール!?

国は抗生物質の処方に関して安全性の高い薬?として認定される薬剤を多く処方した場合に加算をつけておりますが(抗菌薬適正使用体制加算)、この安全性は耐性菌問題を主に考えており、効能・効果や薬疹発生頻度が含まれていないと思われます。皮膚科的には国が指定した安全性の高い薬剤は薬疹報告例が多く、長期処方は控えたいと考えるのが当たり前だからです。また皮膚科では好中球遊走能を抑える為になど感染症対策でなく抗菌薬を使用する疾患も多数あり(水疱性類天疱瘡や持久性隆起性紅斑、色素性痒疹など)、皮膚科の先生ではこの抗菌薬適正使用加算を取るのは難しいと思われます。逆に加算をとっている皮膚科があるとしたら、そこは皮膚科がメインではないのかもしれません。
直近では国が指導し薦めているためにか、この薬疹を生じやすい抗生剤の処方割合がここ数年で著名に増えており、薬疹の頻度も高くなっていると感じます。本日も薬疹疑いの方の診察をしました。政策を打ち出す前に薬疹の頻度なども分かる先生が委員会にいらっしゃると良かったのですが、こうなってしまった以上国の加算をとる前ととった後での薬疹の報告例の上昇をデータで伝えるしかありませんね。

2024年7月26日

茨城県でも軽症者の救急搬送で選定療養費を徴収へ 12月から

松阪市での事例を皮切りに、県ぐるみでも同様に選定療養費を徴収する計画が発表されました。このような流れになりますとお話した通りです。茨城県に限らず日本全国大病院に本来必要のない軽症の方が救急搬送される事例が多いための措置です。

https://www.pref.ibaraki.jp/bugai/koho/hodo/press/19press/documents/240726iryouseisakuka.pdf
総務省HPより 図11の特にここ数年での現着時間の遅延が深刻
https://www.soumu.go.jp/main_content/000924645.pdf

2024年7月17日

松阪市の救急搬送では22%搬送数が減少(効果あり)

6月1日から軽症患者の救急搬送において選定療養費を請求しますとなった事例において、制度施行後1ヶ月が経過して、その有効性が判明いたしました。2015年9月7日のコラムで石巻赤十字病院で軽症患者に選定療養費を取ることの記事を皮切りに、2018年9月15日のコラムでは選定療養費を算定しても軽症患者が減るだけで、重症患者さんは減らないといった論文を参考に、2024年1月22日の松阪市で軽症患者さんの救急搬送に選定療養費をとるとの記事を載せました。
これからこのような流れになります。救急車の有料化は政府、自治体の首長が不甲斐ないのでできるとは思えません。末端の病院での選定療養費の徴収が主体になってくるでしょう。軽症の患者さんからだけの徴収で済むのか、夜間時間外の方のみから徴収するのか、利用者一律で徴収するのか、それぞれの病院で異なると思いますが、限られた資源にもかかわらず救急搬送のうち軽症患者さんの割合が5割を超えている異常事態が直らない限りは負担は増えてしまうと思います。
このコラムを読まれるような方は大丈夫だと思いますが、救急車の不適切使用は控えましょう。

2024年7月4日

コロナ事例の功罪

一連の事例のお陰で皆さんはワクチンや検査に詳しくなったのではないでしょうか。例えば検査の偽陽性、偽陰性、感度、特異度といったものが理解できるようになった方が多いと思われます。コロナウィルスの検出の偽陽性、偽陰性だけでなく、すべての検査で偽陽性、偽陰性があり必要な検査の有用性を理解した上で受けられたほうが良いです。
例えば、小麦の食物アレルギーの検査として保険適応で認められる採血検査では偽陰性が多く、グルテンや小麦IgEでは陽性にならないこともありますが、ω-5-グリアジンIgEは陽性率、特異度が高く小麦の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの9割で高値になり、診断の決め手になります。20歳以下の小麦の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーではこのω-5-グリアジンの陽性率は高くなく、陰性例では保険適応外の高分子量グルテニンIgE抗体の陽性率が高くなります。またフルーツが原因のOASでは採血は偽陰性が高くIgE検査の陽性率は高くないものもあり(桃など)、新鮮な果物を使ったプリックテストの方が有用だったりします。
それぞれの検査の偽陽性、偽陰性を知りつつ受けられることをお薦めしております。

2024年7月1日

『日本の外科は世界一ィィ♪』

2025年に開催される日本外科学会でJOJOの漫画家で有名な某先生著のポスターが発表されました。

カッコいいです。。。。

あえて『外科学会』とか『日時』とか載せていない所。

右に余白を残して先へ進もう感を出している所。

ポスターも外科学会もセンスが流石です。

日本の外科は世界的にも誇れる分野ですからね。

<引用元:2025年第125回日本外科学会定期学術集会より転載>


2024年6月27日

給食で出たビワによるPFAS花粉食物症候群(OAS口腔アレルギー症候群)によると思われる事例

山梨県の小学生が給食で出たビワによると思われるOASにて3500人中126人がのどの痛みや口の中のかゆみを訴えました。ネットで間違った情報も散見されていたのでここに記載することにしました。
1.原因は?
ビワはバラ科の食物で同じくバラ科のリンゴ、桃、梨、サクランボ、イチゴなどがあります。シラカンバの花粉症を持っている方はその抗原が似ているためにバラ科の食物などに症状が出ることがあります。シラカンバやハンノキだとバラ科食物だけでなく、ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド、ココナッツ、ピーナッツ、セロリ、にんじん、ジャガイモ、キウイ、オレンジ、メロン、ライチ、香辛料(マスタード、パプリカ、コリアンダー、トウガラシ)、大豆、豆乳などでも交差反応が出る可能性があります。
重症例では気分不快など生じることもありますが、食物アレルギーと異なりアナフィラキシーまで呈する例は少数で、食物摂取後15分以内に生じます。食物アレルギーよりは重症になりづらいのでまずは安心してください。
原因はPFAS、OASと思われますが、シラカンバ、ハンノキどちらでもバラ科の食物やウリ科の食物でOASになりえます。
花粉症がおそらく関与していると思われますが、花粉量は急に発症すると思い込んでいる方が多いようです。そうではありません。花粉を毎年吸い続けることで感作され、抗体が生成され、ある閾値に達すると花粉症として症状がでるだけで、この閾値に個人差があるだけです。つまり、シラカンバやハンノキなどの花粉がどの時期にどの場所に多く飛んでいるかを理解して、飛散時期、場所を通過する際にはマスクをしたりしてある程度花粉を吸うのを予防することが出来ます。
2.どうして最近増えているの?
実はシラカンバは以前は北海道のみで原生しておりましたが、最近は岐阜県など高山でも自生しており、岐阜周囲などにも増えております(シラカンバの分布図)。今回被害にあった地域は山梨県富士吉田市で近くにシラカンバの花粉の飛散が多いだろうと推測できますし、この6月はシラカンバの花粉の飛散時期とも一致します。シラカンバの花粉を多数吸った上でフルーツの抗原を摂取したというダブルパンチが考えられます。最近の子供は花粉症の低年齢化があると以前お話した通り、より低年齢の方の花粉症が増えておりますし、以前は日本人の7割がスギ花粉症のみでしたが、他の花粉の花粉症の方が増えており、このような事例が増えてくるのではと考えていつもお話しております。
3.花粉症じゃなければ大丈夫なの?
PFASは花粉症と関連した総称ですが、花粉症だけでなく気管支喘息の既往のある人、薬剤アレルギーの人、即時型食物アレルギーの既往がある人、ゴム手袋過敏症のある人なども花粉症を経ずに口腔アレルギー症状になることがあり、花粉症だけではないことを理解しておいてください(その為皮膚科の先生はPFASとは言わずにOASという先生が多い、PFASというと有価フッ素化合物と小生は感じてしまう)。
4.どう対処すればよいの?
調理法などもに工夫をするとさらに良いです。水で洗ったとのことですが(OK!)、こういった果実の抗原は皮付近に多く含まれている事が多いので、直に皮を剥かせないようにして、喉に引っかからないように小さく切って給食に出すのが良いです。できるなら加熱することでフルーツ類は抗原を抑えることもできます。折角日本の代表フルーツであるビワを食べられる機会が減ってしまうのは勿体無いです。そしてより大目の水分を摂取して早めに胃に流し込むのが良いので、普段より水分を多く取るよう促すと良いです。
万一のどのイガイガや口の中のかゆみを自覚するようなら、水分摂取とともに唇や首を冷してあげるのが良いと思われます。腫れといった炎症を抑えます。もちろん、医療機関など早期に受診されるのを促すのが良いですが、とりあえずの対処法として覚えておくと良いです。
そして、再度になりますが、予防できるものは予防してあげるのが良いです。シラカンバやハンノキがどの時期にどの地域に花粉を飛ばすのかを知っておき、通学時などマスクをすると良いかもしれません。OASの検査、治療につきましては過去のコラムを参照ください。

2024年6月19日

GSK社のパキシル速放性製剤も来年度から販売中止へ、*日本だけ

日本でのパキシル5mgの薬価は23.3円(10mgで40.9円、20mgで70.3円)ですが、外国価格は輸出物価指数(EPI)を基に算出すると250.1円ほどになり、日本の薬価の10倍以上になります。つまり日本に流すくらいなら高く買ってもらえる日本以外へ販売しますとなるわけです。薬価を下げすぎた国の責任です。株式会社である製薬会社も利益を追求しなくてはいけないため、低すぎる日本の薬価では日本では販売中止にすることが多くなると思われます。ちなみにパキシル速効性製剤の販売中止は日本だけです。
パキシルに限らず、他の薬剤も実はこのように薬価を下げ過ぎられているため、日本で販売中止となっているものが多数あると思われます。薬の安定供給とか政府が言っているのは口だけの絵空事に感じます。

2024年6月18日

診療報酬が変わらずに『働き方改革』に従って労働基準法通りに働くと労働力は1/3

今まで24時間働いていた方が8時間しか働かなくなれば当然、労働力としては1/3になります。当直など時間外労働は労働時間に関与しないとなるとサービス残業ならぬサービス勤務はモチベーションが保てません。今まで一人の患者さんを3人で診ていた医師の数が1-2人に減ることになります。
以前は大学病院は各科当直でしたが、現在は各科当直をしている大学病院はもうないと思われます。大きな病院でさえも内科1名(総合診療科)、外科1名などで当直を回さなくてはいけなくなっております。診療報酬が増えていないので労働基準法を準拠すると本来必要な医師の数は3倍必要になり、そんなに人件費に充てられないので、実質医師の数はそのままで労働力のみが1/3になることになります。
せめて国は入院患者さんにチーム性であたるように、外来患者さんに対してもチーム性で働いた時に看護師さん同様に1:3、1:5加算などつけてもらえないでしょうか?医師一人ではどうしても疲弊もし、ミスも起こしかねません。複数の医師でチームで担当する場合には加算するようなシステムを国に求めます。お願いします。余裕のあるスタッフ配置で働かせてください。このままでは病院だけでなく、研修医の方は耐え切れなくなってしまうかもしれません。

2024年6月3日

6月1日から再診でもマイナンバー受診された方がお安くなります

6/1からの診療報酬改定により、再診時でもマイナンバーカードを利用して受診された場合の方が安くなります(医療情報取得加算4)。医療情報・システム基盤整備体制充実加算がなくなってから、先月までは初診の場合にはマイナ保険証で受診された場合に差があり再診の場合には変わりませんでしたが、再診時もマイナ保険証で情報を提示してくれた方が診療に活かせるので初診時同様に再診時にもマイナ保険証で受診された場合を優遇する措置を政府が取ったことになります。
1-2点安くなるだけなのでご本人の自己負担分に変化がない(1-6円)可能性もありますが、皆様の社会保険料、国民医療費の削減にご協力ください。初診料、再診料が上がるとばかりニュースになり、処方箋料がそれ以上に下がっていることなども含めて当院以外で6月からのこの情報をお話されているメディアはあるのでしょうか。。。

2024年5月30日

日本でも男児に対してもHPVワクチン(ガーダシルのみ)の助成金がでる自治体が増えてきました

アメリカやオーストラリアでは行っている男児に対するガーダシルによるHPV予防ですが、将来的なガンも予防できる現在唯一のワクチンとして世界的に認められており、最近、日本の各自治体でもこの男児に対するHPVワクチンに対する助成金がでるようになってきました。栃木県はまだないのですが、都内やこの近くですと群馬県桐生市が全額助成、茨城県水戸市が一部助成を決めております。
女性に対するHPVワクチン(ガーダシルやシルガード9)も徐々に受けられる方が増えており、特に日本はガーダシルを接種している方が少なく、より効果のあると思われるシルガード9の単純効果と比較できるようになると思われます。

2024年5月27日

デジタル化に向けて 便利をとるか、安全性をとるか

そもそも予約制を設定しないと、皆さんがかかりたい時期が重なったりしやすく、待ち時間が長くなりがちになります。当院の周りの皮膚科ですと平均2-3時間待ちは開業時当たり前のことでした。さらに当院は他の皮膚科と異なり手術など重症患者さんも多く来る可能性があり、待ち時間がもっと長くなる可能性が高かったです。予約制を利用することで、患者さんもどの時間帯が混んでいるかを事前に知ることが出来て、混んでない所に移動できる場合には患者さんの受診機会を平坦化することが出来ます。最初のうちは予約システムに慣れていない患者さんが戸惑うこともありましたが、10年以上経ち浸透してきたと思われます。
その間に様々な会社の予約システムが新しく生まれてきました。順番予約しかできないもの、時間予約と並列できないもの、お知らせメールみたいなものがないもの、残り何人でお知らせしてくれるか選べないものなど多数あります。当院で採用している予約システムは上記全て行えます。LINEで連絡できるようになりましたが、LINEはいくら利用者が多いとはいえ、メールと異なり個人情報の安全性などを考えて行っておりません。当院からの連絡は登録してある電話番号またはメール宛てに送らせて頂きます。
これだけLINEなど情報漏洩が多くても皆さんが利用するのは便利だからでしょうが、ビッグデータを扱う医療機関ではLINE予約は難しいでしょう。

2024年5月24日

何がデジタル化なのでしょうか? 日本で最初に電子カルテ(アルファシステム)と予約システム(日本ビスカ)の連動を始めた医院より提言

6月1日から施行される診療報酬改定に伴い、様々な届出が必要となります。140項目もあるので、新規医療機関や病院など届出が多い所は大変でしょうね。今回からデジタルで申請もできるとのことで、早速使ってみたのですが、申請が出来る項目は10-20くらいで、その他は申請が出来ないようです。例えばDX加算などはオンラインでは手続きできず、紙の郵送物になります。何がデジタル化なのでしょうか?(これでも以前は書類の郵送も認めず、直接顔を合わせ提出でしたから、マシにはなったのですが)
一方、オンラインサポートという相談窓口はメールのみ対応で電話番号などはありません。まるで大企業グー●ルさんみたいですね。公企業はグー●ルとは違って、門戸を広く開放して気軽にかかれる相談窓口を設けるべきです。真摯さが足りません。
今では当たり前になりましたが、当時は電子カルテ内の予約だと使い勝手も悪かったので、日本で最初に予約システムと連携して当院はデジタル化を推し進めてまいりました。最初であったのでトラブルも多数ありましたが、現在では予約システムと電子カルテの連動は当たり前になっております。その開業時より何度も厚労省にオンラインで問診など完結して電子カルテに取り込んでも良いですか?と伺いを立てておりますが、最初にダメと言われた後はお返事がありません。早く法改正、新しい解釈を教えてもらいたいものです。

2024年5月17日


今年から栃木市在住の方には自治体より2種類のどちらのワクチンでも助成金が支給され安価で受けることが出来ます。平時よりワクチンを受けておきましょう。

1.ゾスタバックス
阪大微研 生ワクチン 1回 皮下注射 1万円程度 69.80% 5年程度 栃木市助成金は4000円

2.シングリックス
GSK社 不活化ワクチン 2回 筋肉注射 2回で4万円程度 96.60% 9年以上 栃木市助成金は1回1万円

2024年4月19日

昔は大学病院皮膚科は個室が足りない科だった(おそらくこれからは個室も大部屋も余る科になります)

私が大学病院に勤務していた時にはまだ感染症が盛んであり、水痘、麻疹、風疹のいずれかの疾患を持っている方が常に入院しているくらいでした。全て他者にうつす可能性がある疾患であり、個室管理が必要でした。現在それらの感染症は著減しており、他科と同じくらいに個室使用率は減っていることと思われます。皮膚科の病棟で個室が空いていることは少なく、他の病棟の個室にまで入院をお願いしているくらいで、よく他の病棟にもお邪魔させていただきました。その結果、他科の先生や看護師さんなどとも親しくなれ勉強にもなりました。現在でも抵抗力が落ちている方や重症で処置が頻回必要な方など個室を勧めていることもありますが、おそらく以前に比べて個室使用率は減っているかもしれません。それでもプライバシーへの配慮などがあり、全体的に個室をご希望される方が増えてきているため、例えば獨協医科大学病院では新棟に多数の個室を設け対応にあたっています。
今後皮膚科は重症化しやすい疾患が減り、入院する前に対処できることが多くなるため、皮膚科の入院病床は減ると思われます。しかしながら大学病院だからこそ、化学療法1回目やアトピーの教育入院など自宅では出来ないことも多く行ってくれると助かります。

2024年4月18日

差額ベッド代は徐々に増えている。個室も増えているが

前回のコラムで個室を増やして差額ベッド代である選定療養費を沢山徴収すればよいではないか?と考えた方がいると思います。その通りで、ここ数年は個室を希望される方が増えてきたこともあり、差額ベッド代も増加傾向、個室も緩徐に増加傾向にあります。それでもアメリカのように100%個室とか、ヨーロッパのように50%以上個室とかできないのには国からの規制があるためです。国により徴収できる差額ベッド代を払ってもらう病床は全体の5割までと定められ、国が開設する医療機関に限っては2割まで、地方自治体が開設する医療機関では3割までと制限されております。選定療養費を徴収できるようになった2016年以前も差額ベッド代は選定療養費とは違う枠で徴収できておりましたが、結局国が許すかどうかにかかっているのです。

2024年4月10日

病院経営と日本の医療について視るべき所がずれていませんか?ー病床稼働率と損益分岐点が要

よく日本の医療と海外とを比較する時に出される指標があります。日本の医師の数は世界的には少ないとか、日本の病床(ベッド)の数は世界で一番多いとか、日本の病院の数はとても多いとか、それらは事実ですが医療費や経営には意味のないデータです。
日本のベッドは多い、病院の数が多いから統廃合して集約するとなると、皆さんが現在すぐにかかれていた病院もさらに遠くなり、さらに待ち時間が増えます。医療費は安くなったりしません。
日本の場合は患者さんがフリーアクセスで、すぐにかかれてしまうため、諸外国より軽症で来院されることが多く、通院回数が増えてしまいがちなのは仕方なく、お蔭様で軽症のうちに治療をうけることができたり、長寿になっている原因にもなっております。つまり患者さんの通院回数や入院数などは日本の文化的なもの、日本人の特色でもあり、それをすぐに変更することは難しいですし、その数値を見ても意味がありません。受診希望がある患者さん、入院希望がある患者さんの需要に対してどれくらいニーズを答えられているかの供給のバランスが大事です。需要に答えるためには日本の医療機関の数は増やす必要がでてきますし、病床の数も増やさなくてはいけなく、ニーズに答えているのです。病床稼働率が9割もあるのに病院が赤字になるのでしたら、需要と供給の問題ではないことになります。
日本の医療で考えなければならないデータは、医師の数や医療機関の数や病床(ベッド)の数ではありません。それらはニーズに答えた結果的なものです。問題はニーズに答えても赤字病院が日本では6割以上もあること、つまり診療報酬など収益が足りていないことにあります。客観的なデータを出します。日本の病院で損益分岐点に達するために必要な病床稼働率は8割から9割です。これは世界的に例がないくらい高い数字です。アメリカでは病院の平均病床稼働率は69%程度であり、逆に9割以上の病床稼働率はイザという時(コロナのパンデミックなど)のために好ましくないとされます。つまり日本の病院には多くの患者さんが入院して初めて黒字になるしか診療報酬をもらっていない、アメリカでは好ましくないとされる数まで入院させて初めて黒字になるのです。よくこのような状況でコロナと戦えましたね。そりゃー、外資系病院など日本には参入しませんわ。
ちなみに日本のホテルでの損益分岐点に達する客室稼働率は旅館で2-3割、ビジネスホテルで4-5割くらいとされます。他業種と比べて初めて日本の病院の異常さが分かるのではないでしょうか。日本の病室はいまだに4人部屋や8人部屋などの大部屋が多い状況です(個室19%程度)、アメリカの某大統領が日本の病院を視察した時に『クレイジー』と言われ『日本の医療は素晴らしいが、私は日本の病院に入院したくない』と言われました。お気持ちは良く分かります。
もっと日本の病院での個室が増えて、余裕を持ったスタッフ配置で運営できるようになると良いと思います。

2024年4月9日

今度は電子処方箋のゴリ押し

マイナンバーカードに続いて、今度は電子処方箋にするように国から指導されております。残念ながら名ばかりで便利ではありません。すでに当院の処方箋にはQRコードが印字され薬局と情報共有できておりますし、現行ですと電子処方箋にしても結局処方箋を印字して患者さんに渡さないといけません。紙の無駄が減るるわけではないのです。電子処方箋というのなら、患者さんのスマホに処方箋内容や明細書を飛ばして、スマホに表示された処方箋内容を薬局に転送、表示させればよいことにすれば便利になるのですが、結局紙を渡さなくてはいけないので無駄です。また、現在は一度処方した内容を変更するのにそれほど手間はかかりませんが、電子処方箋になると、一度電子処方箋取り消し手続きをしてから紙の処方箋を再発行しなくてはいけないのでさらに手間がかかるようになります。そして、電子署名として毎年ランニングコストも出てきます。
ということで、電子処方箋を利用している医療機関はとても少ないです。だた受け取るだけの薬局はそれほど手間がかからないので利用する所も多いでしょうが、現行のやり方なら、現在の処方箋内容を患者さん自身が受け取り先の薬局に転送することで事前に知らせ早めに受け取れるようにすれば良いだけなので、電子処方箋は必要ないですよね。
またマイナンバーと同様に国から、電子処方箋を利用しないと保険診療させないぞ!と脅されたりするのでしょうか。

2024年3月27日

日本の医療費と国際比較.2 間違った情報に惑わされないように

以前の比較は10年以上前のものになります(2013年8月のコラム)。この10年でどうなったのでしょうか?実はこの10年で日本で受けられる医療の質は世界でトップクラスと分かりました(2017年HAQスコアG7でトップ)。ということで日本の医療の質は世界一です。
医療費も薬剤費もここ30年以上削減されて、諸外国と比べて明らかに低いとまでいえるくらいに下がりました。本来福祉に割く金額を医療費に含めていても諸外国と比べて低すぎるくらいに下がっております。それでも医療費に占める薬剤費の割合が22%程度なのは、そもそも医療費全体を国により下げられまくっているからであります。薬剤費が下げられすぎたせいで製薬会社が供給する薬剤が4年間も供給不足に陥っているくらいです。
削れるだけ原材料費も人件費も削っておりますが、どうしても高額になってしまうのには訳があります。
医療機器は外国製のものを利用する場合に国に高い許可料を支払ったり、薬剤は国産にしろと国から言われ高い人件費と土地の日本で生産すると諸外国から輸入するよりはるかに高額になったりで、日本の医療にかかる原料は諸外国よりはるかに高くなってしまいます。それを諸外国より低い薬価や診療報酬でまかなえと言っているのですから、無理が出るのは当然です。日本で使用できる医療機器や薬剤費が高額なのは国のせいです。医療機器の許諾料をもっと安価にしてくれたり、諸外国の薬剤をそのまま日本で使用できるようにすれば安価に済みます。もちろんそうすると国産の日本の製薬会社は潰れかねませんが、それが嫌なら諸外国並みにM&Aを繰り返すしかないのです。安全性を考えるか、安価を考えるかの時期に来ています。国は安価にしろと言っているので、それならば今後は安全性は担保できませんよという形になります。医療機関も株式会社化したり、割に合わないことをできないと言うようになります。当院では患者さんに寄り添って、他院では出来ない必要な検査や処置なども行えるようにし続けたいと思っておりますが、それもいつまで続けられるか分かりません。
この10年でさらに日本の医療機関は絞れない雑巾くらい自助努力を重ねました。次に考えてもらうのは国です。

2024年3月19日

麻疹(はしか)のワクチンのススメ

都内ではワクチンが在庫不足になっているようですが、栃木県では余っております。
当院では開業以来ずっと麻疹・風疹の単独ワクチン、混合ワクチン(MR)を行っております。短時間にワクチン接種希望者が増えれば当然在庫不足になりやすく、ワクチン不足で煽っているとおっしゃられる方も出てくる始末(10年以上前のコラムからずっと当院ではワクチンを薦めております)。お時間があるときにワクチンを平時から受けておきましょうね。6年前の2018年4月のコラムにも記載しましたが、現在は2回接種しているワクチンですが、28+6=現在34歳以上の方は1回しか受けていない可能性があり、麻疹に感染しやすくなっているため二度目のブースターのワクチンを打ったほうが良いと思われます。皮膚科専門医試験にも出ましたが、麻疹(はしか)のウィルスはコロナウィルスより感染力が高く、N95マスクが必要になりますし、成人麻疹になるとつらいですよー。

2024年3月15日

栃木県知事より感謝状を頂きました。

栃木県のコロナ感染対策に長く従事していたことで当院が表彰されました。皮膚科としてではなく、医療危機、パンデミックなどを考えてご協力できたことを少し誇らしく感じました。思えば皮膚科なのにコロナ対策をするのか、発熱外来を行うのか、年末年始や夜間診療に栃木県に協力するのかどうかは悩みました。協力すればするほど本来皮膚科にかかりたい患者さんは、コロナ忌避のためにかかりづらくなる可能性もあると思われ、いくら動線を分けているとはいえと悩んだ上での私のICUでの経験を生かして行うことを決めました。2019年12月から今日に至るまでの経過が走馬灯のように横切りました。

2024年3月8日

薄氷の上に成り立っている医療機関

4月からの診療報酬改定で往診サービスであるキッズドクター、みてねコールドクターが軒並み往診を辞めることになり、また業界一位のファストドクターも交通費という名目で自費で徴収することになりそうです。混合診療に当たるかどうかは不明ですが、株式会社だから割に合わないとすぐに変更中止したのであり、株式会社でない医療機関もしばらくは赤字サービスで経営して耐え切れなくなって撤退するところも続々と出てくるでしょう。保険医療機関というものがこのように、2年に一度のちょっとした制度の変化で簡単にその命を終えなくてはならなくなるといった薄氷の上に成り立っているということを理解してください。
Forbesで企業家ランキング一位になろうが、経済産業省に表彰されようが、簡単に廃業に追い込まれる可能性があるのです。その為、2年に一回の診療報酬改定や制度改革には敏感になってしまいます。再来年からは正常分娩も保険診療になる予定です。産婦人科診療所でのリニューアルが多数行われるでしょう。

2024年2月29日

昨年の皮膚科専門医試験での良問

問題90. 23歳男性。就職と共にスポーツをする機会が減っていたところ、緊張時に皮膚のチクチクとした疼痛を感じるようになり、夏季に屋外で高熱と共にめまいや吐き気、意識低下を起こすことがあった。正しいものを選べ。

1.寒冷蕁麻疹を伴うことが多い。
2.ミノール法で左右差が大きい。
3.アセチルコリンを用いた発汗テストでは反応低下する。
4.皮膚生検組織像では汗腺の変性が顕著である。
5.ステロイドパルス療法後の再燃はまれである。

この疾患を診断するために、診療所を建てる時にエアコンを各部屋につけて、その部屋だけ温度を調整できるように建築したことを思い出しました。ということで診断加療を求める皮膚科施設でセントラルヒーティングはできません。現在は足をお湯につけたりして、そこまで厳密に温度管理しなくても発汗テストを行えるようです。


問題67. 60歳代男性。頭頚部の多汗症を主訴に来院。ここ数年、食事開始直後から顔面を中心に多汗を自覚。症状は徐々に顕著になっており、辛いものの摂取いかんに関わらず食事中に過度の発汗と顔面の潮紅を呈する。食事以外の時に発汗過多を自覚することはない。既往歴として50歳代で耳下腺腫瘍に対する切開排膿を施術されたことがある。画像検査、血液検査、瞳孔対光反射、腱反射検査等で明らかな異常を認めない。
この頭頚部の多汗症の診断として最も考えられるものを選べ。

2.Frey syndrome

多汗が両側なのか片側なのかの記述がありませんが、既往歴を考えるとFrey syndromeかと思われます。耳下腺部は浅い部分に神経が走っているので生じやすくなります。

2024年2月28日

今回の皮膚科専門医試験は申し分なし

今年も解きました。今年は過去に提言していた内容がほぼ網羅されており、とても良かったとおもいます。
熱傷や外傷の問題もあり、手術などの術技に関するものもあり、点滴漏れの問題もあり、実際は他科との関わりが多いので、他科にまたがる疾患での問題もありとバランスが良かったと感じます。というか、2021年コラムで私が提言した通りの内容が問題になっていてビックリしております(私のコラムを見られている?)。今まで一度も点滴漏れの問題などなかったのに、初めて専門医試験にでるようになりましたね。
以前あったシークエンサー、PCRの解析の問題はさすがにやり過ぎでしょうと苦情を言われたのかもしれません。あれから出ておりませんね。汗腺の問題が多かったのはその専門家の先生が問題を作る機会が多かったからか、しかしながら難問ではなかったので良かったです。SDGsの正式名称を記せといった問題は皮膚科専門医といえども世の流れを知っておきなさいというメッセージなのでしょう。

2024年2月22日

『ファストドクター』は往診代行サービス主体にシフトを考える

4月からの診療報酬改定で普段かかりつけがいない方への往診費用が削減されるようになるため、ファストドクターなどの往診サービスは他の医療機関と連携して往診代行サービスとして、高点数を請求しようと画策しております。
ファストドクターに夜間の診療を任せたい医療機関があるなら、利用するのも手でしょう。当院のように専門性が高く、それを期待される患者さんからすると、難しいと思われます。しばらくは『ファストドクター』は往診サービスを今まで通り行うでしょうが、自治体からの補助金の減額やさらなる診療報酬改定での減額を見越して、これからどのように選定療養費における自費診療を追加していくか法整備が気になります。

2024年2月19日

4月からの診療報酬改定

ファストドクターともに大規模往診サービスを展開していた『みてねコールドクター』が4月からの往診サービスを終了すると発表しました。以前にコラムに記載した内容で、やはり梯子をはずされましたね。
真面目に往診を行っている医療機関に関しては点数は変わらないのですが、こういった一見さんご利用のサービスはかかりつけ医の負担を減らすわけでも、救急車の利用を減らすわけでもなく、点数を減らされるようになりました。そのため、保険請求のみでやっていこうとしたこれらのサービスを行えなくなると考えて、往診サービスを辞めたと思われます。
本当に必要なサービスなら自費診療として追加請求できるようになると良いですね。飲食店でのファストパスや予約料なども当たり前になる世の中で、皆さんはいくらまで負担ができますか?

2024年2月7日

国家公務員でさえマイナ保険証利用率4.36%!理由は医療機関になすり付け

本当に国家公務員の方からの理由がインタビュー通りなら、医療機関の責にされるのを普段から当たり前のように行っているのでしょうね。厚労省発表の医療機関のオンライン資格カードリーダー接続率、参加率はどちらも9割を超えております(2024.1.28データ)。9割以上の医療機関で利用できるのに、医療機関のせいにされるのですね。。。毎月維持費のランニングコストもかかっているのに、こういった話を聞くとやりたくなくなりますね。。。(やらないと保険診療できなくするぞと国からは脅されております)。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/985173?display=1

2024年2月1日

民間救急車は流行って欲しいが、ファストドクターは疑問符がつく

ここ数年、大規模往診のファストドクターが流行っており、首都圏だけだったものが北海道や関西、福岡でも稼動するようになりました。確かに便利なものでありますが、本来の往診とは異なる使用法であるので全国的にファストドクターが流行るようになった場合には厚生労働省から梯子をはずされることになるでしょう(重症往診患者数が少ない場合には加算点数が安くなるなど)。
患者さんからすると、医師が直接自宅に来てくれるのは便利であります。自由診療ならば問題はありません。しかしながら、本来往診は通院できない緊急、重篤な場合のみに限られるもので、夜間であろうが来院できる患者さんには算定しないのが保険診療上の考えです。ですが、ファストドクターでは重篤でなく、緊急でもなく、『時間外だと待つから』などの理由で利用されている方も多く、エクスキュースとして往診が必要な場合のみファストドクターは往診をしておりますと言っておりますが、皆さん『つらいんです、医師の診察を希望します』と言えば軽症でもかかることができてしまいます。これらが自由診療ならば問題ないのですが、保険診療として往診料なども含めて請求されていることが問題なのです。医療費の高騰を危惧するなら本来必要のない緊急往診加算などの往診料の正しい保険請求についても考えなければなりません。
現時点ではそのような状況であるので、ファストドクターへの登録は控えさせていただいております。
なお、ファストドクターの件数は増えているようですが(年間16万件)、東京都消防署の救急車利用における搬送数(年間100万)や軽症の方の割合は減っておりません(50%→51.6%と逆に増えております)。救急車を呼ぶ方とファストドクターを呼ぶ方の層はズレているのかも知れませんね。

2024年1月30日

栃木市も4月から帯状疱疹ワクチンの助成金がでるそうです

栃木市も宇都宮市と同様に2つのワクチンのどちらにも助成金がでることになりそうです。生ワクチン4000円分、不活化ワクチン10000円×2回分とのことです。現在も2種類のワクチンを当院で施行することができます。

2024年1月29日

民間救急車がもっと流行るためには

能登半島地震の被災地で民間救急も頑張っているらしいです。素晴らしいですね。
民間救急車がもっと流行るためには、そのようなニュースも大事です。他には、
1.民間救急車利用の方が安価にする:公営の救急車を高額にしてもらえばよいです。
2.民間救急車の方がパフォーマンスも良いと考えさせる:ロンドンなど日本と同様に救急車を無料で呼べますが、有料の民間救急車の方が現着時間、搬送待ち時間が短かったりします。民間救急車の方が行き先も分かっていたり、軽症の方の利用が多いでしょうから、同然そうなると思われます。現着時間、搬送時間は民間救急車の方が短いですよ!ともっとアピールすると良いと思います。
3.民間救急車の利用機会を増やす:イギリスやアメリカなど一般の救急ダイアル911などにかかった後にオペレーターで振り分けられ、そこで民間救急車といった選択肢が出てきますが、日本ではまだ救急ダイアルでの振り分けは実現できておりません。それにはさらなる民間救急の質を確保するために法制化が必要になります。

日本では白タク行為が禁止され、全国的にタクシーの稼働率を上げるために、各自治体と協力して乗り合いタクシーが増えております。一般利用できる福祉タクシーの台数自体は私はここ数年で減ってきていると感じております。タクシー業者が福祉タクシーなどを使って民間救急車として使えるように規制緩和したり、タクシー運転手OBなどが民間救急車会社を手がけるようになったりなどするのに助成金を出すなどもありでしょう。

2024年1月26日

過去のコラムの振り返り

10年以上前からのコラムですが、基本的に10年後も使える知識しかコラムにしていないので、変更する内容は少ないです。その後制度化された内容などありますので、ご報告いたします。
2011年9月27日防災ガイドブック→リンク先がなくなりました。
2013年8月1日日本の医療費と国際比較→日本の医療費はその後薬剤費が少なくなり、世界的に見ても少ない部類に入るようになりました。
2014年1月20日水痘ワクチン→その後水痘ワクチンは定期接種化するようになりました。
2015年9月7日石巻赤十字病院が軽症患者に時間外料金算定へ→その後8年経ち徐々に他の病院でもとるようになりました。
2018年9月15日広がる時間外救急受診における選定療養費の算定→その後大病院では休日加算など手術でつくようになりました。
2019年4月1日風疹撲滅→抗体検査ワクチン接種の期限がさらに延びました。
2020年6月30日医薬品として認可されているのに保険処方できないのはオカシイ→オカシイ薬が増えて困っております。
2022年1月28日マイナンバーで受付できる病院→予想通りマイナで受診された場合の方が安くなりました。
以前は感染症の話題が多かったのですが、徐々にアレルギー関連の話題が増えてきましたね。

2024年1月22日

救急車有料化をしないなら、末端の病院を有料化するしかない

三重県松阪市では町ぐるみで救急車の適正利用を促すために、2次医療圏である基幹病院への軽症搬送を有料化する方針にしました。徐々に長くなる現着時間や搬送時間などを考えると仕方ないと思われます。walk inで受診された初診の方にもかかる「選定療養費」が救急車を利用した方でもかかるようになっただけなので平等性が保たれますね。
『三重県松阪市は19日、市内の3基幹病院に救急搬送された患者のうち、入院に至らなかった患者から保険適用外の「選定療養費」として1件(人)当たり7700円(税込み)を6月1日から徴収すると公表した。基幹病院に指定されている松阪中央総合(川井町)、済生会松阪総合(朝日町一区)、松阪市民(殿町)の3病院に搬送された人が対象。県内では日本赤十字社伊勢赤十字病院(伊勢市)が同額の7700円で08(平成20)年4月1日から導入しているという。』
https://news.yahoo.co.jp/articles/548eb453ac3d93b890c4973b999a791c69c41223

救急車を呼ぶのに迷うことはありません。どこに搬送するのが良いかを判断するのは救急隊ですから。
勘違いされている方が多いのですが、救急搬送する場合にはかかりつけである場合などを除き基本的に行き先を指定できません。選定療養費が当たり前になれば、いずれこれらもカバーできる保険などが生まれるようになるでしょう。

2024年1月15日

小山市でも帯状疱疹ワクチンの助成の開始

栃木県内では昨年から宇都宮市で助成が始まっております。今年の1月からは小山市でも帯状疱疹ワクチンの助成が始まりました。現在は帯状疱疹が増加しておりますが、数年後には減少していくと思われます。

2024年1月11日

災害時の対応、トリアージ

前記は平時での対応になります。災害時など緊急時には難しいことも多々あります。
熱傷の初期対応の流水で20-30分冷すことは水自体がなければ行えない可能性が高いです。
熱傷の種類、対応などもパニックになって伝えられず不明なことが多々あります。熱傷を普段見慣れない医師は毎日トリアージをすることなどに労力を割く事は難しいかもしれません。移動手段がないため毎日通院できず、プライバシーを考えてしまい避難所での毎日の消毒処置なども上手にできない可能性があります。不安になり入院させて欲しいと思われると思いますが、限られた病床と医療資源を考えて予防的な処置処方は最低限になる可能性があります。後からトリアージが間違っていたなど言うことは簡単です。阪神淡路大震災でも助力して、大学病院のICUにも勤めた事もあり、東日本大震災時にも対応した現場を知っている小生ですので、災害時皆さんが当時できる限り尽力したことと思います。それでも急変してしまうことがあり、平時でも入院適応でない疾患が急変した場合などは緊急時には対応が困難な可能性が高くなります。
関東大震災でも地震自体による直接被害よりその後の火災による死傷者の方がはるかに多かったです。今回の震災関連で亡くなった方のご冥福をお祈り申し上げます。

2024年1月10日

熱傷の対応

初期対応は以前もお話したように、流水で20-30分冷すことと説明しております。その後熱傷の種類、対応に応じて熱傷のピークが異なります、何も対処できない熱傷ですと3日くらいです。つまり初期の傷の具合より3日目くらい経ったほうが水疱ができたり、熱傷深度が深くなることが多く、熱傷を見慣れていないと適切な対応が取りづらくなります。見慣れていない医師はこの期間は毎日創部を観察したほうが良いでしょう。入院適応かどうかはArtzの基準が原則になります。子供だと5の法則、大人だと9の法則に従って、入院適応になるかどうかが判定されます。この時先ほど言った様に初期は入院適応でなかったが、その後二時感染など生じて後日入院適応になることなどはよくあります。例えば広範囲熱傷だと二次感染を起こす可能性は100%です。
外来で熱傷を見慣れている先生でも患者さんの環境により清潔に保てず中途で二次感染を生じてしまうこともあり、抗生剤を内服していても壊死している熱傷部分には抗生剤が行き渡らず抗生剤内服は無効であるとおっしゃる先生もいらっしゃるくらいです。先輩からも指導され、後輩にも指導していましたが、大学病院の当直帯に来られた熱傷の患者さんには上記内容をお話して必ず翌日日中の外来にも来る様にお願いしておりました。発熱している方でも診てもらえるところもあります。発熱していない方しか診ていない所より問診も管理も多くなり時間がかかりますが、普段からそのような医療機関を知っておくと良いと思います。

2023年12月20日

2023年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              2人  0       2   悪性腫瘍切除術+全層植皮術など
MM               0人  0      0
SCC              1人  0      1   悪性腫瘍切除術+全層植皮術
Bowen             2人  0       2   悪性腫瘍切除術
AK、Pagetなどその他        5人  1       4    外用療法 悪性腫瘍切除術など

コロナ禍が過ぎて、実は持っていたという方が多く受診されました。

2023年12月7日

栃木県で新生児の助成は恵まれておりますー里帰り出産のススメ

全国での助成金の有無は各都道府県の自治体により異なります。妊婦健診の回数なども栃木県は一般的に恵まれている自治体になっていることが多く、特に日光市などはそこに重点を置いております。全国で栃木県のみ新生児のマススクリーニング検査代が無料となっている項目もあり、出産・子育てを優遇しようとする意図が見られます。
その分他の支援には重点を置くことができないこともありますが、栃木県はもっと里帰り出産など優遇していますよと上手にアピールできると良いですね。

2023年12月5日

今知っておきたい接触皮膚炎のトピックス

化粧品や日常品では、美白成分として含まれるArbutin、3-O-Ethyl Ascorbic Acid、赤色色素であるCarmine、ジェルネイルで使用するアクリル樹脂の一つである2-Hydroxyethyl methacrylateなどが原因物質としてのトピックスである。成分パッチテストをする際には、SSCI-NetやNite製品評価技術基盤機構などからに相談。医薬品に関しては国立医薬品食品研究所に相談するのが良い。

2023年11月4日

栃木県内での帯状疱疹ワクチンの助成に宇都宮市も導入

栃木県内で帯状疱疹ワクチン接種に数市町村で助成金が出ておりましたが、11月から宇都宮市でも助成が出るようになりました。宇都宮市での助成は2種類どちらのワクチンでも出るようです。栃木県同様に全国の自治体でも徐々に助成がでるところが増えてきております。

2023年10月25日

沖縄のトコジラミがヤバイ

最近世界的に増えているトコジラミですが、その理由の一つとしてコロナの流行が過ぎ去り人の流れが活発化してきたからなどもありますが、私は最近のトコジラミが耐性を持っているものが増えてきたからというものを考えたく思います。沖縄の病院の友人から連絡があり、沖縄でのトコジラミが駆除しにくいとの話を頂きました。アタマジラミと同様に最近の沖縄のトコジラミは通常効果のあるフルトリンという殺虫成分ピレスロイド系に耐性を持っているものが多いといったデータもあります。
中途半端に散布した殺虫剤のみの対応で、卵があるトコジラミの巣を除去せずにいると次の世代が耐性を獲得している可能性があります。
治療法はアレルギー反応による掻痒感に対して外用内服を対症療法で行うことが主体です。以前はイベルメクチン内服なども効果があったトコジラミですが、最近はイベルメクチンに耐性のあるものも増えてきており、フルラナーに耐性があるものはまだ少ないので保険適応外ですが、そういったものも紹介できます。

2023年8月28日

手掌多汗症の新しい外用剤が保険処方可に

アポハイドローションというものですが、現在テレビやネットなどで二宮くんが出ているCMをされているそうです。今まで外用剤では塩化アルミニウムのみの選択肢しかなかったため、外用剤でも選択肢が増えることは良いことですね。多汗症は腋窩か掌、足かで保険適応の治療法も異なっておりますが、いずれにしても当院ではイオントフォレーシスも施行しており、全ての保険加療を行うことができます。小生は20年以上イオントフォレーシスを含めた加療を行っており、徐々に栃木県でもイオントフォレーシスを行える病院が増えてきましたがまだ少ないのが実情です。アメリカのように自宅でイオントフォレーシスが保険適応になるか、もっと多数の皮膚科で施行できるようになると良いと思います。

2023年8月9日

内閣サイバーセキュリティセンターから5000件の個人情報流出

中国を支援するハッカー集団にサイバー攻撃を受けたアメリカの会社のメールシステムかららしいのですが、日本のお膝元でさえもこのような状況です。立法府としてできることは、外患誘致剤に当てはまらないのでしたら、不正アクセス防止法の刑罰をもっと厳しくして欲しいです。内閣サイバーセキュリティセンターからは一日にどの国からどれくらいの不正アクセスの件数があるかの公表をお願い申し上げます。

2023年6月21日

国立成育医療センターにディズニーからの支援

ディズニーからムービーシアターや壁紙などが提供され病気と闘う子供たちを支援されたそうです。ディズニーは全世界の小児病院など多数支援しており、このような支援はとても嬉しいですね。
マクドナルドドナルドハウスやセサミストリートのキャラクターの病院などもあり、限られた病院だけ使用できるのではなく、このようなキャラクター使用に関して医療機関では著作権を許諾して使用をしても良いとなってくれるともっと嬉しいです。
どうです?任天堂さん?ドクターマリオにちなんで許可を出しませんか?


2023年6月13日

法務大臣管轄下での勤務

入管施設での医師が話題となっております。入管ではありませんが小生は同じく法務省管轄の刑務所で勤務をしたことがあります。使える薬剤や医療機器には制限があり、例えば使用できるステロイド剤は1-2種類、処方できる抗真菌剤も1種類と制限されておりその範疇で加療しなくてはなりません。したがって、刑務所外では長く外用剤で様子をみることも選択できますが、刑務所内では早く治すために手術の選択も必然的に多くなりました。小生が非常勤で勤務した刑務所は国家公務員でないため、アルバイトが許されておりましたが、他の施設では国家公務員法に触れるためアルバイトが禁止されており、常勤勤務でやっていけるくらいもらえるわけではないので、わざわざ希望して行きたいと思う医師は少ないかと思われます。小生も医師会、医局の依頼として顔を立てて行っておりました。小生が行かなくなってしばらくしてからはその刑務所への勤務はなくなったようです。貴重な経験を積ませていただきました。

2023年6月3日

世界的には子宮頸癌は減っているが、日本だけは増えている

国立がん研究センターが昨日発表した『子宮頚がんとHPVの予防ファクトシート』をご覧ください。諸外国ではHPVワクチン接種もあり子宮けい癌の数、死亡率が減っております。日本では検診はしておりますが、HPVワクチンの非接種が多いためか子宮けい癌の総数、死亡率は減っておりません。日本国内でも接種と非接種の世代があるため、今後接種した世代と非接種の世代の子宮けい癌の統計も出るようになるでしょう。そこまで出して初めて接種をするようになるのでしょうか?

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0602/index.html

2023年5月29日

増え続ける皮膚悪性腫瘍

強い紫外線の影響もあり、ここしばらくは皮膚悪性腫瘍は増加の一歩をたどっております。ここ20年で倍に増えております。当院では開業時より日焼け止めの必要性を訴え、日焼け止めのサンプルなど配ったりしておりましたが、若い頃からの日焼け止めの使用などもっと諸外国並みに促して啓蒙できるようになると良いと思います。


国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/13_skin.html



2023年5月24日

これからの皮膚科 3(2から時間が経ってすみません)

現在は増えている梅毒や帯状疱疹はおそらく20年後には減少して、特に帯状疱疹はワクチンのお陰で著減すると思われます。したがって皮膚科で感染症を扱うことがさらに減るため、隔離する必要性や入院する必要性が低くなり、大学病院で当てられる病棟、病床は減るでしょう。しかしながら皮膚科の医師数は増えているため本来は必要な大学病院の皮膚科医師は減らされてしまい、非常勤で外で働く皮膚科医師がとても増えると思われます。
感染症以外で扱う膠原病や悪性腫瘍も重症化する例は減少して、外来のうちに予防できるように、対応できるようになりますが、今のシステムだと予防をして防いだほうが医療費は安くなるので予防を考えて外来で長くお話する医師ほど病院からは疎まれ、お話する時間を少なくして多くの患者さんに少ない医薬品を処方する医師の方が病院から好まれるようになります。開業されている皮膚科の先生は余程に技量の差がない場合、ニンニク注射など自費の加療も行うようになり、医師を多数勤務させcommon diseaseの数を多く見ていく形となり、増えすぎた皮膚科の先生のために皮膚科を標榜する他科の先生の診療所は減ってくると思われます。
つまり、皮膚科として外来が優秀な先生は大病院からは疎まれ、自分でできる個人の範囲で小開業したり、非常勤として名貸しするようになると思われます。内科など収入の多いメジャーな科ですと大きく開業してもペイが期待できるため皮膚科と異なると思われます。

2023年5月16日

マイナンバーカードでの不具合が多数

少なくとも7000件の不具合が確認できたそうです。当院でもマイナンバーカードを扱っておりますが、保険証と異なる内容であったり、名前が保険証もマイナンバーカードも間違っていたり、夫婦で逆になっていたりなど不具合がありました。住所記載なども統一されたものではなく、自身や保険者の入力によってまちまちです。そしてシステムがダウンしていたり、違う方の戸籍が発行されたりするシステムの問題もあります。このように不具合が多発しておりますが、医療機関が不具合が多発しております!、改善してください!、改善できないならマイナンバーカードを扱いたくありません!と言っても、医療機関の責とされ理解されないことが多いです。従いまして、医療機関だけでなく他の所でも沢山マイナンバーカードを扱ってくれるようになれば周知されると思われますので、このような問題がようやく取り上げられるようになりました。
もっともっと皆さんの携帯やATM、コンビニや支所など多数でマイナンバーカードを扱ってみてください。そうすれば分かりますよ。

2023年4月11日

帯状疱疹ワクチン接種の助成をする自治体が増えております

今月5日現在接種費を助成する自治体が全国で増えており、173自治体になったそうです。今年度からさらに117自治体が増えるそうですが、残念ながら栃木県で助成する自治体はまだありません。栃木県内ですと、芳賀郡の芳賀町、市貝町、さくら市、那須塩原町、真岡市(2023.6.1追記)なども拡充していったそうです。

2023年4月3日

4/1から問診表が新しくなった(細かくなった)医療機関が増えております。

政府の方針で今まで記載しなくても良かった『既往歴』や『既往薬剤』が4/1からより詳細に問診に記載しなさいとなったことで、今月から問診表が新しくなった医療機関が増えております。医療従事者や患者さんからはそこまで詳細な問診は煙たがれ、『面倒だ』と苦情を言われるとのことです。当院では以前より記載している内容であり、変更はありません。
詳細な問診が面倒ならマイナンバーカードで受診され、他医療機関で処方されている薬歴情報を提供しなさいという国のマイナンバーカード奨励の一環でありますが、現場での混乱を考えて欲しいものです。

2023年3月22日

WBC優勝おめでとうございます!

診察、手術の合間に見ることができましたが(ダメでしょ?)、ナイスプレーの連続でしたね。真剣勝負なのは分かっておりますが、お互いにリスペクトしている点などが良く分かり、観ているこちらも楽しい気持ちになりました。


2023年2月28日

将来オンライン資格確認、マイナンバー活用のために

1.オンライン資格確認には国から指定された通信会社を利用するしかなく、それも以前のような高速回線はありません。当院でもオンライン資格確認前は800Mほどでていた通信速度が、オンライン資格確認後の回線では200Mもでなくなりました。もっと高速回線で利用できるようにしていただけませんでしょうか?
2.現在審査機関とレセプトを送受信する場合も暗号化すらされておりません。わざわざ別回線の契約も必要となり毎月NTTにお金を支払っておりますが、セキュリティの観点から暗号化をよろしくお願いいたします。
3.オンライン資格確認すると表記される患者さんのお名前が●で表記され、そのままでは審査機関が対応できないとの事で、医療機関側が再度手入力で訂正してからレセプトを提出しております。審査機関でもマイナンバーの表記のままで対応できるようによろしくお願い申し上げます。
4.昨日もありましたが、オンライン資格確認ができないといった不具合が多発しております。厚生労働省に連絡しても対応もしてもらえず、厚労省のサイトに『ベンダーに問い合わせてください』と丸投げされている状況です。もっと真摯なご対応をお願い申し上げます。

金銭的なものがかかったり、ウィルス対応など面倒な作業が多かったりもしますが、それ以外のことを記させていただきました。

2023年2月22日

マイナンバーカード対応となりました。

当院でも今月からマイナンバーカード対応となりましたが、厚生労働省のオンライン資格確認システムの不具合など多発しており、認証できない可能性があります。しばらくの間は保険証もご持参の上お越しください。ご不便をおかけして申し訳ございません。
オンライン資格確認は賛成、医療のIT化も大賛成ですが、マイナンバー導入に伴って不具合が多発しており、厚労省や審査機関のマイナンバー対応が追いついておらず、周囲の環境も準拠してくれると良いですね。


2023年1月31日

遺伝子パネル検査の保険適応

がんのゲノム診断からの個別化治療について徐々に保険内でも行えるようになってきました。
例えば『40代の女性のすい臓がん→通常の抗癌剤治療が不応の場合などに遺伝子パネル検査を行い→高い治療効果が期待できる薬剤の使用を推奨する遺伝子異常が判明した場合に→よく効く可能性がある免疫チェックポイント阻害剤の投与をする』こともできます。
しかしながら、まだメラノーマに保険適応がある薬剤は少なく、BRAF V600Eにおけるvemurafenib, dabrafenib+trametinibとNTRAKにおけるentrectinibしかありません。そして遺伝子パネル検査の保険適応も全ての人ができるわけでなく、『標準治療のない固形癌(希少癌や原発不明癌)、あるいは標準治療終了可能な状態と判断された固形癌患者』に限定されております。この条件を満たす患者さんは全てのがん患者さんの1-2%(約1-2万人)程度と推測されているため、徐々にできるようになってくると思います。

2023年1月23日

茶のし●く石鹸、加水分解コムギによる経皮感作小麦アレルギーのまとめ

2010年代日本において生じた事例のまとめになります。

グルパールS19を含有した当該石鹸は2004年3月から2010年12月まで約4650万個が約467万人に販売され、日本アレルギー学会により2111例の確実例があることが明らかになりました。全ての方に石鹸を使用する前に小麦アレルギーの明らかな既往はなし。症例の25%がアナフィラキシーを経験、使用中止後徐々に軽快がみられて小麦摂取が再開できるようになってきている。
本症例は小麦摂取後の眼瞼の著名な浮腫、かゆみ、鼻汁などが特徴的であり、患者の約半数にアナフィラキシー症状が誘発されていた。一方、洗顔時に顔面のかゆみなどの症状が誘発されなかった症例が約3割存在し、石鹸による過敏症を自覚することが全くないまま小麦摂取後にアナフィラキシーなどのアレルギー症状を呈していた。

当院にも該当する方がご来院され診断治療にあたっておりました。当時依頼があり上委員会の委員長とお話させていただきましたが、栃木県でプリックテストを依頼できる医療機関が少なくて困っておりました。
経皮感作は石鹸以外にもコチニール色素やラテックスなど多岐にわたるため、症状の自覚がなくてもいきなりアナフィラキシーになることも考えて対処する必要があります。

2023年1月16日

明けましておめでとうございます(遅)

バイデン米大統領の奥さんも皮膚癌BCCになって手術をされたそうです。
顔面と胸部の二箇所を手術したとのことです。当院でも良く行っている手術で当院では日帰り手術になります。術中迅速細胞診はできないので、後日病理の報告になります。病理は小生と札幌皮膚病理でダブルチェックで確認しております。

2022年12月12日

コロナ禍でも増加した感染症ー帯状疱疹と梅毒

一般的には外に出る機会が減り、接触する機会が減るのでインフルエンザや感冒などはコロナ禍ではかかりづらくなります。喘息などのアレルギー疾患もここ数年は重症化する方が少ないです。一方運動不足により糖尿病など生活習慣病は増加傾向にありますが、これは分かりやすいと思います。問題はこんな状況でも増えている感染症があることです。帯状疱疹と梅毒です。より外出する機会が増えてくるようになるとさらに梅毒は増えるかもしれません。ちなみにアメリカでもここ数年梅毒は増え続けております(年間3-4万人)。
先日国立感染症研究所が今年の日本の梅毒患者数が初めて1万人を越えたことを発表しました。


2022年12月9日

2022年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              4人  2       1   悪性腫瘍切除術+全層植皮術など
MM               0人  0      0
SCC              0人  0      0
Bowen             0人  0       0
AK、Pagetなどその他       4人  0       2     外用療法 悪性腫瘍切除術など




2022年12月2日

蕎麦アレルギーはソバの皮膚プリックテストSPTが採血検査IgEより有用

先日成人の蕎麦アレルギーの方のご相談を受けました。蕎麦アレルギーは日本人では多く、即時型アレルギーモニタリング調査で原因植物の1.8%を占め第9位です。特にアナフィラキシーショックの発生率が16.5%と高く重症化しやすいので良く覚えておいた方が良いでしょう。
蕎麦アレルギーの診断は保険適応の血液検査IgEでは感度も特異度も低く(感度50%、特異度65%)、ソバの7SグロブリンであるFag e 3特異的IgEで感度80%、特異度87.3%は保険適応でなく、保険適応の皮膚プリックテストSPTの方が感度も特異度も有用になります。もちろんどの検査でも偽陽性や偽陰性は出る可能性があるので一つの検査のみで食事制限や食事非制限を決めずに詳細な問診やOFTなどを経て慎重に進めていく必要があります。
診断後は蕎麦はゆで汁や飛んでいる粉なども感作になりうるためアナフィラキシーを呈する可能性がある方はエピペンの用意など十分に気をつける必要があります。(食物アレルギー診療ガイドライン2021より引用)

2022年11月17日

オンライン資格確認でも不具合

先週からマイナンバー顔認証ができず、Windows updateが原因と言われております。updateはセキュリティ更新のためには必要なものですが、そのためにオンライン資格確認ができず先週末から保険証のみでの受診を余儀なくされているそうです。当院ではまだマイナンバー対応をしていないため問題ありませんが、政府は来年からマイナンバー保険証での受診を促しているため、手間隙を考えて更新作業を自動に設定するとこのような不具合が発生していまいます。かといって手動で更新を選び忘れるとサイバー攻撃の対象になり得ます。

2022年11月9日

静岡県の開業医でもランサムウェアによるサイバー攻撃の被害

カプコンも以前被害を受けましたが、サイバー攻撃を医療機関のみで食い止めることは困難だと思われます。
利便性を高めるとその分安全性が脅かされます。定期的にVPNを更新する、PASSを更新するなどコロナ診療で疲弊している医療機関が行えるものではなく、外注の保守費用も高額になります。
安全性はクラウド型<クローズドVPN<院内のみ電子カルテ<紙カルテの順で高くなります。クラウド型の統一電子カルテを採用しろという人がいましたが、統一電子カルテなんてリスクであり、クラウド型なんてさらに危険度が高すぎます。国は保険証をなくしオンラインでマイナンバー保険証、NTTをつかいなさいと指導しており、そのセキュリティの責任はNTTや厚労省がとらず、ベンダーや個々の医療機関に押し付けております。NTT以外では例えば安定性の高いCATVなど特定の回線だとマイナンバーが読み取れない、オンライン請求ができないなどがあります。サイバー攻撃に対する刑罰も日本は甘いです。

2022年11月2日

大阪急性期総合医療センターでもランサムウェアによるサイバー攻撃で一部診療中止

サイバー攻撃が頻発してきました。公的支援もなく自己資金も少ない医療機関ではセキュリティに強いネットワーク環境を作るのは困難です。扱っている情報を考慮すると医療機関に対しては脆弱なセキュリティでは困るので公的支援が必要と思われます。
国はIOT化を薦め、全医療機関での保険証の廃止、マイナンバーカードでの受診を促しており、ネットワーク環境を整えるよう指針を出しておりますが、安価なクラウド形式でなく閉鎖環境のクローズなVPN環境で強固なネットワークを構築するには経済的にも困難でいっそ電子カルテ自体を辞めて、紙のカルテに戻すのが良いかもしれません。そしてこのような人の生死に関わるサイバー攻撃は許すまじ!として、ドイツのように殺人罪の適用も視野に法制化してもらいたいものです。

2022年10月28日

徳島県の町立病院でのランサムウェア感染によるその後のお話ー7000万>350万

2021.11.4のコラムの追記になります。先日共同通信より衝撃的なニュースが飛び込んできました。
町立病院が都内の某機関に依頼してデータが復元され、7000万円かかったそうですが、ロシアのハッカー集団『ロックビット』からの700万円の身代金は半額に値切られ、その某機関が支払い、LockBitが350万円受け取ったというニュースです。本当に支払ったかは分かりませんが、支払っていなくても支払ったとした方が今後ハッキングでの脅しには使えそうですし、某機関は支払っていなく自分たちでデータ復旧したというでしょうね(本当に支払っていないのなら、ロシアのハッカー集団の発表は間違っているというべきですが)。いずれにしてもこの発表があるまでは、町立病院の調査報告書などではこれらのことの記載はなく、国際的にもハッカーの脅しに屈したと取られるこの内容は日本での今後のサイバー犯罪を助長させる可能性があります。
また今回のLockBitは今後は命を多く扱っている産婦人科、心臓外科などは襲わないと表明しておりますが、町立病院は襲うんですね。

2022年9月27日

例えば皮膚科でよく使う点滴、注射などを使用している方で手術を受ける場合の休薬期間、再開時間

生物学的製剤は手術後の創傷治癒、感染防御に影響がある可能性があり、米国のガイドラインでは低リスクの手術では治療継続可能とし、中-高リスクの手術では術前の休薬を推奨しております。術前は薬剤半減期の3-4倍の期間休薬し、術後は1-2週で再開できるとしております。欧州のガイドラインではTNF阻害薬では同様の期間の休薬を推奨しているものの、他の生物学的製剤ではcase by caseとしております。皮膚科でよく使う生物学的製剤の各薬剤の半減期は以下の通り
インフリキシマブ 約10日
アダリブマブ 約14日
ウステキヌマブ 約21日
セクキヌマブ 約27日
イキセキズマブ 約13日
ブロダルマブ 約11日
グセルクマブ 約18日
リサンキズマブ 約11日
セルトリズマブペゴル 約14日
チルドラキズマブ 約23日
ビメキズマブ 約20日
やはり薬の内容が分からないと手術の日程も決められませんね。

2022年9月26日

10/1から患者さん負担が変わります。『医療情報・システム基盤整備体制充実加算』の新設

本来ならば医療機関が言うのではなく国が啓蒙するべきですが、なぜかマイナンバーカードやマイナポイントのCMなど沢山してくれるのに『10/1から患者さん負担が変わります』の告知はないように感じます。
以前コラム(2022.1.28)で記載したように、現在マイナンバーカードで受診される方の方が医療費が10円程度高くなる問題で、やはりマイナンバーカードを流行らせたい方針と矛盾しているとして、10/1からは保険証で受診されるよりマイナンバーで受診される方の方が安くなるようになるそうです。

・マイナ保険証として初診され、データ取得に協力してくれる場合は医療情報・システム基盤整備体制充実加算2として2点
・マイナンバーカードを忘れたり、データ取得を拒否する場合は医療情報・システム基盤整備体制充実加算1として4点

ちなみに小生としては以前から詳細な問診を取っていたり、薬手帳の確認などもしておりますが、処方されている薬剤と実際に使用している薬剤が異なっていたり、医療機関で行っている点滴の内容などはマイナポータルからの医療情報からでも分からないので患者さんの薬歴管理自体に点数をつけるべきだと考えております。

2022年8月31日

臓器移植とイスタンブール宣言

皮膚科で臓器移植?と思われるかもしれませんが、小生は大学病院にいる時に重症熱傷なども対応しており、スキンバンクを介して失った皮膚を補うために皮膚移植をよく行っておりました。現在では自家培養による移植も徐々に広範囲に行えるようになってきておりますが、それでも一度に沢山の皮膚が失われた場合には豚や他人からの皮膚の移植が必要になります。運転免許証の裏や臓器移植意思表示カードなどの『その他』にあたる皮膚という項目がそれにあたります。心臓、腎臓などに比べると丸をつけている方が少なく、貴重な皮膚を夜間に東北道を運んだことを思い起こされます。

2008年に採択されたイスタンブール宣言により下記が各国で求められるようになりました。
  1. 臓器売買や金銭的な利益を得ることを目的とする臓器の仲介・斡旋業を世界から根絶する。
  2. 臓器提供の自給自足(国外患者への治療は、それによって自国民が受ける移植医療の機会が減少しない場合のみ許容される)。
  3. その他 法制化、医療環境の整備、ドナーに対するケア、教育につとめる。
臓器移植のための海外渡航で自国民の医療資源が減少する場合は、移植ツーリズムであり非倫理的であるとして、自国民を優先して臓器移植をするよう促しております。イスタンブール宣言後は日本から渡航して臓器移植を受けられる海外先はアメリカとカナダのみになり、アメリカなどは5%以下に抑えるようにしております。声高にイスタンブール宣言を守る医療機関も増えてきており(浜松医大2019年高裁)、移植前後も日本でフォローを受けるためにも、日本臓器移植ネットワークや移植学会など信頼のおける機関をお勧めいたします。


2021年8月30日

帯状疱疹ワクチンに対する市からの助成金ー栃木県はなし

栃木県ではまだ帯状疱疹ワクチン(生ワクチン、不活化ワクチン)接種に対して助成金を出している自治体はありません。全国では名古屋市、文京区などから始まり、現在50前後の自治体で助成金が出るように増えてきました。市の財政から考えるとどこに重点を置くかという考えになると思いますが、例えば名古屋市では平成26年からの住民税5%減額により、一時的に税収は落ち込んだものの、その後も人口は増え続け(昨年令和3年はその後始めて人口減になりましたが)、結果的に税収は増えております。UFJが10年5%住民税を減額した場合の試算では人口2万人増を見込んでいましたが、実際には10万人近く増加しており、出生率低下による自然減少分を追い越しております。そうした市制もありワクチンに対する助成金を出せる自治体が増えてきました。

2022年8月1日

サル痘につきまして

先日お願いされたサル痘の講演用資料をまとめました。丁度日本人第一例が見つかった時で急遽スライドを変更いたしました。
世界的には流行っているので、人流が盛んになれば当然日本にも入ってくるでしょう。増えてきた場合でも安心できるような内容にしたく作成しました。
例えば日本では以前天然痘のワクチンが行われており、天然痘のワクチンを打った方はサル痘にかかりづらくなることが分かってているため、ヨーロッパより日本では流行が若者主体になることが予想されます。日本人ですと50歳以上の方の抗体価が201●年時点でもまだ9割近く抗体価が高く効果が残っているとする論文もありました。数十年も残っているとは、某ワクチンとは大違いですね。

2022年6月3日

各国の帯状疱疹ワクチンの勧奨と公的補助

国立感染症研究所より引用させて頂きます。軒並み諸外国では10年以上前から勧奨、公的補助されております。
  • アメリカ 勧奨あり 60歳以上 公費補助あり 2006年から
  • カナダ 勧奨あり 60歳以上 州による公費補助あり 2008年から
  • オーストラリア 勧奨あり 60歳以上 70歳の人だけ公費補助 2016年から
  • イギリス 勧奨あり  70歳以上 公費補助あり 2010年から
  • フランス 勧奨あり 65歳以上 公費補助あり 2013年から
  • スウェーデン 勧奨なし 50歳以上 公費補助あり 2011年から
  • 日本 勧奨なし 50歳以上 公費補助なし

2022年5月17日

bushman! 本気で虫に刺されたくない方へ

日本だと虫除けをしたつもりでも、刺されたりする経験を皆さんお持ちではないでしょうか?
以前と比べて法改正され日本でもやや強めの虫除けを作ることができるようになったのですが、それでも諸外国と比べると弱めの虫除けしか認められておりません(30%DEETまで)。某プロゴルファーのように虫に刺されると症状がとてもひどくなる方や疾患をお持ちの方は、諸外国の虫除けを購入されている方もいらっしゃいます。
当院でもそういったヤブカのアレルギーを持っている方や、本気で虫に刺されたくない方用に、海外より輸入し80%Deetの虫除けを院内販売しております。


2022年4月27日

恩師のおもひで3 『どくとるマンボウ』にあこがれて by 辻堂まんぼう皮ふ科

先日お話した恩師に遅くなりましたが開業祝いを贈らせて頂き、近況などご連絡を頂きました。学生の頃に北杜夫の『どくとるマンボウ航海記』を読んで憧れてそのようなクリニックの名称にされたそうで湘南の海も近くお似合いです。お元気そうで何よりでした。
クリニックの名称を決める時にある程度の制限がありますが、その地方であったり、自分の好きなものなど入れることが多いです。自分の好きなもの。。。私の親友はイルカが好きだな。。。フクロウは好きだけど、学生時代お世話になった第一麻酔科の教授のフクロウ好き、ご自宅に溢れんばかりのフクロウグッズがあり、それから考えると自分のフクロウ好きは大したことないだろうしな。。。など考えておりましたが、さすがに『ガンダム皮膚科』とかはダメだろうなと。

2022年2月21日 皮膚科専門医試験

今年も解きました。今回は臨床をきちんとしていれば解けるような問題が多くまた時代に合った良問が多かったと思います。個人的には遺伝子変異表記の方法は覚えていたのですが、次世代シークエンサーの解析がまだ弱いなと思って現在参考雑誌を多数仕入れております。他に、下記気になった問題を記します。

問題99. 以下の感染症の中で、その病原ウィルスの基本再生産数が最も大きいのはどれか。
1.水痘
2.麻疹
3.風疹
4.COVID-19
5.インフルエンザ

問題32. 以下にあげた爪白癬の治療法の中で、最も薬価が安いのはどれか。なお、後発品が存在する薬剤についても先発品を処方した場合とする。
1.ネイリンカプセル100mg/日の連日内服を12週間
2.ラミシール錠125mg/日の連日内服を6ヶ月
3.イトリゾールカプセル400mg/日のパルス療法を3クール
4.ルコナック爪外溶液を1ヶ月に1本使用を1年間
5.クレナフィン爪外溶液を1ヶ月に1本使用を1年間

2022年1月28日

マイナンバーカードで受付できる病院の方が高くなる!?

中医協総会は1月26日、オンライン資格確認を通じて取得した患者情報を活用して診療を実施することについての評価である「電子的保健医療情報活用加算」を新設することを大筋で了承しました。患者さんがマイナンバーカードを持参しない場合や情報取得の同意をしなかった場合でも加算がなされるものになるそうです。今後しばらくはマイナンバーで受付をする医療機関では少し高額になりそうです。
以前お薬手帳の場合も同じでお薬手帳を持参された方が、お薬手帳がない場合より高くなっておりました。お薬手帳がある程度普及されてからその後の改定で、お薬手帳を持参された方が安くなるように代わりました(2016年3月4日コラム記載)。
マイナンバーも現在あまり普及されておらず、ある程度普及されるようになったら、マイナンバーで受診された場合の方が安くなるようになるではないでしょうか。いつもの国のやり方です。薬手帳を確認するなどでも良いように薬歴管理自体に点数をつければ良いのですが、マイナンバーカードを普及させるために行うのでしょう。つまりは『マイナンバー加算』ですね。

2022年1月24日

恩師のおもひで 2

昨年ですが、神奈川県藤沢市に恩師がご開業されたのでご報告させていただきます。『辻堂まんぼう皮ふ科』の濱崎先生です。大学病院にいた時ももちろん、私が開業してからも暖かく見守ってくれてとてもお世話になりました。濱崎先生は准教授でありながら、気軽に医局員に話しかけてくださり、例えばパッチテストの準備を一緒にしてくださりながら、『ぼくー、こういったチマチマした作業、好きなの』と笑顔でお話されたりする丁寧でにこやかな診療スタイルをされております。きっとご開業されると患者さんの行列ができるでしょうから、大変そうです。

2021年12月24日

2021年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              1人  1       0   大学病院入院手術へ
MM               0人  0      0
SCC              0人  0      0
Bowen             1人  0       1   悪性腫瘍切除術+皮弁形成術
AK、Pagetなどその他       3人  0       1     外用療法 悪性腫瘍切除術など

ここ数年はコロナの状況もあり、他県から受診される患者さんが少なくなっております。なお皮膚生検など病理組織で確定したもののみを記載しており、検査されずにご来院されなくなった方等は除いております。


2021年12月17日

オンラインクリニックの乱立

医療機関も株式会社経営が許可され、自費処方では医師が必要ですが、自費検査は医師は必要なく、医師でなくても医療機関の長になれるようになりました(『たんたん●●●●クリニック』など)。自費処方では医師の診察が必要なため全国で一人の医師のみを雇ったりして全国チェーンのスーパーマーケットよろしく薄利多売で利益を上げます。医療機関もデフレ化の波にのまれ、全国どこでもオンライン、配送無料、初診・再診・診察代無料、格安のジェネリック、または院内製剤を郵送販売されるようになってきました。経費削減のために、医師は雇わないほうが良い、医師がいたとしてもオンラインのみにして外来診療は行わずにビルの一部屋が行うのが良いとなります。いずれ自費処方の際には医師はいなくなりAIでの診察に代わられるようになるでしょう。
ジェネリックでない国産で正規品のプロペシアのみを当院では処方できます。申し訳ありませんが、ジェネリックのフィンペシア希望の方は有効性や安全性など考慮して処方できません。

2021年12月15日

今後の帯状疱疹の患者さんの動向 預言『このままでは10年後にはさらに倍に』

以前から何度も伝えておりますが、帯状疱疹の患者さんは今後も増え続けある閾値を境に上昇が収まる(√のような形)と思われます。現時点でも20年前から比べて1.5倍から2倍に増加しており(帯状疱疹は定点観測ではないため正確な数が分かりづらい)、以前は日本人の7人に一人が罹患すると説明していた内容も変えなくてはいけなくなりました。なぜこのように増えてきているのでしょう。それは日本人の水痘帯状疱疹ウィルスの抗体価が徐々に下がってきているためです。
水痘の予防接種をしたために帯状疱疹になりやすくなったという方がいらっしゃいましたが、間違っております。水痘の予防接種の接種率の上昇より前から帯状疱疹の数は増え続けております。医学的に水痘の予防接種を受ける若年層と帯状疱疹になりやすい壮年ー高齢者は異なります。ただし関係が少しありまして、水痘の予防接種を打って得た抗体価は、実際にかかって得た抗体価より低い事が多く、水痘の予防接種を打って育った現在の世代の方は水痘にかかる機会が多かった以前の方々より帯状疱疹になりやすくなります。
では帯状疱疹の数を減らすために何をすれば良いのか?帯状疱疹ワクチンを早く打ってください。現在日本では50歳以上の方の任意接種となっておりますが、全然進んでおりません。水痘の予防接種の時も任意接種の時はかなりスピードが遅く、定期接種になってからようやく進みました。栃木県で助成している自治体はありませんが、名古屋市や文京区など各自治体で助成をしているところもあり、国が定期接種として認可してくれたり啓蒙が進むと良いと思います。

2021年11月12日

小児の食物アレルギーと大人の食物アレルギーは別物

食物アレルギーといっても小児の場合と大人の場合では原因も検査方法も対処法も異なります。小児の場合には鶏卵、牛乳(ミルク)、小麦の頻度で多く、検査は採血でIgEの数値を調べて判断したり、即時型の場合にはプリックテストなどの皮内反応を行います。対処も小児の場合には免疫寛容の可能性が高く、徐々にからだに慣らしていって将来接種できるようになることも期待できます。一方、大人の場合には小麦、魚、甲殻類によるものが多く、感作において経皮的、経気道的などの割合が高くなり、動物の関与なども多くなり複雑な過程を経ます。大人の場合の検査は、小児と異なり採血でIgE抗体が出ないことも多く、エビ、カニ(交差感作しやすいタコ、イカ)などは採血検査で分からないことが特に多く誘発試験が必要になることもあります。前述した花粉症が関係するPFAS、マダニが関係する獣肉アレルギーや、Pork-cat syndrome, Bird-egg syndromeなどの場合もあり、小児の食物アレルギーのようにすぐには原因が特定しにくいです。そのため大人の食物アレルギーの検査には保険適応外の項目が多くなります。大人の食物アレルギーの対応として小児とは異なり経腸感作のみでないため、ただ接種を避けるだけでなくN95マスクなどの防塵マスク、手袋の着用などが必要になることもあり、約80%の患者さんが生涯にわたり症状を呈することがあり、感作した場合も重症化しやすいのでエピペンなどの所持を薦めております。

2021年11月4日

徳島県の某町立病院でランサムウェア感染ー町立病院にどこまで求めるの?

昨年10月のコラムでも記載しましたが、日本でも出てきました。電子カルテ化を進めネットワーク化、ビッグデータを収集するようになると重要情報を預かっている医療機関はハッカーの格好の標的になります。そして日本でこういう事例が起きても犯罪者には罪が軽く、医療機関には『セキュリティが甘い』、『ハッキングされても診療できる体制を整えていない』など罪が重くなります。現在もマイナンバーなどネットワークを組めといわれておりますが、セキュリティは甘く、町立病院に負担させるのでしょうか。このままでは電子カルテでなく紙のカルテに戻る自治体病院が増えますよ。少なくとも医療機関が利用料金を払っているのに、暗号化すらされていないレセプトの電子送信を早く暗号化してください。

2021年9月7日

TOKYOオリンピック閉幕

小生はご縁があり、北陸にあるクアドラグビー(車椅子ラグビー)の車椅子制作会社さんにお邪魔したことがあります。通常の車椅子とは全く違うつくりであり、とても感動しました。栃木県の『車椅子マップ』作成にも関わらせていただき、当院は車椅子の方でも利用しやすいよう栃木県バリアフリー条例を守っております。オリパラ選手の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。

2021年8月25日

食欲の秋 花粉症の秋?ースパイスカレーでOAS口腔アレルギー症候群

近年日本では花粉症の低年齢化が進み、スギ花粉のみアレルギーを持っている方が特徴だった日本も欧米化され、夏、秋の花粉症も持っている方が多くなってきております。今まではいなかった2歳、3歳で花粉症になるお子さんが増え、冬以外一年中悩まされる大人も増えてきているんですね。このご時勢でマスクをするから問題ないと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、花粉症は一つのアレルギーマーチの通り道でもあり、アトピー性皮膚炎や喘息同様に花粉症を合併されると他のアレルギー疾患にもなりやすくなったするため、花粉症自体での悩みがなくても、アレルギー疾患を発症する可能性が高いため問題となります。
口腔アレルギー症候群というものがあり、食物ー花粉症での交差感作によりある果物や野菜を摂食してアレルギー症状を呈するようになるものです。秋の花粉であるカモガヤ(イネ科)、ブタクサ(キク科)、ヨモギ(キク科)の花粉症を持っている方の中には、セリ科の野菜などで血圧低下、蕁麻疹などアレルギー症状が出る方がいます。最近話題のコリアンダーやクミンなどのセリ科のスパイスで反応が出た方がおり、皆さんヨモギの花粉症を持っておりました。スパイスたっぷりのカレーは美味しいのですが、秋の花粉症をお持ちの方はご注意を。

2021年7月27日

医療広告ガイドライン改定につきまして

当院HPのスタッフのサイトにて自費診療に使用している医療機器、医薬品の情報を開示しました。当院では正規品のみ使用しております。ご安心ください。

2021年7月13日

フランスでも医療従事者のワクチン接種が義務化 9/15以降

以前のコラムでも記載しましたが、パンデミックの場合はワクチン接種が義務化される可能性がありますとお話申し上げました。フランスでは全国民ではなく、まず医療従事者に対して義務化が始まるそうです。AFP通信によりますと、世界的に成人全員に義務化されている国もあり、医療従事者に義務化されているのは、イタリア、アメリカのある州、ロシアの一部、カザフスタン、9/1からギリシャ、10月以降にイギリスなどだそうです。医療機関にかかる人からすると、医療機関ではコロナワクチンを打っている、感染対策をしていると思いますものね。
医療従事者・高齢者から接種を開始して順調にワクチン接種率が向上しており、感染者数も少ない今の日本ではまだ話題にもならないと思いますが、重症者の増加に対してワクチン接種が進まなくなった場合には、ワクチン接種歴、PCR陰性歴がまず表示されるようになるでしょう。

2021年6月30日

コロナワクチンの副反応として、Sweet病が報告されたそうです。

まだ文献など読んでいないため詳細は不明ですが、Sweet病は、血液内科と皮膚科ではよくみる疾患の一つです。病因は明らかになっておりませんが、感染症などに対する過敏反応でG-CSFやIL-6の関与のものと好中球が活性化されて発症すると考えられております。起因としてはLeukemiaやMDSなどの内臓悪性腫瘍やG-CSF製剤などが多く、特徴的な所見としては全身の好中球浸潤による炎症所見があるにも関わらず、血管炎はないことになり、皮膚生検がとても有用になります。炎症を抑えれば当然良くなるのですが、だからといって全身検査やきちんと皮膚生検など診断をせずに加療を開始すると原因不明になったり、悪性腫瘍の見落としにつながります。特徴的な組織所見として真皮全層の好中球浸潤、好中球性皮膚症であるにも関わらず、他疾患との違いで血管炎(leukocytoclast vasculitis)の所見を欠いているのが、皮膚科専門医試験では有名ですね。おそらくコロナワクチンによる副反応のsweet病は、sweet病の臨床像にしては血管炎を伴っているのではないでしょうか。だとすると本当はSweet病ではなく、好中球性皮膚症と診断するのが正しいと思われます。

2021年5月31日

Green pass(passport)=digital green certification

先週までで日本で1000万回コロナワクチンの接種が終わりました。世界で一番進んでいるイスラエルでも国民のコロナワクチン接種率は6割程度であるため、日本ではおそらく5割が良い目標なのではないでしょうか。もちろんワクチン接種は自由です。公衆衛生としては打ったほうが良いですが、過去の水痘ワクチンも、麻疹風疹ワクチンも、帯状疱疹ワクチンも、HPVワクチンも打ったほうが良いものと医学的根拠を出しても日本ではワクチン接種率は低く国策として悩まされております。
外国に渡航する際にはワクチン接種歴やPCR陰性歴は大事となっており、今後世界中でこういったgreen passを持った方の経済活動が許可されるようになるでしょう。政府からはまだ台紙は配られておりませんが、ワクチンを接種された方には皆様に『予防接種済証Certification of corona vaccination』のシールを発行しておりますので、将来ご利用ください。


2021年4月23日

日焼け止めは大きく分けると2種類あります。

最近紫外線量が増えてきてそろそろ日焼け止めを意識される方も増えると思います。日焼け止めには2種類あり、吸収剤と遮断剤(散乱剤)に分けられます。その名の通り、吸収剤は皮膚に溶け込んで紫外線を吸収するもので、遮断剤(散乱剤)は皮膚の上に乗って紫外線をブロックするようなものです。イメージしていただけると分かりやすいと思いますが、当然吸収剤の方が肌にダメージを生じやすいです。特に光アレルギー性接触皮膚炎を生じやすいのは紫外線吸収剤であり、昔はpara-aminobenzoic acid(PABA)が多かったのですが今はあまり使用されなくなり代わりにoxybenzone(benzophenone-3), butylmethoxydibenzoylmethanes, isoamyl p-metnoxycinnamate, octylmenthoxycinnamate, benzophenon-4などが主な原因物質になります。

2021年4月7日

金属アレルギーの検査を承ります

以前も記載しましたが、最近県内外で金属アレルギーの検査ができる病院が減っているらしいです。紹介状や症状がある場合は保険内で検査ができます。治りづらい異汗性湿疹、歯科金属の詰め替え、ピアスであれたことがある方など、金属に限らず、ジャパニーズスタンダードでのパッチテストも行えます。金属アレルギーは採血ではほぼ分かりません。
なぜ検査ができる病院が少ないのでしょう。保険でできる検査ですが、安価であり、海外から船便で試験薬を輸入したりするので数ヶ月時間がかかったり、申請書類の記載が面倒だからなのかもしれませんね。

2021年3月29日

マダニ咬傷による糖鎖抗原感作から生じる食物アレルギー、セツキシマブのアナフィラキシー

島根大学千貫先生の論文によりますと、マダニの唾液腺中にα-Gal(galactose-αー1,3galactose)が証明され、獣肉アレルギー患者血清中IgEがフタトゲチマダニの唾液腺可溶性蛋白質と結合したとのこと。つまり、フタトゲチマダニに咬まれることで、マダニ唾液中のαーGal含有蛋白質に対するIgE抗体が産生され、獣肉アレルギーが発症し得るということになります。
また抗腫瘍薬のセツキシマブ(糖鎖α-Galを有する)にアナフィラキシー反応をきたした4名の患者のうち3名がCAP-FELIA法で牛肉特異IgEが検出されており(保険適応外のウシサイログロブリンを用いたα-Gal特異的IgEは4名全員が陽性)、事前に検査することでセツキシマブによるアナフィラキシーショックを回避しうる可能性も考えられており、マダニ咬傷を繰り返している問診と同様に重要性が高いと思われます。
マダニの被害、日本紅班熱の被害が多い島根県からの報告になり、マダニの被害が多い栃木県も今後牛肉アレルギーを精査することの有用性を考えても良いかもしれません。

2021年3月26日

マイナンバーカード利用につきまして 医療機関の本音

試験運用にて不具合が多発して3月からの運用が10月以降に遅れるそうですね。当院ではマイナンバーカードでの受診は今の所できませんので、従来どおり保険証をご持参の上ご来院お願い申し上げます。
3割の医療機関で使えるようになるらしいのですが、本当は医療機関からするとデメリットしかありません。患者さんのことを考えて3割が手を挙げていると考えた方が良いかと思われます。国のHPにはこのようにメリットが記載されております。
1.就職・転職・転居しても健康保険証としてずっと使える
2.マイナポータルで特定健診情報、薬剤情報、医療費が見られる
3.マイナポータルで確定申告の医療費控除が簡単にできる
4.窓口への書類の持参が不要になる
医療機関からすると、1はそもそも保険証の期限が切れているのに使用させている企業や自治体の問題で、移行に時間がかからないようにするべきです。どうしてもマイナンバーを使いたければ、保険証にマイナンバー番号を載せればよい話です。マイナンバーにしてもマイナポータルに反映するまでにどうしても人的ミスなど時間を割くので、問い合わせた時には使用できたが、実際は保険証が切れている事例などは国で保障するのか?企業が保障するのか?医療機関が自腹を払うのか?を事前に教えていただきたい。2は一見便利なように感じますが、閲覧環境がセキュリティ対策でクローズなため、電子カルテとの連携がうまくできない可能性があり、結局紙媒体で印字したものをOCRスキャンするのと変わらない気がします。3は患者さん本人は楽かもしれませんが、医療費控除は現在は領収書がなくてもレシートやクレジットカードの履歴などでも問題ありません。4は患者さん本人は薬手帳を持ち歩かなくてもよくなるかもしれませんが、実際に今使用している薬剤が処方内容と異なる場合などは患者さんからの申告が必要になります。つまり1-4のメリットは医療機関にはありません。医療機関のデメリットは1.ぼったくられている導入コスト、2.毎月NTTやマイナポータルなどのサイトにネット使用料として払うランニングコスト(現在でも社保や国保に毎月送るレセプトを電子にすると利用料がかかります)、3.スタッフの手間、4.今までクローズな環境でやっていたのにオープンになってしまうための新たなセキュリティ管理です。
そして国や自治体からの説明も二枚舌でいかがわしく感じます。サイトでは国民には『他者には個人情報は見られません』としながら、医療機関には『患者さんの検診情報、薬剤情報、病名が見られます』と謳っております。まず国はどこからのハッキングがどれくらいあるのかの公表、セキュリティ対策、法的対策、逮捕までの事例を促すべきだと考えます。利用してもらいたいなら、(現時点では便利ではないので)安心・安全ですとアピールをするべきです。

2021年3月8日

日医工75品目自主回収ー日本のジェネリックメーカーの今後

日医工の製品、75品目を自主回収しております。一部は効能が期待できない製品(ベポタスチンベシル酸塩)であったり、書類上の不備があった製品であったりとのこと。後発薬最大手の日医工で医薬品の自主回収が相次いだ問題で、富山県は3日、医薬品医療機器法に基づき、同社に業務停止命令を出しました。当院では自主回収製品は採用していないため問題ありませんが、ジェネリックメーカーのトップクラスの日医工が起こした問題であり、今後の対応が気になります。
日本政府がジェネリックに切り替えを推奨して20年近く経ちました。当初のジェネリック使用率も大幅に増え80%を超える勢い。ジェネリックメーカートップの売上高も2000億突破と4倍以上になっております。そろそろジェネリック使用率は頭打ちになるでしょう。勿論これからも先発品の特許が切れる薬剤は沢山あるのでジェネリックメーカーの売り上げはある程度期待できるでしょうが、10年前の勢いはなくなるでしょう。ここからが勝負です。価格は政府に決められているので値下げはできません(日本は欧米に比べ薬価が高いことが多く優遇されがち)ので零細でも生き残ることは可能です。収益を増やすためには、海外に進出して新たな顧客を開発する(沢井など失敗しましたが)、他社にはないバイオシミラー製品などを開発する(しかし結局は自社ではなく海外同様にベンチャー企業を買収する形になるでしょう)、海外に生産拠点を作り安価な人件費で担う、より高品質かつ安全性の高いものを追求するなど。まあ結局はM&Aでの買収が一番のニュースになるんでしょうね。

2021年3月1日

皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 EMPDについて

extramammary Paget's disease(EMPD)や毛包系腫瘍などの分類はアッカーマンやAmerican Join Comittee on Canser(AJCC)やUICCには乗っておらず独自のガイドライン作成が必要になります。EMPDは通常のPaget Caより跳躍転移や局所再発がしやすく切除範囲に異論がでやすく、毛包系腫瘍も通常の有棘細胞癌より日光暴露の影響をうけやすく分化しやすいなど違いがあり、日本ではより詳しく分類できます。
今回第3版で今までと異なることは下記。
・今までは3cmの切除マージンだったが、境界明瞭な場合は1cmでよい。境界不明瞭な場合は従来どおり3cm切除するか、事前にmapping biopsyは有用であり、1cm外側が良いでまず行うのが良い。
・センチネルリンパ節生検は保険適応だが、介入が弱い推奨であり、リンパ節2個以上では有意に予後が悪くなるので調べても良いが、両側そけいリンパ節郭清は推奨されないこともあり。大規模ランダムか試験がMMと異なりまだないために不明である。
・根治切除不能『Stage3b』または遠隔転移を有する症例には保険適応外ではあるが、ドセタキセルなどを推奨し、従来の5-FU+シスプラチンは推奨度が下がった。

2021年2月19日

この20年間で激変! 皮膚科でよくみる疾患

皮膚科で以前は麻疹、風疹、水痘は誰かが入院しているくらい頻度の高いものでした。麻疹(はしか)↓↓、風疹(三日はしか)↓↓、水痘(みずぼうそう)↓↓とここ20年でほとんど診なくなった感染症に比べて、帯状疱疹↑、蜂巣炎↑など増加している感染症もあります。他にも糖尿病性皮膚潰瘍、皮膚悪性腫瘍(とくに日光暴露により生じやすいもの)が緩徐に増えております。金属アレルギーなどアレルギー疾患は増えているものもありますが、アトピー性皮膚炎の数は著変はなく、花粉症同様により幼少化がみられると思います。一般的にかなりひどくなってからご来院される方は減り、早期発見できる数が増えているように感じます。
遺伝疾患も原因遺伝子が特定されるようになり、その有無を今では検査ができるようになったり、その人に沿って加療を選択できるようなったりしております。悪性腫瘍に対してさらに有効な治療法が確立しつつあります。
ここ20年で教科書の内容もガラリと変わりました。しかしながら昔の教科書の方が詳しいものもあります。

2021年2月10日

ここ数年で帯状疱疹ワクチンをどれだけ打てるかで将来が激変

帯状疱疹のワクチンは以前からある生ワクチンZostavaxと昨年から新しく使えるようになった不活化ワクチン(シングリックス)があります。どちらもワクチン接種により帯状疱疹になりづらくなる、なっても重症化を抑える(PHN発症率)ことが確認されております。実はワクチン接種により水痘の患者さんが激減したため、自然に取得する抗体価がワクチン接種による抗体価では少なめになってしまう可能性が高いため、水痘の患者さんが激減している日本では帯状疱疹の発症は増えるのではないかと小生はみており、現実にここ十数年で帯状疱疹の患者数は増加しております(3年前のコラムにも記載済)。
国立感染症研究所では『水痘ワクチンを接種された小児が将来, 壮齢・高齢になる社会では, 帯状疱疹を発症するリスクが低下すると報告されている4)』との記載がありますが、これは誤解を生む表現で、水痘ワクチンを接種されていない小児よりは接種された小児の方が将来帯状疱疹になりづらくなるだけであり、自然に水痘に罹患して獲得した抗体価よりは少ないので、高齢者が多く自然に水痘に罹患して抗体価を高く持っている今の日本人(高齢者>成人>小児)たちよりは将来帯状疱疹になりやすくなると思います(帯状疱疹の患者数は増えます)。つまり、小生の言う通りなら水痘ワクチンを接種し始めてもしばらくは帯状疱疹の総数は増えて行くということになります。ちなみに、水痘ワクチンが定期接種化し始めて6年経ちますが、その間も帯状疱疹は増えております。
早く国は帯状疱疹ワクチンを定期予防接種化するべきですし、帯状疱疹に詳しい先生のところへご紹介ができればと思います。もちろん帯状疱疹になってしまっても、小生は重症化を抑えるように考えて加療しております。


2021年1月29日

ハリウッド俳優がBCCの経過を報告

日光暴露により生じやすい皮膚癌に何度もかかり、加療を受けていた某有名俳優さんも自身のインスタグラムで無事な経過を報告して、日焼け止めの外用、皮膚科受診を促しております。
Get your skin checked. I’m all clear. Make sure you are too.
「3ヶ月ごとの検診をちょうど終えたところだけど、皆にも検診に行くことを忘れずにいて欲しい。(検査は)たった5秒しかかからない。いまの僕は、何の疑いもないクリアな状態なんだ。ほっとしたよ。だから、(君たちも)やるんだ」

♯ヒュー・ジャックマン


2021年1月18日

昨年の皮膚科専門医試験を解いて

昨年はスケジュールの都合上、試験内容の公表が今年まで遅れましたが、今年も解きました。日本で5人くらいしか過去にいない稀な疾患名を答えさせたり、熱傷の問題がなくなっていたり、創傷治癒の基本問題などがなくなっていたり、手術や手技の問題が少ないかなと思いました。専門医の質の向上においてはもちろん必要なことですが、より重要な問題はその専門医に相談されないことが多くなっていることだと思われます。総合病院の常勤の皮膚科の先生が減っており、非常勤が増えて、紹介や医療連携など減っていると感じます。非常勤が増えてもせめて紹介率が増えれば良いのですが、高位や他科に紹介状をどういった時に書けばよいのか?を分からないまま勤務を過ごしてしまうのは残念です。従ってもっと他科との関わりが強い問題を専門医試験に導入して欲しいと思います。
例えば、糖尿病や透析中の方のフットケアは今は当たり前に行っておりますが、もっと皮膚科の先生が率先して対応するべきで、
・透析中の患者さんのケアで皮膚そうよう症、皮脂欠乏症の対応をすることなど
・糖尿病の患者さんのケアで鶏眼の処置をすることなど
・外来化学療法での抗癌剤の血管外漏出(点滴もれ)での初期対応など
・他科の切除した創部による瘢痕形成に対する治療法、切除法など
・当科で使用する薬剤の副作用で他科に診て貰うような例など
上記のような問題を専門医試験に増やしてくれると良いと思います。

2021年1月14日

2020年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              3人  3       0
MM               1人  0      1    悪性腫瘍切除術
SCC              0人  0      0
Bowen             1人  1       0
AK、Pagetなどその他       1人  0       1     悪性腫瘍切除術

皮膚悪性腫瘍は他の癌と異なり、目で確認しやすいため早期であることも多く、自治医大の統計では9割の方が初期対応で切除のみで済む事が知られております。自分で見づらい場所もあり、他院からの紹介状を持参される方がもっと増えると良いですね。昨年の新規皮膚悪性腫瘍でご来院された方のうち、紹介状を持参された方は一人もいませんでした。

2020年12月17日

イトラコナゾール(小林化工)での睡眠薬成分の混入につきまして

当院でイトラコナゾールの後発品は一切処方しておりませんので当院を受診された患者さんはご安心ください。他院で処方された患者さんは留意され内服しないようお願い申し上げます。
小生は以前から間違えやすい薬剤での誤処方や誤使用を防ぐために、似たような名前の薬剤の採用をせず(例えばある抗癌剤とある降圧薬など)、似たような容器を採用せず(例えばヒルドイドソフト50gはロゼックス50gと似ているので採用せず)といった風に当院で行っております。もちろん、それでも誤使用などは有り得るため、情報を常に仕入れております。今回は工場での混入とのことですが、生産ラインを別にするなど物理的にミスを起こしにくくしたり、ダブルチェックなど行うなどが必要と思われます。

2020年12月16日

今年は多い『マスクしもやけ』

前述しましたが、しもやけ(凍瘡)も色々な病型があり、皮膚科専門医試験でも下記のように出題されることがある(よく勘違いされる)くらいのものです。
・凍瘡は寒くなると生じる→(×) 暖めても生じるものであり、温度差が重要。
一般に寒い日にできるとよく勘違いされているため、こういった設問ができるのでしょう。実は寒暖差があるときに生じやすく、寒い冬まっさかりよりは夜朝寒くて日中暖かい初冬や晩冬の方が生じやすいです。そして、しもやけの形も柿樽型と多形紅斑型があり、それぞれ違った形になります。
今年はマスクで頬部を圧迫するため、そのマスクの上部にあたる下眼瞼のうっ血性腫脹を来たしている方がとても多く、小生は『マスクしもやけ』と呼んでいます。

2020年12月15日

実は難しい『あせも』や『しもやけ』

あせもやしもやけですとお話すると安心される方もいる一方、そんな程度かと思われる方もいるかもしれません。実は『あせも(汗疹)』も『しもやけ(凍瘡)』も臨床診断が難しいこともありますし、重症化することもあります。
小生が大学病院の研修医だった時、他科依頼の外来でICUに患者さんを診に行ったことがあります。他科の先生が診て貰いたい依頼なので難しいことが多いのですが、当日突発した全身の発疹での依頼でした。患者さんは全身管理中で意識はなく問診はもちろん取れません。今はダーモスコピーなどで皮疹なども詳しく見られたり臨床経験がありますが、当時は全身の紅潮、軽度隆起した透明性の高い数ミリ大の緊満性水疱の全身性の散在など、薬疹かと思い上の先生に診察をお願いしました。上の先生はぱっと診て、『昨日とか39度の熱とかあった?』『40度ありました』、そして『あせも(汗疹)』との診断。正確には水晶性汗疹というもので、あせもにも色々種類があるのですが、あせも程度で上の先生を呼んでしまったと小生も反省しました。しかしながら今にして思えば、自分が見たことがある『あせも』や『しもやけ』と形が違う『あせも』や『しもやけ』を診断するのは皮膚科の先生以外では難しく重症化することもあるため、後輩から小生が呼ばれて診断する時には『実はあせもとか難しいから、どんどん呼んでね』とこの件を引き合いに出して説明しておりました。

2020年12月7日

福島県立医大、2017年のランサムウェア被害を公表

放射線科のPCや医療機器に感染して、正常にCT検査を行えなかった事例を報告いたしました。せいぜい数年の懲役刑の不正ログイン禁止法違反だけでなく、こういった人命を預かる医療機関に不正ログインした場合や業務に支障をきたした場合などはもっと罪状を重くした方が良いと思われます。屋根に十印を書いて空爆をさけたようにモラルに訴えてもダメですか?

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2012/02/news150.html

2020年11月30日

中等症以上の原発性腋窩多汗症に対して保険適応となった外用剤が新発売

先週末から販売されることになった、新薬、エクロックです。ソフピロニウム臭化物ゲルの外用薬であり、今までにない作用機序の外用薬になり(作用機序自体は注射薬として以前からあります)、外用剤としては塩化アルミニウムだけだった保険内処方に新しい選択肢が提示できるようになります。当院ではイオントフォレーシスをはじめ、多汗症に対して多数の治療の選択肢を提供できます。
新薬なので薦めてくるサイトも多いと思いますが、軽症ではなくあくまで中等症以上の方向けであり、他治療にて難治であった場合になど適応になりますので、専門でない先生からのご処方は難しいかもしれません。

2020年10月21日

ドイツの病院 サイバー攻撃で患者死亡

デュッセルドルフの病院にハッカーがサイバー攻撃をしかけ、患者が死亡につながったことが報道されました。ハッカーに対して殺人罪の適応になる可能性があるとして当局は問題視しております。
日本でも国が主体となりマイナンバーでも受診できるようにシステムを作ることは良いことですが、今のままではサイバーセキュリティと法整備が穴だらけでありマイナンバーとカルテなどシステムが連動していた場合、全てのシステムがシャットダウンを生じて患者さんの不利益になることは想像に足り、同様の事変が日本で生じた場合にはたらいまわしをしたとかシャットダウンしても診れるシステムを構築していなかったとして現場の医療機関の有責になりそうです。早く法整備して欲しいものです。

https://www.datacenterdynamics.com/en/news/patient-dies-after-german-hospital-it-systems-were-hacked/

2020年10月7日

HPVワクチンが子宮頸癌のリスクを半分にする

そのThe New ENGLAND jounal of medicineに今月、『HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer』
の論文が寄稿されました。RCTではないですが、スウェーデンの10代から30代の女性を2006年から2017年まで追っかけ調査をしたところ、子宮頸癌のワクチン投与により子宮頸癌は有為に減らすことが可能だということが分かりました。日本ではHPVワクチンを投与されていない方が多いので、投与されてない日本と投与されている外国との比較もいずれ論文になるでしょう。現在9価のワクチンも有用性が話題になっており、折角なので諸外国との比較で9価ワクチンを積極的に打ち始めてはどうでしょうか。

2020年9月9日

論文検索のススメ The New England Journal of Medicineと血液型

日本人は血液型占いなど血液型でパターナリズムを持つのが好きですよね。昔から雑学を色々調べたりするのが好きで医学生の時は無料で医学部の広大な図書館を使えたので、自習がてらによく利用しておりました。本に囲まれて転寝するのも好きです。科学雑誌は各社で風潮も異なり、ScienceやNeutonと比べて、The New England Journal of medicineは変わっている、先駆的な論文が多いです。その分後日取り下げられたり、訂正されたり、批判の的になって話題になります。例えば、『血液型○型は蚊に刺されやすい』といった統計学的なデータはまだ信用性がありますが、『○型は社会的地位が高い』といった内容には今でも批判が殺到しております。ちなみに現在はThe New ENGLAND Journal of Medicineのサイトで無料で閲覧でき調べるのも早く済みます。

2020年9月1日

骨髄移植後2,3ヶ月でリンパ系腫瘍、1年でMDSなど、数年以降徐々に増加する固形癌の発症が多い

競泳の池江選手が復活され、ニュースになっております。大変な事柄を経験され、筆舌に尽くしがたい思いも持っていると思います。骨髄移植後に1年間免疫抑制剤を飲まなくてはいけなかったり、1,2年はリンパ系腫瘍の出現に気をつける必要があったり、あまり知られておりませんが数年してから固形癌が生じてくる可能性があることがあり定期的なフォローアップが必要になります。
『CMLで骨髄幹細胞移植後に多発した若年皮膚悪性腫瘍(BCC)の一例』の論文を読みました。13歳の時に移植を受け、28歳男性で顔面の皮膚悪性腫瘍が出現、その後多発している方です。造血幹細胞移植後の二次癌発症は移植後5年で0.7%、10年で1.7%、15年で2.9%ですが、中でも口腔内癌、食道癌についで皮膚癌が多く一般の方の7.2倍とも報告されているとのこと。今後日本でも移植される方が増えるのでこういった定期的フォローなど必要かと思います。
小生も以前『MG治療などで胸腺摘出による間葉系腫瘍の発症率上昇』を論文にしておりまして、日焼け止めを薦めるなど皮膚癌発症を抑える活動をしております。

2020年8月3日

LINEヘルスケアなど医療相談につきまして

オンライン診療でないこういった医療相談につきましては医師が行うのではなく私は医学生や看護学生がバイトとして行うほうが良いと考えます。小生も学生の時から有料で医療相談を請け負って降りました。他に相談者として医師が多数いらっしゃいましたが医師には時間がないため、医学生ながら小生がその相談サイトでは数年間トップになりました。小生自身が医師になってから研修中に感じたことは、『少しでも時間があるなら眠りたい』です。LINEバイトなど『30分のスキマ時間に!』など広告がありますが、30分も時間があるなら眠りたいと思っていたのが本音です。ということで、医療相談に応じてくれる医師は時間をさける医師が主体になってしまうと思いますし、遠隔医療相談をしたい方からしても、医学的に正しい、専門的な回答よりも懇切丁寧な対応の方が喜ばれる可能性が高いと思います。前者を希望する方はそもそも医療機関を受診されるかと思われます。従いまして、オンライン診療ではなく安価な医療相談なら時間が取れる医学生や看護学生が行うアルバイトとして確立するのが良いと考え、オンライン診療とは異なり医師が対応する専門的な回答は期待できないかもしれません。


2020年6月30日

医薬品として認可されているのに、保険処方できずネット通販で手に入るのがオカシイ

徐々に薬価の安い医薬品を処方できなくなってきました。消費者は薬代が安い方が良いと考えると思いますが、市販化されている安すぎる医薬品は医療機関に卸してもらえず処方できなくなる可能性があります。最近では例えばアクリノール液やトランサミンなど。つくっていないわけではなく、薬価が安いため医療品として卸してもたいして儲からないから、医療品として卸さず作った分を市販に流しているのではないでしょうか。アクリノール消毒液はショッピングサイトなど市販品なら高額で取引されております。トランサミンも『トラン●ーノ』にすれば高額に販売できます。こうして医療機関では処方できなくなります。
本来ならば市販品の値段並みに薬価を上げる必要があるのですが、国民医療費が増大してしまうため薬価を下げようとする国の政策と矛盾が生じます(それでもデキサンやワセリンなどは必要性を認められて薬価が上がりました)。医薬品として認可される方がはるかに大変なのですが、折角創った医薬品を市販化するだけにして医薬品として流さないようにするのは法規制して欲しいものです。

2020年5月13日

市からのマスク配布、有難うございます。

栃木市の医療機関に市から貴重なマスクを配布されており、本日受領しました。有難うございました。国民各人に配られる2枚のマスクもまだですが、国からの医療機関へのマスクも当院は受領しておらず市からのこういった支援はとても助かります。
マスコミもかたや医療従事者を支援しようと叫びつつ、半年前のその記者の文章では高額な国民医療費はもっと官僚が管理するべきだと述べています。日本では原材料費や人件費も高額になります。すでに診療内容や処方量や処方薬など多数制限されております。それでも医療レベルを考えると日本の国民医療費は格安です。問診もそうですが、医学的な内容については特にマスコミの方は正しい情報を伝えてほしいものです。

2020年4月20日

粉瘤の切除などできます

小さいうちに切除を薦めておりますが、放置すると大きくなったり二次感染を起こして疼痛を生じたり炎症が波及します。炎症を伴うと綺麗に切除しても癒着が多く傷跡が目立ったり瘢痕の原因になったりするので、炎症が強い時期には全部とることができず切開して膿を出すことに留める事もあります。切開した場合は見かけの傷は小さいのですが、中まで綺麗にできないとまた洞窟の入り口だけが塞がり中にポケットが残ってしまいますので、切開した後は丁寧な消毒処置などが必要になります。写真の場合は背中に10cm以上の大きな粉瘤がありましたが、ご本人の強い希望もあり全部一度でとらせて頂きました。


2020年4月2日

なぜオンライン診療をしている所が少ないのか?

2017年に遠隔診療についてのコラムを書き期待しておりましたが、2018年の診療報酬改定でオンライン診療が発表され、そのあまりに少ない点数(普通に診療していた方が遥かにマシなレベル)と厳しい要件基準(自費でも保険でも初回不可)のため、オンライン診療をする医療機関は少なくなり、またするところも保険診療ではなく自費診療で行うことが多くなりました。安全性、正確性を犠牲にしても採算も取れず、要件基準違反とも言われかねないならオンライン診療をやるところは少なくなりますよね。
さらに今年度の診療報酬改定で『オンライン医学管理料(100)』は廃止となり、『オンライン診察料(70)』が新設され減点になるので、オンライン診療を薦めるといった政府の方針と矛盾しているように伺えます。先日、首相がオンライン診療を薦める発言をしましたが、言うこととやっていることが違いますよ。
ちなみに、当院でオンライン診療をしていないのは日本皮膚科学会でも提言している通りです。小生自身は医師になる前から医療相談など受けおっておりました。

2020年3月24日

卒業生の方、ご卒業おめでとうございます!

思ったような卒業式ができないかもしれませんが、その式の規模や大きさなどより「思い」の方が大事だと思います。
小生も大学を卒業したときに、卒業式自体よりも式の後に部活の後輩達からもらった「黄色いバラ」の方が思い出深いです。
黄色いバラの花言葉は。。。。。後輩達に悪くしたことはないつもりなのですが、気にしすぎでしょうか。
「黄色いバラの花言葉は○○だよね。。。」と聞くと皆さん笑顔で答えてくれました。
どうやら学生時代の小生の生き方に対するものだったそうです。卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます!


2020年3月12日

大学病院を辞める時

転勤、卒業のシーズンですね。小生も長く大学病院に勤務して辞めるとなったとき、通常は徐々に申し送りをして仕事量が減っていくのですが、小生の場合は辞めるその日までスケジュールがキツキツでした。(他の先生は空いているのに)私が担当する手術が3ヶ月先まで全て埋まっており、それでも足りずに救急外来、一般外来、病棟でも手術してました。そして何故か同僚や後輩や普段お世話になっている看護師さん、ICUナースさんが患者さんに多くなり、「同性の医師や、私より上手な先生(S先生など)もいっぱいいますよ」と伝えても小生には頼みやすいのか、最後の3ヶ月間は手術枠が溢れておりました。今でも美容外科のバイト先でそこのスタッフや先生を手術することがあり信頼されていると思う反面、私の手術枠だけ一杯なのは申し訳なく思ったりします。

2020年2月18日

栃木県の大学病院の特徴

病院情報局などから現在は全国の病院に通院する患者数が分かります。https://hospia.jp/toplst
このようなサイトがあると便利ですね。実は栃木県の大学病院、獨協医科大学病院と自治医科大学病院はともに全国でも患者さんの数が多いことで有名です(病院情報局では第10位と第18位)。以前はもっと患者さんの数が多かったのですが、今でもかなり多い方になります。そして研修医数は都内などに比べると少ないので、一人の研修医が対応できる数は多くなります。その為都内で研修するより多くの患者さんを診ることができるとして真面目な研修医の研修先としても人気が高くなっております。
中でも皮膚悪性腫瘍は栃木県の県立がんセンターには皮膚科がないので(訂正:現在は週1回非常勤のみ)、上記大学病院では皮膚腫瘍、軟部腫瘍なども都内より多く診ることができます。

2020年2月7日

今年度の診療報酬改定につきまして

4月からの診療報酬改定で、ようやく診療情報提供書3(アラビア数字)が追加されます。これは今までの紹介状やセカンドオピニオンとは異なり、紹介状の返事や入院中経過概要や退院後指導など本来必要な書類がようやく保険請求できるようになったということです。小生は以前から綿密な医療連携の為にはこの必要性を説いておりましたが、ようやく認められるようで嬉しく思います。
例えば他院から当院に薬疹で紹介して頂いた場合に、小生は今まで無料で薬疹の経過予後など説明したり、治癒後に精査してどの薬が原因かがはっきり分かった場合に紹介元に連絡したりしておりました。もちろん患者さんにも伝えており患者さんから伝えれれば良いと考えることもできますが、自宅が遠い場合や専門的な内容になり難しいこともあり、封筒で郵送したりすることもあります。また当院から大学へ紹介した方の画像検査の結果や手術内容(使った糸の種類など)、経過や退院後の状況、今後のフォローなど教えてくれないこともあります。小生が大学にいた時には必ず紹介元に伝えるようにしておりましたが、無料であることもあり忙しい中なかなかできない先生もいらっしゃいました。
4月からこの医療連携に安価(3割負担450円)ですが、ようやく保険点数がつくようになります。

2020年1月28日

2019年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              0人  0       0
MM               0人  0      0   
SCC              2人  0      2    悪性腫瘍切除術+植皮術、化学療法
Bowen             1人  0       0
AK、Pagetなどその他       3人  0       2     悪性腫瘍切除術、外用療法
乳癌皮膚転移           1人  1       0

徐々に毎年見つかる悪性腫瘍は減ってきており、小さいうちに、より早期に見つかるものも増えてきております。ただ、中にはかなり進行してからご来院される方もいらっしゃり切除など加療もしたくないという方もいらっしゃいます。どのような場合にも対応できるようにメトロニダゾール外用薬、Moh's pasteなども現在ありますので、ご相談ください。

2019年12月12日

当院ではターミナル(末期)の方の終末医療に関して麻薬を含めた疼痛管理を行えます。

先日沖縄の医師が自身が麻薬施用者の免許を持っていなく、他の医師の名前で術後の患者さんの疼痛に対して医療用麻薬を処方したことで逮捕された事件が報道されました。小生は大学病院にいたときから終末医療にも携わっていたため、継続して麻薬の免許を持っておりますが、麻薬の免許申請や更新に手間がかかったり高額であったりして申請されない、返却してしまう先生もいらっしゃいます。
日本は昔から「輸血の使用量が多い」にも関わらず「医療用麻薬の使用量が極端に少ない」ために諸外国から「吸血鬼」と言われております。医療用麻薬の使用量はここ数年徐々に増えてきましたが、それでも諸外国に比べると1/10であったりして少ないです。「痛みは我慢するもの」、「我慢するのが美徳」のような風習や文化があるためと思いますが、過度の痛みはやはりつらいと思います。今でも免許を持っているのは痛みが少なくて過ごせるよう選択肢を提示できるためです。
なお医療用麻薬を日本で使えるようにしましょうとは言っておりません。

2019年12月6日

獨協越谷病院での会議 下っ端の意見を吸い上げてくれて有難うございました

そんな忙しい環境でも研修医(レジデント)の勧誘は必要で、当科にも医師1年目、2年目の方が回ってきてその対応をしておりました。ICUに長く勤務したこともあり、皮膚科だけでなく救急対応なども教えることができて好評だったようです。ある会議で研修医を増やすためにとの議題で、「対応した指導医にインセンティブを」と考え、研修後の研修医にどこの誰が指導医として良かったか?をアンケートとって、その指導医にボーナスをあげたらどうですか?と意見を言わせていただきました。若輩で末端の私の意見を病院長が「それはいい考えだね。確かに給与は差をつけられないから、賞与という面で行いましょう」と実行してくれました。小生は翌年大学病院本院に戻ってしまいましたが、同期の指導医の先生の賞与が増えたのは私のお陰だと後日知れ渡りました。いえいえ、病院長と優秀な指導のお陰です。

2019年12月4日

原因不明の意識消失発作で入院となった慢性蕁麻疹の若い女性(実話)

越谷の話をしていて思い出した忘れられない方がいるのでお話をします。
20歳代の女性、慢性蕁麻疹で皮膚科に通院歴があり。ある夜、急な意識消失にて救急搬送、救急外来から問い合わせの電話があった。「そちらにかかっているのですが、何かありますか?」。慢性蕁麻疹で通院されており、抗アレルギー剤を内服されていたが、来院の度に採血を薦めていたが検査できなかった、時間がない、忙しい、抗アレルギー剤内服で蕁麻疹が治まるとのことであまり強くは勧めていなかった方だ。救急外来に向かいながら電話で状態を聞きおそらくアレだろうと推測し、「RTAですね。」と伝え、電解質、尿検査を教えてもらい低カリウム血症を確認。助かりましたが、シェーグレン症候群の遠位尿細管性アシドーシスを伴った慢性蕁麻疹と診断。
この方を経験してから、若い方でも慢性蕁麻疹の方には検査を薦めさせて頂く様になりました。

2019年12月3日

手術件数の公表をみてー思い出す地獄のような日々(笑)

今年もあと僅かになってきましたね。最近は病院で手術件数なども公表するようになり、患者さんが選択する際の材料にもなっております。獨協医科大学埼玉医療センター(旧獨協越谷病院)の皮膚科に以前勤務したことがあり、年間手術数など記載されていたので自分の時と比べてみました。小生の時は小手術も含めると年間800件以上で手術全てをほぼ一人で行っておりました(1日3-4件)。HPによると現在の埼玉医療センターの皮膚科の医局員は21名もいらっしゃり手術件数は年間600件程度だそうです。うらやましい環境ですね。当時は午前に獨協医科大学病院に行き外来をして午後に越谷病院で手術をして入院も診るなど、多忙な環境で働いておりました。移動が間に合わなくて新幹線で向かったりもしていましたね。3ヶ月くらい病院に寝泊りしたこともありました。当時でもコンプラ的にアウトですが、自分が患者さんだったら、手術件数が多くても疲れきっている医師には診てもらいたくないですよね。

2019年11月27日

ピレスロイド抵抗性アタマジラミ症-地域性

ここ栃木県だけでなく、東京や埼玉県、静岡県など多数の場所で診察をする機会があり、その地域特殊性の感染症などに遭遇することがあります。例えば栃木県では海がないので海洋生物による被害は少ないのですが、マダニは多いなどあります。また同じ疾患でもその地域により薬に対する耐性が強いものもあり、有名な所ですと沖縄県のアタマジラミ症があります。沖縄県のアタマジラミはピレスロイド抵抗性が9割以上(kdr変異96%)あり、実際小生も沖縄で長く診察をされている抵抗性のアタマジラミの方を診たことがあります。アタマジラミ症に保険適応になっている治療薬では治療抵抗性があるため、保険外の加療や色々なケアーの仕方を薦めたりしました。幸い小生が沖縄で診た方も後日担当医に伺ったら良くなったとのことで、その地域での特殊性も加味した診察が必要になると改めて感じました。
1.髪を短く、梳き櫛で毎日梳かす。
2.美容院のヘアーアイロンのような高温、長時間の環境をつくる。
3.保険外だが、イベルメクチン外用ローション(Sklice lotion)、イベルメクチン内服療法、ジメチコン外用(LiceMD)、ベンジルアルコール外用(Ulesfia)もあるので担当の先生とご相談してください。


2019年10月31日

問題62. 納豆アレルギーについて正しいのはどれか? 2つ選べ。
1.用量依存性に症状が起きる。
2.サーファーに罹患率が高い。
3.プリックテストは通常陰性である。
4.摂取2時間以内に蕁麻疹、呼吸困難などの症状が生じ遷延する。
5.納豆以外の大豆食品(醤油・豆腐・味噌)にもアレルギーを起こす。

以前の小生のコラムにも記載してありますので回答は容易だと思われます。クラゲに刺される機会が少ない栃木県では余り見ないのですが、観光地では多くよく見ます。豆乳アレルギーには花粉症を全例で合併していたなどの論文とともに、島根医科大学の論文は独特で面白いものがありますね。

2019年10月30日

問題40の回答

回答 1.5.
回答選択肢はいずれも壊死性筋膜炎、ガス壊疽を生じさせる病原体ですね。以前は別疾患として区別していましたが、近年はガス産生菌かどうかなどで壊死性筋膜炎とガス壊疽を一つの疾患としてとらえるようになっております。いずれにしても問診を詳しく聞いたり、創部培養、血液培養が必要になりますし、自分で顕鏡してグラム染色をするだけで培養結果を待たずに迅速に絞り込むことができますので、このような問題は臨床上もとても役に立ちますし必要です。レントゲンでガスが見られたり、握雪感があれば分かりやすいですが、発祥早期では分かりづらいこともあり、自分でグラム染色を覚えて欲しいという出題者からのメッセージだと思われます。

1. Aeromonas hydrophilaは以前ビブリオ科に分類していたと思いますが、嫌気性グラム陰性桿菌でガス産生能があり、ガス壊疽になり得ます。
2. Bacillus cereusはグラム陽性桿菌です。好気性か嫌気性かは不明でガス産生能がないと記載があるにもかかわらず、ガス壊疽としても報告例がありますが、顕鏡ででっかい四角が見えたら、まずこれです。
3. Clostridium perfringensは壊死性筋膜炎の頻度としては一番多いものになると思われます。以前はクロストリジウム属か非クロストリジウム属かで分けていました。嫌気性グラム陽性球菌です。
4. Listeria monocytogenesはグラム陽性桿菌です。ちっこい四角です。
5. Viblio vulnificusは嫌気性グラム陰性桿菌で、非クロストリジウム属のガス壊疽では有名ですね。

2019年10月29日

今年の皮膚科専門医試験を解いて

丁度洪水の被害があり、水害に伴って生じやすくなる感染症についての問題もありましたので記載します。

問題40.生魚の摂取により壊死性筋膜炎を生じるグラム陰性桿菌はどれか? 2つ選べ。
1. Aeromonas hydrophilia
2. Bacillus cereus
3. Clostridium perfringens
4. Listeria monocytogens
5. Viblio vulnificus

水害に伴って生じたと考えられる壊死性筋膜炎という感染症についても留意しなくてはいけませんね。原因が異なれば治療法も異なります。

2019年10月15日

台風に伴う栃木市など洪水被害につきまして

当院に関しましては停電や断水などなく通常診療に影響はございませんが、近隣の方や患者さんなど通院が難しい場合など当院連絡にて予約の変更を行っておりますので声をかけてください。また必要な方にはミネラルウォーターの配給も当院備蓄分でわずかですが配っております。作業をする方用に強力な虫除けなども使用できますので当院診療時間内にお越しください。保険証を紛失された場合には国保の方はそのままで、社保なら事業主の名称又は住所と電話番号を教えていただければ、保険証なしで受診することもできます。

2019年9月11日

健保連は国民を健康にしたいのではなく、政府の支出を減らしたいだけ

医療費を削減しようと健保連は湿布、花粉症の薬なども市販品で代替して保険適応外にするよう提言がありました。以前同様なことをビタミン剤で言われ、当院ではビタミン剤の処方はしなくなりましたが、結果的にどれくらい医療費は削減されたのでしょうか?今回花粉症の薬を市販品にすることで削減できる医療費は600億円とのことで、医療費の1%程度とのことです。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/082300624/

医療費を削減しようとしているのではなく、政府支出を減らそうとしているだけで、実際に皆さんがドラッグストアなどで購入する薬剤費は10倍以上になり家計にかかわる医療費ははるかに増えます。見かけ上の「日本政府の」医療費が「ちょっと」減るだけです。
まず医療費を削減する必要はあるのでしょうか?以前のコラムでも記載しましたが、日本の医療費は先進国でも最低レベルに低く抑えられております。本来ならば健保連の仕事は「医療費を減らすこと」ではなく「組合員、社員の健康増進」のはずです。予防接種を促して、インフルエンザや風疹になって医療費が高額にならないようにするべきです。花粉症が原因で仕事が遅滞したりミスをしたりするのを減らすよう促すべきです。
ちなみに本気で医療費を削減したいなら、医療費の中の占める割合が多い薬剤費、薬剤関連費を下げるのが効果的です。つまり薬価を下げる、処方箋料を下げる、調剤料を下げることです。見かけ上医療費を削減したいなら、混合診療を解禁して保険診療から自費診療へ促せばよいだけです。例えばフリーアクセスをなくしても、国民会保険制度をなくしても達成できます。社保だったら、社員はまず会社お抱えの産業医や提携している医療機関にかかることを義務付ければ良いだけです。かかりつけからの紹介で他院へ行かないと保険で診療できなくすれば良く、自分で他の病院に直接行きたければ社保の保険は使えなくすれば良いのです。どんどんODTで市販化させるべきです。妊婦さんなどでない限り、インフルエンザや麻疹風疹の予防接種を受けていなければ、疾患にかかったときには保険が使えないようにするべきです。そうすれば見かけ上医療費は下がります。

2019年9月10日

これからの皮膚科 2

山形県立河北病院で慢性的な赤字に対して病棟縮小、外来縮小などが問題になり、山形大病院より医師の派遣がストップすると言った記事がありました。当初、小児科、眼科、皮膚科がなくなるとのことでしたが、不採算部門ということで皮膚科だけがなくなるそうです。なぜ皮膚科のない総合病院は多いのでしょうか? それは総合病院では各科の売り上げが問題になり、皮膚科はとても収益が少ない科のためです。患者さんの数は多いのですが、学会では認められている検査が国に認めてもらえず保険外のものが多く、国に認めてもらっている保険点数も安価ですので結果的に他科と比べて収益面で劣ることが多いです。入院も診るとなると、スタッフの数は3人以上必要になります(労働基準法で8時間勤務×3)ので、短期経営的な観点からいうと皮膚科の先生を多く雇うメリットはありません。実際は皮膚科は他科との関わりが強く紹介率も高い科であり、総合診療ではとても大事になるのですが、なかなか理解されることは少なく非常勤の皮膚科の先生としか付き合いがない場合は上手な連携も覚えません。多くの総合病院では皮膚科は非常勤だけ、週数回だけの勤務で安価に雇用されることが多くなり、皮膚科への適切な紹介も難しくなるでしょう。

2019年8月28日

これからの皮膚科

ドイツのビーバー教授との対談から抜粋させて頂きます。ドイツでも女性の医学部進出などが増え、現在は医学部に入学される方の8割は女性であり、皮膚科に入局される方は7割が女性であり日本と同様に一番女性比率が高い科だそうです。今の研修医は週40時間以上働いてはいけないといった法律に守られ、各大学病院でもそのような勤務を促されているそうです。素晴らしい働き方改革ですが、やはりビーバー教授も自分の時はもっと長く大学や病院に残りアカデミックな研究を毎日12時間以上していたので、今の若い方への対応が難しいといった懸念をもたれておりました。
現在、日本では医学部に入学される方の5割が女性、皮膚科に入局される方も5割以上女性です。男女関わらず勤務時間は徐々に短くなっておりますが、快活で手術が上手なS先生や信頼の置けるI先生など多くの方を知っております。勤務時間に差があっても給与には反映されずらく、長時間勤務する先生が割に合わないと感じるようになっております。薬価や処方など多くの先生ができる事はもっと安価になってよいと思いますが、正確な診断学や適切な処置、手術などの手技はもっと欧米並みに高額になって先生ごとに給与に差を設けても良いと思っております。このまま時短勤務の医師が増え、正当な評価をしてくれない場合、キューバみたいに医師を他国に派遣する(そしてそのまま戻ってこない)ようになり海外へ有能な先生が流出される可能性があります。

2019年8月26日

皮膚悪性腫瘍取扱い規約第3版 メラノーマ診療ガイドライン を読んで

2002年6月に第1版が公表されてから約17年が経ちます。当時メラノーマのガイドラインは約20ページでしたが、今回のガイドラインでは約100ページもあります。以前より良く行われていた化学療法のDAV-feronなども後ろ向き研究のデータで統計学的に効果が低くあまり推奨しないと変更されております。皮膚科専門医、皮膚悪性腫瘍専門医の問題自体が変わりますね。私たちが行っていた手術範囲も以前は3cm以上の間隔をあけて原発巣を切除していた進行したメラノーマも今は2cmでよいとガイドラインに記載されるようになり、当時なかった分子標的約やオプジーボのような免疫チェックポイント阻害薬があることもあり、化学療法ががらりと変わりました。
とくに印象に残ったのは、センチネルリンパ節転移陽性例にリンパ節郭清術を行うべきか?の回答として、実施しないことを提案すると委員の方が統一見解を出したことですね。術後抗PD-1抗体やBRAF阻害薬+MEK阻害薬併用療法が使えること、切除不能の進行期の方にもこれらの薬剤で全生存期間が延長できる可能性があることが分かり、早期リンパ節郭清をそこまで薦めなくても良くなったこともあります。

2019年7月17日

無給医の問題ー医師の就職先のお話

NHKで取り上げられてようやく話題になっていますね。小生も無給の時期がありました。大学病院からは給与をもらわなく、逆に医局費や研究費など支払わされていました。無給医は大学病院での話になると思います。一般病院では無給、すなわち契約をせずに診療をさせる行為を病院が黙認していたことになるので、一般病院では無給医はほぼ存在しないと思われます。大学では大学院生や無給助手などの自己研鑽の名の下に無給医が存在します。なぜ無給医がいけないのか?の問題の本質は、サービス残業ならぬサービス勤務のみならず、無給医の医療行為を勤務先が黙認していること、その責任を勤務先が負ってくれないことに挙げられると思います。過労死しても勤務先が責任を取ってくれない(敗訴する)のです。某メディアの報告では2000名以上の無給医がいるとのことですが、なぜ無給医の問題が見過ごされていたのでしょうか。それは無給医でも良いと考える医師が多くいたからです。
小生の場合は、そもそも大学病院を選んだのは経験やスキルを積むためであり、給与目的ではないので構わなく、バイトも行けたので実際に贅沢しなければ食っていけました(電気水道は止められたことがありますがw)。
医師は、大学を卒業してどこに就職するか、の問題から始まります。研究をしたいから大学病院に行く人、良くある疾患を沢山診たいから一般病院に行く人など様々な選択肢がありますが、小生のように最初から大学病院を選ぶ人は『どM』な人です。給料は安いし長時間労働で休みは少ないし、雑務は多いし、研究や臨床経験は積めますが、高収入を求めて研修先に大学病院を選ぶ方は少ないと思います。大学病院では『研修医はゴミ』と以前は言われたりしていました。一般病院の方が給料も良いし人間として扱ってもらえます。小生の時くらいから徐々に大学病院を初期研修先に選ぶ方は減ってきて、3割くらいが大学病院、6割が一般病院などだったと思います。つまり、この無給医の問題は大学病院を研修している少数の方のみが関係しており、多くの一般病院を研修している方からすると、『無給医になる可能性があるから一般病院を選んだんだ!』と自己責任論となりやすいです。
したがって、医師の中でも無給医は必要悪、とおっしゃる方もいらっしゃいますし、無給医は自己責任といわれる方もいらっしゃいます。ゆえにこの問題はおそらく大きくならず、ですが各大学病院で雀の涙ほどの給与を支払い、契約するようになるでしょう。

2019年5月24日

『さーたり』さん、まさかの知り合いでした(汗)。

現役医師でありながら漫画を執筆され、その内容も面白いため『さーたり』さんの全巻を購入してました。TVなどにも出演され本名も出されたそうで、本日その名前やご尊顔を拝見させていただきましたところ、まさかの学生時代の知り合いでした。そういえば当時から筋肉フェチで体育会系でしたな。IFMSAという組織で大学のESSのサークルで活動していたので他大学との交流も多く、当時知り合えた方々がこうやってご活躍されているのを見ると喜ばしい一方で自分が不甲斐ないと感じます。
『さーたり』さんの漫画は当院のスタッフも楽しく拝見させていただき診療の合間のオアシスのような存在になっております。


2019年5月20日

フィリピンで麻疹(はしか)の沈静化

専門家によると猛威を振るっていたフィリピンでの麻疹がここ数週間で落ちついてきたそうです。2019年では31056人の感染、415人の死亡者が確認されております。
今でもフィリピンやベトナムからの帰国者、旅行者などで日本でも麻疹がちらほら見られておりますが、これで沈静化すると喜ばしいですね。とくに成人麻疹では重症化しやすいこと、死亡する可能性もあること、妊娠中に感染すると流産しやすくなったり胎児の低成長など生じやすくなることなど留意しましょう。


風疹啓蒙ポスター

2019年4月1日

対象の男性の方にも風疹の抗体検査、予防接種に対する助成(再掲)

市役所の方によると栃木市の場合、対象の男性にクーポン券が届くのは5月中旬以降になるそうです。クーポンが届かない場合は市役所にお問い合わせください。クーポン券利用前に受けたい場合には一旦窓口で全額支払ってから後日返金になります。対象は1962(昭和37)年4月2日から1979(昭和54)年4月1日生まれの男性の皆様が対象です。クーポン券対象でない妊娠希望の方、その配偶者の方の検査、ワクチン希望の方には自治体からの助成金が出る別制度もあります。小生は多数の風疹、麻疹患者さんの診断加療の経験があります。

期間:2019年4月以降から 3年間
場所:鶴見皮膚科 予約してからだとあまりお待ちせずに受診できます
対象:1962(昭和37)年4月2日から1979(昭和54)年4月1日生まれの男性
内容:風疹抗体価の測定 抗体価が低い場合のみワクチンの接種
金額:上記当てはまる方は 無料




2019年3月28日

アレルギーの検査

当院では日本皮膚免疫アレルギー学会提唱のスタンダード全種、金属アレルギー全種のパッチテストも施行できます。当院に来られた患者さんからお話を伺うと、栃木県内で金属アレルギー全種の検査ができる診療所、病院が今は減っているらしく、小生が知っている病院でも今は行っていないとのことでした。ラテックスアレルギーはラテックスのIgE抗原での陽性率や特異度の問題があり、実際にラテックス抗原を抽出してパッチテストを行った方がより正確に判定できます。また、各種アレルゲンでのプリックテストも施行できます。薬疹の診断、加療なども行っております。当院の診察券自体が大学病院で薬疹カードとして発行していたものに代替できるものになっております。現在症状がなくアレルギーの有無のみを調べる場合には保険が使えず自費になりますので、保険診療でご希望される場合には過去の経過を記載された紹介状をお持ちの上ご来院をお願いいたします。
なお内服誘発試験や経口免疫寛容療法は他施設と連携して行っております。


2019年3月8日

はしか受診「お断り」 高槻赤十字病院で問題に

高槻赤十字病院で保健所から通常通り診るよう言われているにも関わらず、HPに『はしか(麻疹)の疑いがある方へ 診察するスペースが確保できないため、はしか(麻疹)の疑いがある患者さんのご紹介をお断りさせていただきます』との記載をし、近隣医療機関に通知した件につきまして、謝罪された報道がありました。高槻赤十字病院の院長は、古川先生で皮膚科の権威であり、皮膚科が常勤3名もいるのに真に残念であります。小生が日赤病院の部長をしていたときには、小生一人でしたが24時間、365日紹介患者さんの対応をして入院も診ており、入院外来問わず麻疹患者さんもよく診ていました(労働基準法に触れるので勧められません)。不十分なこともありましたが、当時のスタッフ一丸となって協力して日赤病院で対応しました。『診察するスペースが確保できないため』とのことですが、陰圧外来室は古い建物ではないでしょう。実際はドクターカーで診察をしていたそうですので、診療スペースの問題ではなくスタッフが嫌がったり入院隔離するための個室が足りていなかった可能性がありますね。成人麻疹だと重症化することもあり、入院が勧められることが多くあります。
HPに記載する文面や通知内容をもっとやわらかくすれば良かったと思います。『はしか(麻疹)の患者さんが多く、個室が不足しております。移動やご面会も制限させて頂く可能性があり、全てのはしか(麻疹)疑いの患者さんのご紹介に対応できない可能性がありますので、ご了承ください』などが良いかと思われますね。

2019年3月6日

薬に他剤の成分が混入? 沢井製薬の胃薬「エカベトNa顆粒66.7%『サワイ』」自主回収

レスリング選手がドーピング検査で失格になったことを契機に判明しましたが、検査していなかったら分かっていなかったことでしょう。他の成分が混入しているなんてことは、患者さんも医療関係者も想像できないことであり、皮膚科では薬疹も多くみるためとても危惧しております。沢井製薬によると原薬メーカーでの混入ではないかとのことですが、自社工場で作っていなかった、検査を徹底していなかったのだと思われます。沢井製薬は6年前にも韓国から輸入不可の原材料を仕入れ供給していることで厚労省から改善命令を受けており、原因解明、さらなる検査徹底など求められると思います。

2019年2月20日

フィリピンではしか(麻疹)が猛威 136人が死亡、約8400人の発症

フィリピンでは、デング熱ワクチン(デングワクシア)による死亡、重症化などによりワクチン全般に対する不信感が国民の間に広がり、何故か本来必要な麻疹の予防接種まで拒否するようになってしまい、ワクチン未接種の方が多くなり今回麻疹が大流行しております。

https://www.cnn.co.jp/world/35132475.html

日本でも三重県である宗教団体が反ワクチン主義をかかげ、結果的に麻疹が流行り、現在、三重県、大阪を中心に流行する事態になっております。個人的に拒否するだけでなく、子供に強いたり、その思想を広げると言った行為はやはり問題だと思われますし、法律違反(予防接種法9条)ですし、公衆衛生の観点からも定期予防接種を推奨するよう政府の方針が必要と思われます。
例えばオーストラリアでは2016年1月から「NO JAB, NO PAY」として定期予防接種を拒否するなら児童手当を満額支払わないという政策をうちだしました。予防接種を拒否され、その後感染した場合の医療費など考えるとこういった対応もあるだろうと思われます。

2019年1月30日

Q&A 現在医学生の方からのご相談です。詳細はぼかしています。

Q3. 将来(総合)内科に行くか、皮膚科に行くかを悩んでいます。また臨床研修先はどこが良いでしょうか?

A3. 内科に関しては内科の先生に聞いていただくのが一番良いと思いますので、小生は皮膚科のよい所だけ伝えさせていただきます。皮膚科のよい所は目で確認しやすいことがあります。良くなった場合には患者さんも目で見えるので一緒に喜びを分かち合えます。また経験を積むと臨床を診るだけで、診断だけでなくいつからあるか?どういった経過か?をも推測できるようになります。患者さんのお話と食い違う所があると要注意で、別の疾患が隠れていることなども考慮しなくてはなりません。まだ経験の浅い小生ですら日本で初めての薬疹であったり、稀有な疾患を診断治療できたこともあります。こういった皮膚科の目は長く経験を積まないと養われないので、皮膚科を学びたいと考えているなら親身に教えくれる方が多く長く従事しやすい環境の皮膚科に行くことをお勧めします。
小生も学生時代から多数の大学病院(東大、順天堂、昭和など)や総合病院(相模原など)に見学、留学研修などで色々な所に行かせて頂きました。実際に肌で感じないと雰囲気が分からなかったりもしますので、今のうちに色々な所を見てまわると良いと思いますよ。

2019年1月28日

良いかかりつけ病院の定義は人それぞれ

症状が落ち着いている人からすると、良いかかりつけ病院とはすぐに薬を出してくれる所、余分なことを言わない所なのでしょうし、初めての症状でかかる人からすると何でも相談に応じてくれて親身になってくれる所やきちんと診断され的確に治療される所でしょう。インフルエンザのような場合には誰にも会わない所が良いと考える人もいます。人それぞれ求めるものが異なり、全てに合致する病院を造るのは限りある資源の中では困難です。ただいずれにしても、待ち時間は短くして欲しいというのは当てはまります。

京都大学の准教授も病院の待ち時間が長いことを言及しております。
https://dot.asahi.com/wa/2019011000049.html?page=1

それでは待ち時間を減らすために京都大学病院では何をされておりますか?
番号表示システムは入れているでしょう。待ち番号、待ち時間表示アプリとの連動もあるかもしれませんが、現勤務体系で、大学病院の特性上急変が多いのは仕方なく見込み時間の正確性を求めるのは難しいでしょうし、サービスを求めるのも酷です。
患者さんの数も大学病院の外来患者数は全国的に減少傾向にありますが、まだ多いと感じます。大学病院に通院される患者さんは大学病院でないと診る事ができない方を優先的にして欲しいと思いますし、小生はそう思いながら大学病院でも働いておりました。もっと重症の方に時間を割くべきであり、重症の方が少なくなったり管理が可能になったら大学病院の外来から逆紹介されるべきと思います。しかしながらこれは勤務医の多くがそうしたいと考えていることでありながら、できていないことであります。家が近いから、今までずっとかかっているから、信頼できる先生がいるからなどの理由でどうしても大病院にかかりたいと言われる方が一定数いらっしゃり、仕方がない部分があると思います。
つまり一番手っ取り早いのは外来の医師の数を増やすことになります。大学病院の医師は重症や入院患者さんをメインに診ることを優先して外来での負担を減らすのが大事です。欧米などでは近隣の先生が大学病院の外来を行うことは良くあり、また大学病院の先生も午前は大学病院で外来をして、午後は外の自費病院の外来をしに行くなど良くあります。大病院自体がオープンシステムで患者さんを受け入れているように、オープンシステムで開業医の先生方も受け入れ大病院の外来で働いてもらうようになると良いと思います。
そしてうまく達成できた場合にも問題があります。駐車場が空いていると不安になる、待合室に患者さんの数が少ないと不安になる、行列が長い方が良い気がするなど患者さん側の心理的側面もあります。努力して待たせないようにしているのに理解されないことも多々あります。予約を優先すると、予約以外の方は待ち時間が長くなる可能性が出ます。さらに初診の方も予約を取れるようにすると診療時間を見込めません。キャンセル問題も深刻です。それでも当院では待ち時間を減らそうと努めております。

2019年1月25日

一方日本の厚生労働省では。。。(季節性インフルエンザに対する日本政府の対応)

続きコラムを書きます。日本のインフルエンザ対策は、うがい、手洗い、マスクをするなど。。。咳エチケットは必要ですが、どれも医学的には有意なインフルエンザ予防になると思われません。全国のゆるキャラとコラボしたポスターは間違っているのでいらないです。抗インフルエンザ薬内服の有無に関わらず生じる異常行動に関する啓蒙は良いと思います。
ワクチンは効果があります。先日CDCがここ数年のインフルエンザワクチンの有効率を発表しましたが、30%から60%とのことでした。それも厚労省のサイトでは載せておりません。必要なことは、啓蒙活動と公衆衛生です。
・インフルエンザに多くの方が毎年100万人以上罹患すること、1万人程度死亡することもあること。
・自身がうつらないことも大事だが、他の方にうつさないように外出を控えること。
・#8000番などのフリーコールや「こどもの救急」、「小児科オンライン」などを利用すること。
・ワクチン救済措置や薬害被害情報をもっと啓蒙すること。
・会社などワクチン接種やインフルエンザで休むのが当たり前になるように促すこと。
現役医師であまりこういったことを書くと各種方面から色々言われますので、今日はこのくらいで。

2019年1月23日

インフルエンザの対応 in 日本とイギリスの違い

ここ栃木県でも学級閉鎖など多くなり、蔓延して全域でインフルエンザ警報を発令しております。日本で季節性インフルエンザになるとよく「医療機関にかかってください」と言われますが、例えばイギリスではかなり異なります。まず「年間8000人がインフルエンザ、インフルエンザ関連で亡くなる」のが当たり前と前置きしており、イギリス政府やNHSは「インフルエンザになったら病院に行かないで」として、自宅療養を勧めております。安静にして、よく眠る。暖かくする。(薬局などで購入した)アセトアミノフェンやイブプロフェンを痛いときや高熱時には飲む(子供に飲ませる場合には薬剤師に相談して)。水を飲んで脱水を避ける。と当たり前のことを薦めております。分かっていても日本では会社を休めないなどの理由があると思いますが、イギリスでは病院に薬をもらいに行くのではなく休むための診断書をもらいに行くことが多いです。イギリスでインフルエンザにかかっても、外来では抗ウィルス薬はあまり処方されることもなく、安静にしてください、会社を休んでください、診断書出します、で大体終わります(脳症など入院になるような場合はもちろん別です)。
全世界の抗インフルエンザ薬、タミフルは7割以上を日本で消費しております。処方されないと患者さんから苦情を言われたりすることもあるくらいです。もちろん治療した方が1日でも発熱期間が短くなり、解熱しやすく社会復帰しやすいとは思いますが(嘔吐は増えますが)、医療費抑制をいつも促す日本のメディアや日本政府はイギリス政府のようにもっと啓蒙をするべきですね。

https://www.england.nhs.uk/north/dont-visit-hospital-if-you-have-flu-like-symptoms/

2019年1月22日

溶出試験、ロット間の大きい偏差:医師に提供する情報が間違っている

医薬品として認可を受けるための試験でロットを無作為抽出する必要がありますが、作為的ととられるようなロット間のばらつきが大きい薬剤があります(それもすでに厚生労働省が認可していたりします)。溶出試験も第21回ジェネリック医薬品品質情報検討会ではバラシクロビル錠500mgの後発11製剤、フルコナゾールカプセル100mgの後発1製剤、およびアジスロマイシン錠250mgの後発5製剤が、比較対象となる先発品やオレンジブックの溶出曲線と類似の範囲にないことが確認されたり、一部の製剤は承認時に先発品と溶出挙動が非類似で承認されていたとの報告があり、認可する厚生労働省が適当なお仕事をされていると思われてしまいます。また、先発品でもセフポドキシムプロキセチル錠100mg(バナン)、アジスロマイシンカプセル100mg(ジスロマック)、及びロキシスロマイシン錠150mg(ルリッド)については、標準製剤(先発品)の溶出挙動が、開発時から大幅に変化している可能性が示唆されたとのことで、ジェネリックだけでなく先発品でも持続的に検査を続けていただきたいです。

2019年1月21日

日本でも視覚障害者、聴覚障害者でも医師になれるようになりました

2001年の医師法の改正により絶対的欠格事由がなくなり、視覚障害者や聴覚障害者でも医師になれるようになりました。実際は医学部入学もできなかったため、改正後から大学に入学してようやくここ数年で医師になる方が出てきております。ただ日本では忙しい外来や1分1秒を争うコミュニケーションが求められる救急などでは難しく、時間がかけられる入院病棟や忙しくない病院での外来などが主な職場になりやすいです。
外国ではどうでしょうか? 私が留学したことがある国は軒並み障碍者でも医師になっている方が多いです。特にギリシャで研修したときには総合内科に全盲の医師がいらっしゃり、外来の現場でバリバリ働いておりました。触診の名手で特にリンパ節の触診の仕方を教わり今でも役立っております。外国では日本より医師の数が多く、患者さんは少ないので診察などに時間がかけられること、障害者のノーマライゼイションの環境が整っていることが挙げられ、日本より働きやすい環境になっているかと思われます。

2019年1月15日

貴重な経験、刑務所勤務

小生は某刑務所に勤務したことがあります。医師会から大学医局に依頼があり、医局を代表して非常勤で月2-4回、1-2年勤務しておりました。病院に刑務所から腰縄つきの受刑者の方が刑務官に付き添われて受診されるのと異なり、手足フリーの受刑者の方が受診。番号で呼ばれ、受刑者の方の主症状は足白癬、いわゆる「みずむし」です。おそらく受刑前からあるであろう重度の爪白癬も多く、使える薬の種類も少なく可能な限り安価で加療しなくてはいけないため、手術(爪甲除去、陥入爪手術など)も多く行っておりました。
たまに芸能人の方が慰労にこられることがあり、別の勤務先のスタッフに今度○さんが慰労に来るそうですよと伝えたら、熱烈なファンらしく「○様!?」、是非サインをもらってきてくれと頼まれました。結果サインはもらえず、汗を拭いたタオルならもらえるとのことで、じゃあいいですとお断りさせていただきました(今考えれば熱烈なファンの方は欲しがるかもしれませんが)。診察室の前をチラッと通る緑色の軍服のような服装の○様を垣間見えました。私も元気をもらえたような気がしました。

2019年1月11日

医師の残業 年間2000時間まで厚生労働省が容認か

現在「医師の働き方改革に関する検討会」という有識者会議が厚生労働省で開かれています。メディアなどによると、残業時間の上限は年960時間(1カ月当たり80時間)、医師不足地域では年1900〜2000時間(1カ月当たり160時間前後)、勤務と勤務との間の「インターバル」は9時間(当直明けの場合は18時間)と設定される見通しとなるそうです。
一般企業勤務者の方は年960時間までの上限ですが、その倍以上とのことで、厚生労働省はこれを世界に発表して恥ずかしくないのでしょうか。もちろん過労死基準の月80時間残業も超えております。国が指導して過労死基準を超える残業を容認していると捉えられますが。
勤務医は担当医制などで勤務体系が複雑であり勤務時間が長くなりがちであり、自己研鑽の名の下にサービス残業をすすんで行っている方もいるかもしれません。しかし制度として指針をつくり「勤務しなくても良いように」、「早く帰らせるように」促すことが必要と思われます。小生も大学病院のICUにいたときにはICUと皮膚科で最大月12回の当直をこなし、年3000時間以上の残業をしておりました(残業代?何それ)。申請ももちろんできませんし、申請した分も半分以下に残業時間は減らされ後で計算すると時給500円換算になりましたね。すすんで勉強するためにも長く勤務しており一人医長の時には24時間365日入院を受けますと公言していましたが、制度としては「早く帰りなさい」とさせるべきです。今は大学病院はOn call体制も少なくなり、各科当直もなくなり勤務時間はそこまで長くなく済むと思いますが、小児科や産科、救急など当直が今まで通りであるところなどはまだまだつらいと思います。

2019年1月8日

謹賀新年

今年から新しい年号になるそうですね。どんな年号になるか想像すると心が躍りますね。
2018年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              2人  0       2   悪性腫瘍切除術+全層植皮術、V-Y flap arrengement
MM               0人  0      0   
SCC              2人  0      2   悪性腫瘍切除術+植皮術
Bowen             2人  1人     1   悪性腫瘍切除術
AK、Pagetなどその他       2人  0       1     悪性腫瘍切除術、外用療法

BCC基底細胞癌は毎年10万人に5人発生すると言われております。栃木市の人口16万人ですと、毎年8人くらいの方がBCCになる可能性があるということですね。つまり栃木市の4人に1人が当院で切除されている計算になります。

2018年12月21日

妊婦加算は凍結、ころころ変わる制度に現場は混乱

先日のコラムでも、現場の意見を反映していないとお話しました。本来ならば厚労省と中医協が決めた事であり、その必要性を説明する責任がありますが、説明することもなく廃止の方向になりそうです。それでは、現場の意見から小生ならまずどうするべきかを言わせていただきます。
・現在の状態を把握しやすくする:薬局ですでに行われているように、薬手帳を持参しなかったりしてご本人が現在内服中の薬が不明の場合などは点数を医療機関受診時でも高くする(併用しても問題がない薬しか出せなかったりするため、現在内服中の薬は診察度に教えてもらいたい)。
・正しい情報を伝える:内服しているのに内服していないなど虚偽の情報を伝えられた場合など、現在でも医師の指示に従わない場合に保険者に報告して医療保険が使えなくなる可能性がありますが、きちんと罰則規定を定め明記し国民に周知徹底する。
・妊婦さんは無料にする:こども医療券のように妊婦医療券を発行するべきです。
妊婦や乳幼児など移動や診療が大変になるのは当たり前で個人の努力ではどうにもならないことであり、まず個人個人が意識すれば簡単に変えられることからやるべきです。

2018年12月7日

薬剤によっては「生物学的同等性」があっても「効果」は低い

「ジェネリック医薬品の淘汰」と題した5年前のコラムがあります。例えば、当時イトリゾール(イトラコナゾール)のジェネリックは10種類以上がありましたが、現在は日本では1種類にまで減ってきております。イトリゾールのような薬は製造するのが難しく、こうなることは以前から分かっておりました。案の定、イトリゾールの後発品では血中濃度が上がらずに改善しなかったアスペルギローマなど論文が発表されたり、ロット試験の結果など知るにつけジェネリックをつくらなくなってきたのでしょう。輸入不可の成分を調合していたりして業務改善命令も以前出されたり、「何よりも患者さんのために」なら独自にでも指標を作りつくるべきだと思いますが、残念です。保湿剤も先発品と後発品での効果に差異があります。国はジェネリック医薬品の使用を薦めておりますが、適切な溶出試験や管理などもっと先にするべきことがあると思えます。

2018年12月3日

救急車の有料化待ったなし!- たらいまわしって?実際どれくらいあるの?

総務省のHPによると、現場到着所要時間(8.5分)と病院収容所要時間(39.3分)がH28年でわずかですが改善傾向がみられたそうです。ここ20年悪くなるばかりでしたから、救急車通行のマナー向上、現場の救急隊員など皆さんの努力の賜物だと思えます。しかし救急出動件数は毎年増加の一歩をたどっております。搬送される方の約半数は軽症(49.3%)で、20年前からこの割合はあまり変わっておりません。20年間で変わったのは長期入院の重症の方が減り、中等度の方が増えましたが、これは医療の進歩によるものもあるかと思われます。救命率も現着前にAEDを使用している方ははるかに救命率も高く、社会復帰率も高いといったデータも多くなりその有用性は皆さんご存知かと思います。
たらいまわしが問題となっておりましたが、H28年の医療機関への受入れ照会回数は83.6%が1回、2回までで受け入れられる方が94%と東京ルールの徹底などでかなり改善しており、11回以上照会された方は0.1%(3353件)であり、収容後に処置不能などにて再搬送される方は0.5%程度です。皆さんが考えるたらいまわしの状況とは異なるのではないでしょうか。
このように現場などの努力でかなり改善傾向にはあるものの、増えて行く出動件数、搬送人数は仕方ないものがあり、今後は軽症の方を減らして行く、不正利用を減らすよう徹底する、さらにAEDを使用しやすい社会を目指すなど考えて行かなくてはなりません。

2018年11月30日

やけどの対応 信頼のおける正しい情報を!

以前も記述しましたが、熱傷に一概にラップ療法は辞めましょう、と熱傷学会でも公式に見解しております。
まず熱傷は、炎、電撃、熱源によっても異なりますし、中でも化学熱傷と呼ばれるように灯油や酸・アルカリのアルカリでは特に深くなります。熱源、対応などにより熱傷の進行するピークまでの日も異なってきますし、アラビア数字の3度、4度などでは早期から手術も考慮しなくてはいけません。入院になる広範囲熱傷、24時間以内にゲンチョウセッカイが必要になったりする例もあり、CHDFを回すような3度、4度の熱傷など重症の方も数多く診た医師が判断するべきです。
しかしながら一般に外来にこられる熱傷の方の9割以上は軽症であり、間違った治療法でも良くなってしまうことが多いのが実情です。
熱傷学会でも当院でも薦めておりますが、熱傷でまず行うことは「20-30分は大量の水道水で洗い流す」ことは間違いありませんのでそれだけは覚えてください。アルカリなどはもっと長い時間洗い流す必要があります。

2018年11月20日

『症状が出ていないから感染していない』は間違いー不顕性感染という言葉をご存知ですか?

不顕性感染とは感染はしているが、症状が出ていない状態のことです(『まだ』出ていないではないのでWikipediaは間違っております)。病原体別に不顕性感染を生じやすいもの、顕性感染になりやすいものが存在します。不顕性感染でも他の方にうつす病気、他の方にうつさない病気に分けられます。
例えば、麻疹のウィルスはほぼ顕性感染であり、症状がでないことはほぼありません。一方、風疹のウィルスは15%-30%は不顕性感染であり、風疹を撒き散らす可能性がある(顕性感染よりは感染力は弱いが)にも関わらず本人には皮疹や感冒様症状など出たりしません。そのため風疹の症状がない妊婦さんからうつった胎児でもCRSになる可能性はあります(もっとも不顕性感染での胎児のCRS罹患率は2-4%であり、顕性感染の60-70%とはかなり異なる)。他にノロウィルスの5割くらいは不顕性感染であったりしますので、症状がないにも関わらず感染が拡大して蔓延してしまう可能性があり、2年前の大流行の原因はこれでした。

2018年11月14日

日本皮膚科学会は公式に『今の遠隔診療は薦められない』と見解

本日日本皮膚科学会のHPにて発表されましたが、受診勧奨のみをオンライン診療では行いなさいとのこと。さすが、良心的で良かったです。オンライン診療が叫ばれる前もよくメールなどで画像が送られてきて相談されることがありましたが、『浸潤は?紅班なの?紫斑なの?』と聞いても皮膚科以外では学ぶことではなく、触ることの大切さを知らない方が多かったり、ただ見ていると勘違いされる方が多いです。HPにも『皮膚に直接触れ周囲の皮膚との硬さや弾力性の違いを調べる触診も不可欠である』とも述べております。
個人的には、オンライン診療しかしない皮膚科の先生は専門医を取らせない、専門医を剥奪するとまで言ってくれても良かったと思います。

2018年11月12日

フルミストは痛くないインフルエンザ生ワクチン

経鼻のインフルエンザワクチンです。検索するとここ栃木県では現在、真岡の小児科や大田原の医院で受けられるようです。欧米では認可がおりていますが、自治体からの補助が全くないので受けづらいかもしれません。以前の水痘ワクチンを見ているようです。昨年はCDCで推奨されませんでしたが、今年から再度推奨されるようになりました。生ワクチンなので接種後のインフルエンザ様症状は強く出る可能性がありますが、型に合えば効果や持続期間などはかなり高いかと思われます。

2018年11月12日

成人麻疹の対応

現在麻疹の患者さんが激減しているために麻疹の典型的な皮疹を診る機会も減ってしまい、診断は難しくなるかもしれません。昔は発熱時には必ず口腔内所見もとり、コプリック班やフォルシュハイマー班の有無など診て早期診断をしたものです。大学病院勤務時によく成人麻疹などで入院になる方も診ていました。小児がかかるのとは異なり、高熱になったり皮疹が派手になったり、麻疹脳炎や麻疹肺炎など合併しやすくなったりするためそちらのケアなども必要になります。
教授が『うちで入院する(成人麻疹の患者)方は肺炎にあまりならないようだね』とおっしゃったことがあり、『はい、(加湿やネブライザーB液などで)予防しておりますので』と答えたことがあるくらいでしたが、今の若い先生方はそこまで知らないかもしれませんね。

2018年11月2日

医学的に正しいことと制度の乖離

先日のコラムにも記載しましたが、こういった医学的に正しいけれど、社会的に認められてないことなどは多くあります。制度がおいついていない、財源が足りない、数が少なくて他に優先事項があるなど様々な理由があると思います。例えば下記
・伝染性紅班(リンゴ病)の確定診断のためのIgM採血は日本では妊婦しか保険が通っていないのに小児科では報告が義務。
・任意予防接種に使用したワクチンのロット番号の記録を自治体に届出なくてよい。
・患者さんが希望しても保険で検査できない事、処方できないこと多数あるが、国からの啓蒙不足。
・ワクチンを打った方が良いのに定期接種になっていないもの、現在はあまり必要性がないのに定期接種になっているもの。
・以前は体重換算などで認められていた用量も年齢を言い訳に査定される。

妊婦が伝染性紅班に感染すると胎児が赤芽球ろうになりやすいなどのため、妊婦にしか保険が通っていない。一方、風疹では女性だけでなく旦那さんなど家人も風疹ワクチンの予防接種や抗体検査が薦められている。
予防接種で以前使用したワクチンが後日力価が足りなく効果が低いことが分かった件もありました。ワクチンの副作用なども正しく記録するために自治体にも記録を促すべきだと思います。小生は届出しても自治体からいらないと返されました。
患者さんが希望されても月1回しか保険で認められない検査など多数あります。もともと保険請求も予防としては認められておらず、血液型を知りたい、(現在症状がないが)アレルギー検査をしたいなども自費になります。
大きなお子さんもいますよね。体重○kgと記載しても2歳未満だからとかで必要な薬の量を認めてもらえない、医師の裁量権を認めてもらえない件が多いです。効果が低いと分かっていて少ない量で処方するしかないのでしょうか。

2018年10月31日

私なりの面接問題5の回答

昨日の皮膚科専門医試験の解答例を載せます。
『届出に関しては7日以内に行わなくてはいけませんが、この例ではすぐに届け出る必要はないと思われます。TPLA(TPHAのラテックス凝集法)陽性、RPR陽性と考えると無症候性梅毒で間違いないと思われますが、その活動性を表すSTS、今回RPRは16倍未満であり、厚生労働省が提唱する届出基準に満たないからです。しかしながらこの16倍と言ったカットオフ値はあくまで目安であり(感染症科の先生は8倍でも加療したほうが良いという先生もいます)、TPHAの数値も高値であることから、臨床の場面では患者さんにお話してFTA-ABSの採血検査をして再検したいところであります。結果は3日くらいで出るので、届出基準の1週間に間に合います。FTA-ABSが高値なら梅毒して加療をした方が良いと思われますので、ペニシリン内服など考慮します。FTA-ABSも低値なら陳旧性梅毒と考え加療は不要です。』
16倍を届出るべきか、否かはその時代、梅毒患者の数など反映される社会的なものであり、8倍でも治療をした方が良い(岩田健太郎先生)と考えることもあります。10年程前だったと思いますが以前は修飾麻疹、修飾風疹は届出なくてよいと言われておりましたが(小生は保健所にそれは間違っていると怒っていました)、小生は修飾でも感染性があるので届出をしておりました(今では届出が必要です)。医学的に正しいことと制度は関係ないこともあり、保健所に相談してみるのが本当の正解かもしれません。

2018年10月30日

今年の皮膚科専門医試験は良問が多い!

今年も解きました。今年の試験は梅毒、結核などタイムリーな問題や暗記でなく考えさせられる問題が多く良かったと思います。特に気になったのは下記。

面接問題5. 60代の女性、左外陰部に5年前よりある紅色局面の切除目的で紹介され受診。術前検査で梅毒血清反応(定性)が陽性だったので、定量値を再検したところ、TPLA:1,658RU/ml、RPR:10.7R.U./ml。これまでに梅毒を疑わせる粘膜、皮膚病変の出現については記憶に無く、治療歴もありません。

問12:この症例を梅毒として、感染症法で定められている保健所への報告を行うべきでしょうか、その判断の理由も述べてください。

今までこういった『どうする?』問題はあまり無かったので、臨床に即しておりとても有意義だと思います。
来年はノーベル賞の影響もあり、BRAFや外科的な問題などが多くなるかもしれませんね。

2018年10月26日

Q&A 今度は内科の先生からお子さんに関してのご相談です。詳細はぼかしています。

Q2. 2歳の娘に水いぼが15個くらいできています。すでに1年以上経過しました。保育園の園医からは、他のお子さんにうつすので摘除を勧められました。自然治癒を待つかどうか迷っていましたが、やはり取った方が良いのでしょうか?

A2. 数年で自然軽快するので放置で良いと分かっていても悩むところだと思います。アメリカのように他にも多くのお子さんが摘除せずに感染している場合には摘除しなくても良いと感じると思いますし、それでも『うちの子が他の子にうつす』ことを嫌がる場合や毎年プールに入れないのは可哀想と考えたりして治療した方が良いと感じることもあると思います。
現在は事前に痛み止めのシールを貼ってから治療することもできますので、小さいうちに、少ないうちに、瘢痕を残さないうちにとりたいと言う先生もいるでしょう。大きくなり自然に治った後も白い跡や瘢痕形成するお子さんもいます。現在の皮疹やもともとの乾燥肌の有無などお子さん個人個人に合わせて考えて行く必要があると思います。
個人的には折角なのでこれを機にそういった事に詳しい先生を探していくということも良いかと思います。

2018年10月24日

冬でも日焼け止め

オーストラリアやニュージーランドでは学校で外で遊ぶ場合には必ず日焼け止めや長袖、帽子の着用を勧められます。
冬でも夏の紫外線量の半分のUVBを浴びると言われており、曇りの日でも(5割)、雪山での反射など夏より浴びる量が増える(8割)可能性もあります。つまり年中日焼け対策が必要になります。
逆に必要ないことは徐々になくなって行きます。例えば、プールで目を洗う器具とか腰までつかる階段状の槽など今はありませんよね。目を洗うことは眼球に与えるダメージが増えるだけでとくにウィルス感染など予防できるといった根拠がないためなくなりました。腰までつかる塩素の槽は、つかっても感染対策にならない上に逆に皮膚に対してダメージを与えるといったことが分かり、なくなりました。スイミングではゴーグルをして目を保護したほうが良いことも分かっており、徐々にそうなっていくと思われます。

2018年10月17日

風疹の蔓延につきまして

前回2013年のコラムにも記載しましたが、4,5年に一度流行る風疹が今年また流行っております。講談社は人気漫画コウノドリの風疹の回を期間限定で無料で見られるようにして啓蒙しています、多くの人に知ってもらいたいですね。
コミックにかかれていないことは例えば
風疹にしろ麻疹にしろ日本では男性は28歳以上の方は接種をしていない、女性は1回しか接種していない可能性が高いです。麻疹と異なり風疹では不顕性感染が多いため、実際にかかっていても症状が出ないことがあります。そのため麻疹より流行する可能性が高くなります。
予防接種1本で助かるとの結びですが、単独接種しても20人に1人は抗体価が上がらないこともあります。

予防接種の必要性は現在なら当たり前の認識だと思われますが、20年前の当時は科学的データが蔑ろにされていました。ワクチンの主となる株を副作用が疑われたにも関わらず、すぐに政府が変更せずに結果的に定期接種のない期間を設けた国の政策やワクチンの副作用と言われた自閉症が実は論文が間違っていると証明されたにも関わらず、積極的にワクチンを受けなかった国民。国の政策、国民の接種率低下など恥ずかしいですね。
そして昨今の子宮頸癌ワクチンも諸外国では9価、男女接種(男性、女性、男児、女児)が当たり前の接種になりつつありますが、日本だけは遅れております。十数年後にまた繰り返すのでしょうか。


2018年10月15日

恩師のおもひで1.

大学病院時代に山崎教授には約11年お世話になりました。学生のころから含めるともっと長くなり、感慨深いものがあります。教授の口癖(僕の持論はね。。。、SLEの患者さんの名前は○○が多い。。。など)は今でもよく思いおこされ、患者さん思いのその姿勢や研究熱心なところなど学ぶところが今でも多く、さらにいざと言う時に責任を取ってくれる理想の上司としても尊敬しております。教授から面と向かって褒められたことは少ないですが、秘書さんや他の方を介して後で知りましたが高く評価していただけたこともとても嬉しく思います。忘れられない出来事は沢山ありますが、特に思い出すのは県北の皮膚科の医療体制についてです。
当時私は大学からの派遣で2年関連病院に行く予定でした。栃木県は西は足利日赤、南はとちのきやしもつが、小山市民病院などがあり、東は芳賀日赤病院があり、いずれも皮膚科で入院できる施設がありましたが、県北は済生会が入院できるところでは最北で、患者さんやご家族にはそこまで通ってもらうしかありませんでしたので、もっと北で入院できる施設を作るべく皮膚科の入院体制が整っていなかった塩谷総合病院へ常勤で行くことになりました。その前から獨協越谷病院で常勤になり皮膚科立ち上げに関わり、入院も診ていたので適任と思われたかもしれません。順調に塩谷総合病院で過ごしていたところ、いきなり塩谷総合病院が民間委譲されるといった話を聞きました。民間委譲された後は病床、病棟が縮小され、皮膚科の入院はなしになるとのこと、当時入院中の方なども考えると他の病院を探すしかないと思われました。
そこで非常勤体制で入院できなかった大田原赤十字病院に常勤で行き入院できるようにして、塩谷に入院していた方も転院受け入れの調整をしました。塩谷総合病院の全ての患者さんのカルテに経過、サマリーや希望がある方には紹介状を記載しました。当時皮膚科の評判などもあったためか病院長から何度も塩谷に残るよう言われましたが、患者さんが入院できない以上難しいと断っておりました。外来だけなら非常勤の先生で問題ないと考えておりました。後で知ったのですが、塩谷関係者が山崎教授を訪れ、私が塩谷に残るよう説得があったとのことですが、きっぱりと断っていただけたとのことです。『当時彼を派遣していた状況と随分異なっており、私から鶴見君に残るよう言うことはできません』とのこと。とても嬉しく思いました。
『責任をとるのが僕の仕事』と何度も医局員にお話されている教授のお姿を思い今日も診療に励みます。

2018年10月5日

ニボルマブ(オプジーボ)投与後の他剤による薬疹の検討

兵庫県立がんセンターの新川先生の論文によるとDIHS(DRESS)様皮疹が生じるが、薬剤は関係なくHHV-6も陰性(3/3)であったとのことです。ノーベル賞でここ最近話題になっているニボルマブは免疫チェックポイント阻害薬であり、抗PD-1抗体がヒトPD-1の細胞外領域に特異的に結合することで、PD-1とPD-1リガンドとの結合を阻害し、T細胞への抑制シグナルを減少させることで抗原特異的なT細胞の増殖、活性化、および癌細胞に対する細胞傷害活性を増強し、抗腫瘍効果を誘導することが知られております。
ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬は免疫を賦活化させるので、IPやMGなど免疫関連の副作用(副反応)が強く出る可能性があり、確かに他剤による薬疹を生じやすくするでしょう。どんなに良い薬でも副作用、副反応は必ずあります。

2018年10月3日

ノーベル生理学・医学賞受賞 おめでとうございます!

今年度のノーベル生理学・医学賞に本庶佑さんとジェームズ・P・アリソンさんが共同で受賞されました。
癌に対する免疫学的発見は30年以上進化のなかった悪性黒色腫に対して画期的な治療法になっており、ここ数年の皮膚科の根治不可能なMMに対する治療指針をがらりと変えたと言って良いものと思われます。商品名オプジーボ(一般名ニボルマブ)は当初MM患者さんのBRAF遺伝子陰性例でテストされましたが、遺伝子陽性陰性に関係なくどちらにも効果が確認されております。実際使用した統計ではそこまでの有効性ではなかったですが、それでも今までの抗癌剤の奏功率を考えると本当に素晴らしい。現在では当科だけでなく、肺癌、大腸癌、腎臓癌など他科でも使用されるようになり、多くの方の命を救った、延命したと言えます。
なお今年の8月から癌関連遺伝子のBRAF遺伝子も保険内で行うことができるようなりました。根治不能なMM患者に対してになると思われますが、臨床統計のデータを集めるために各大学病院では保険適応外でも自腹で全てのMM患者さんのを調べていると思われます。従いまして基本的にはMM疑いの患者さんは大学病院にご紹介させていただき、癌関連遺伝子の検査を薦めております。

2018年9月28日

ご高齢の方の医学部受験につきまして

医学部受験のためにアナウンサーの方でNHKを退職されるとの報道がありました。また近年学士編入やご高齢の方の医学部受験がニュースになっております。志は非常に立派で、いくつになっても勉学を志す姿勢など尊敬いたします。
実際にお坊さんになってから医師になり、現在僧医として働いている方や同期でも学士編入されている人などいらっしゃり、特に同期の方は医学部時代からあまり遊ばずに勉学に励み優秀な方が多く、社会経験も豊富なためウィットに富んだジョークなども上手で良く一緒にいました。年齢的に体力的なものを心配される方がいらっしゃいますが、以前に比べれば今の研修医は労働時間は短く給与は多くなり、気力や体力がそれほどなくとも勤務する分には問題ないかと思われます。その分以前の医師より勤務時間も短くなり、経験などは不足しがちになります。患者さんのことを考えて医師として努力をすればするほどブラックな環境になりがちであり、折角元アナウンサーという経歴をお持ちなので、医師になり医療機関、大学病院勤務医のブラックな労働環境を是非体験レポートして欲しいものですね。

2018年9月27日

妊婦加算のSNS炎上につきまして

今年の診療報酬改定で妊娠中の方に加算されるようになりました。まずこの2年毎の診療報酬改定ですが、現場の意見はほぼ反映されておりません。中央社会保険医療協議会が国が決めた予算内に抑えろと言われ配分を変えるくらいです。おそらく減少する産科、小児科医療に歯止めをかけようと加算をとるようになったのだと思われます。加算をとらなくても小生は以前から全ての既往歴、併用薬など詳細な問診を全ての方にとるようにしており、妊娠中、授乳中、透析中、小児など細かな調整をしております。その為問診表など記載するのも他院より大変になる可能性があるため、事前に自宅などでプリントアウトして記載できるようにしております。
某マスメディアは医療機関には事前に伝えていると記載しておりましたが間違っております。私たち医療機関にも1ヶ月前のある日に聞きに来いと場所と日時を指定され初めて聞かされる事が多く、なおかつ4月1日以降もどういった案件で算定できるのかなど詳しい事は不明です。例えば4月1日からダーモスコピーという検査の算定基準が変わりましたが、4月前から相談しておりましたが回答が無く、どういう案件で算定できるのか?算定できないのか?の詳しい回答を得られたのは今月の初めになります。

2018年9月15日

広がる時間外救急受診における選定療養費の算定

以前のコラムでも記載しておりましたが、徐々に全国の大病院でも算定されるようになって来ました。公費負担の方や入院になるような重症の方にはかかりませんが、以前から日本に非常に多い軽症の方に算定されるため、国公立病院などのデータでは算定後より軽症割合が減ったとの報告があります。制度立案時に勘案された重症患者さんの受診控えについては思っていたより影響が無く、2009年の論文で軽症患者数は減ったが、重症患者(入院割合)は有意差なしとの論文が出ており、まだ母数が少ないですが取り合えず安心といったところでしょうか。もちろん、徴収する全ての病院が受診控えをしないよう呼びかけたり重症度に応じて金額に差を出したりして努力した結果とも思えます。救急車の不適利用も減少したというデータが出ると喜ばしいですね。
しかしながらこれは本来ならば制度の欠陥によるものを例外的に自費での徴収として各病院にさせているものであり、夜間救急の保険点数を高くすれば良い話です。『夜間救急の時間帯における処方、処置や検査には通常の点数に1.5を乗ずる』などにすれば良いのです。昨年の国民医療費は前年より減少したという奇跡がありましたが、国民医療費に含めない自費分を入れたらどうなるのでしょう。

2018年9月14日

遠隔診療の本来の方向性

当院では病理組織は『札幌皮膚病理』と提携して大学病院でも組織係を何年も担当していた私とのダブルチェックをしております。遠隔病理診断分の費用は頂いておりません(通常組織標本結果書作成料金保険適応分のみ)。本来の遠隔診療はこのような組織のチェックや画像診断のような、高次や専門の先生の知見を得られたりして詳細に分かる方向で進んでくれるのが良かったのですが、日本は詳細に分からない方向に遠隔診療が進みそうですね。

2018年9月13日

2017年の当院での新規皮膚悪性腫瘍の統計
疾患名             人数 他院紹介  当院手術       術式          _
BCC              3人  0      3   悪性腫瘍切除術+全層植皮術×2、V-Y flap arrengement
MM               1人 自治1人    0   
SCC              2人 しもつが1人  1   悪性腫瘍切除術+有茎皮弁術
Bowen、AK、Pagetなどその他  2人  0      0

今のところ開業以来、当院で切除術を施行した患者さんの生存率は100%になります。リンパ節郭清が必要な場合やご希望がある場合には大学病院などへご紹介させて頂いております。

2018年9月6日

東京医大の不正入試、文科省の不正に発した医学部入試に関して

やはり避けては通れない話題だと思います。問題点は大きく分けると3つに分けられると思います。
1.不正入試:助成金受領のための文科省役人への見返りによる東京医大不正入学はもちろん犯罪であり賄賂を渡した方も受領した方も罰せられるべきでしょう。その不正の背景として医師になるには男性の方が喜ばしいとの東京医大の考えの下に女性志願者への一律の減点、浪人生への減点なども非公表で行っていたことも話題になっております。
2.女性志願者、浪人生への減点:その後の追記調査で他の医学部ではそういった措置はしていないとのことでしたが、しているとは言えないでしょう。私立なのか国公立なのかでも変わると思いますが、私立なら非公表である程度の操作をしても仕方ないかと思います。女性に限らず男性でも看護学校入学者など男子学生がなぜ毎年偶数人入学するのかなども考えると、教育上や内規などで公にはしない理由もあるかと存じます。卒業後その大学病院に残るかどうかを調べたマッチングでは残念ながら女性合格率が高い医学部ではマッチング下位であり、大学病院に残らない方が多いといったデータもあり、男性合格率を上げて将来働ける医師を確保したいといった大学の思惑も分かります。
3.女性医師が増えるのは迷惑なのか?:過去の大学病院勤務医の環境では男性女性を問わず違法状態であったと思われます。働基準法通りに働けば全ての病院は倒産すると思われます。現在は徐々に改善してきているとは思いますが、その分医療の方にしわ寄せが来ています。例えば、昔は夜間帯は全ての科の先生が当直なり宅直なりしておりましたが、現在の大学病院では各科当直はしておらず、外科系○名、内科系○名、場所により救急科で対応といったものになっております。救急車の搬送時間も毎年長くなり悪化の傾向が見られます。皮膚科は一番女性医師の比率が高い科であり、現在大学に入学する半数以上は女性である以上、さらに皮膚科では女性医師が増えてくると思われます。全ての男性、女性医師が労働基準法通りに働いてもやっていける診療報酬体系に国はしてもらいたいものです。

2018年8月28日

疥癬の正しい治療法

以前大学病院にいた時に上都賀総合病院での疥癬の患者さん、職員への大量感染を外来で診断治療したことがあります。薬疹かどうかを疑って相談されましたが、疥癬じゃないですか?と小生が伝えた記憶があります。後日新聞にも載りましたね。診断は角化症型など難しいこともあり、疥癬虫を顕微鏡で見つけるのですが、これまた患者さんの痒みが強いところにはいない事が多く、疥癬トンネルなどの先端部(皮疹や搔痒感はなし)などから採取した検体で発見します。そして治療は外用剤と内服になります。ストロメクトールを体重換算で一度内服して、1w後に再度少量内服するやり方が薦められますが、添付文書やガイドラインでは当時ストロメクトールの正しい飲み方が間違っており、今でも『1-2週後』と記載されておりますが、1wですのでご注意を。理由は下記のような疥癬虫の生態サイクルのためです。添付文書は間違っている可能性も考えましょう。
卵→3-4日→幼虫→2w→成虫→10-25個の卵

2018年7月11日

Q&A 実際に相談された医師からの質問に対して小生が行っている返答を載せています。詳細はぼかしています。

Q1. 成人男性で菓子パンを食べた後、全身のしびれが出て、視界が白くなったことを相談された。菓子パンは食べないように指導して、IgEは卵黄-、卵白-、小麦で陽性なのだが、ラーメンを食べたときには大丈夫だったとのこと。食物アレルギーなのでしょうか?
A1. 食物アレルギーの中には食物自体のアレルギーを呈する方(パンのグルテンや添加物など)以外にも食物依存性運動誘発性アナフィラキシーなどがあり、大人の場合は小麦、海老で後者が多いです。検査で陽性にでても運動をしなければあまり症状が出ないこともあり、食物の加工、体調によることもあります(コラムで前述あり)。
具体的には小麦のIgEで陽性とのことで、次にω-5-グリアジンを測定します。これが高値なら小麦による食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの可能性が高いです。陰性だとしても『茶のし○く石鹸』のようにグルパール19Sの抗原でプリックテストを行い、陽性の場合にはやはり食物依存性運動誘発性アナフィラキシーが疑われます。疑われた場合には負荷試験を行って許容量を知っておくのが良いと思われますし、寛容療法など行っている施設もあるのでアレルギーの専門家の先生をご相談ください。
簡単にできる指導としては、 『食事は良くかんで、落ち着いてゆっくり食べるようにしましょう』ということになります。

2018年6月22日

ダイオキシン中毒 九州大学皮膚科古江教授のご講演を聞いて

先日の日本皮膚科学会で賞を授与された内容でしたが、ご講演をたまわりとても勉強になりました。以前ICUにいたときに中毒症の方は多く見ていましたが、急性のものが主体で、慢性砒素中毒や慢性のダイオキシン中毒の方はみた事がなく教科書上でしか知っておりませんでした。ウクライナの某大統領のダイオキシン中毒の診断加療などにも寄与されたと伺い尊敬いたします。カネミ油症から原因特定、確かに特徴的な多発面ぽうや塩素ざそう様がんぼうは親脂性な配置分布であり、そこからの排出を促す、代謝される作用機序の薬剤が治療薬になりえるといった考え方は皮膚科ならではで素晴らしいと感じました。
小生も抗癌剤の血管外漏出でのDMSOの効果など論文を作成中であり、ご参考にさせていただくとともに、臨床に即した考え方など見習いたいと思います。

2018年4月26日

生姜ラーメン・・・ショウガの作用


ここ大平町の有名ラーメン店『小三郎』さんの生姜ラーメン、美味しいですよね。私も大好きでよく食べたりしております。
よく生姜を食べると体がポカポカすると言われますが、体温を上げたりはしません。巷で「体を冷やす食べ物」とか「温める食べ物」という言葉がよく聞かれますが、実際に検証されているものはほとんどないのです。例えば、唐辛子は確かに体温を上げますが、体温が上がり汗をかいた後は、体温が下がります。生の生姜も、言われるように体温を上げるわけではありません。同様に、「体を冷やす食べ物を食べると冷え症になる」というのも根拠のない話です。もちろん、アイスクリームなど冷たいものをたくさん食べて、内臓を一時的に冷やして、下痢やお腹が痛くなることはありますが、冷え症の原因ではありません。それぞれ温受容体、冷受容体に作用して暖かく感じる、寒く感じるのが主症状です。
ショウガ科ショウガの根茎であり、生のショウガを「生姜(しょうきょう)」、蒸して乾燥したものを「乾姜(かんきょう)」といい、生姜の皮を除き乾燥処理をしたものを「乾生姜」といい、漢方で用いるのはこの「乾生姜」です。乾生姜は体を温めるのではなく、胃腸の働きを整える作用が主目的です。他にも胃内貯留(胃の中がチャポチャポする)、坐骨神経痛、腰痛、夜尿症、四肢の冷感、感冒、妊娠中のむくみなどに使われたりします。
生姜の成分にはジンゲロールとショーガオールがあり、前者はTRPA1冷受容体を刺激して清涼感を感じさせます。メントールやジンジャーエールなどが分かりやすいと思います。後者はTRPV1温受容体を刺激して、ポカポカする気がします。料理によく使う新生姜や生姜にはジンゲロールが多く含まれ、漢方によく使う乾生姜にはショーガオールが多く含まれます。
漢方薬でも生姜をよく使います。例えば風邪などによく処方される『葛根湯』などに含まれております。そんなことを考えながら生姜ラーメンを食べていると、なんだが熱くなってきました。

2018年4月25日

ゴム皮膚炎は植物の中では別


一方ゴムの木から取れるゴムはラテックスを除き、イソプレンを主成分としておりイソプレン自体でかぶれる事は少なく、加硫促進剤、酸化防止剤などによる皮膚炎が多いです。
1.加硫促進剤・・・テトラミン類、アニリン類、サルファイド類、グアニジン類、サルフェナミド類、カルバメート類など
2.酸化防止剤・・・パラフェニレンジアミン類、ナフチラミン類、ハイドロキシノンモノペンチルエーテルなど
3.嚼解剤・・・・・チオβナフトール
4.粘着剤・・・・・フェノールレジン
したがってゴム皮膚炎の疑う場合には、採血では診断できず、その製品自体でのパッチテストや成分でのパッチテストが有用になります。一見同じゴム手袋のように見えてもじつは異なりかぶれを起こさない可能性があるということですね。
もちろんその症状は実はゴム皮膚炎でなくて汗によるものであることもあり、お気軽にご相談下さい。

2018年4月24日

植物による皮膚炎・・・シイタケ(皮膚炎)を添えて


新緑が深くなるこの季節、ガーデニングや山菜取りに山へ出かける事も。植物による皮膚炎に注意しましょう。
1.機械的刺激・・・ヤマイモ、アロエの針状結晶
2.化学的刺激(一次性刺激性接触性皮膚炎)・・・ニンニク、タマネギ、カラシ、ピーマン、ホウレンソウ、イチジク、パパイヤ、パイナップル、トウダイグサ(ハツユキソウ)、ミドリサンゴ
3.アレルギー性接触性皮膚炎・・・ウルシ科(ウルシ、ハゼ、ツタウルシ、マンゴー、ヌルデ)、イチョウ科(イチョウ、ギンナン外種皮)、シダレヤスデゴケ、ゲッケイジュ、サクラソウ科(サクラソウ、シクラメン)、キク科(キク、レタス、ダリア、タンポポ、ヨモギ、ブタクサ、ヒマワリ、マーガレット、アーティチョーク、チコリなど)、ユリ科(ユリ、アルストロメリア、チューリップ、ニンニク、アロエ)、シソ、スイセン、カクレミなど
4.光接触性皮膚炎・・・パセリ、セロリ、オランダバウフウ、イチジク、レモン、ライム、ベルガモット、ハナウド、アカザ
5.シイタケ皮膚炎・・・シイタケ摂取による中毒疹
したがって、植物によっても症状が出る時間も異なり、メインの症状の部位、深さも異なります。皮膚科医はそれを診て判断します。

2018年4月20日

定期予防接種により減少する水痘患者、そして増える帯状疱疹の患者


水痘は2014年10月1日から定期接種対象疾患となり、生後12から36か月に至るまでの児を対象に2回の定期接種が開始されました。定期予防接種になる前から任意でも予防接種を薦められ、接種率の高さから図(国立感染症センターより引用)のように水痘の患者数は徐々に減少して予防接種の有効性が示されております。
しかしながら自然に高い抗体価を獲得できる水痘患者と異なり、ワクチンでは低い抗体価しか獲得できないため、水痘患者がすくなくなるにつれて今後は帯状疱疹の患者さんはある程度増えるようになると思われます(ある程度増えると今後は抗体価が高くなるので平衡プラトーに達します)。それまでの間は現在Zostavaxの高齢者予防投与はできますが、数年しか抗体価を維持できない可能性を考えると何度かの接種、または高力価での予防接種が必要になる可能性があります。


2018年4月13日

今度は輸入感染症になった『はしか(麻疹)』


朝日新聞によると沖縄県で麻疹の感染が広がり10日時点で患者は計38人に上ったそうです。国内のはしかは予防接種の普及で「排除状態」とされているが、今回は台湾からの旅行者が感染源の「輸入はしか」だったとの記載がありました。
以前は日本が予防接種などあまりしないために『はしかの輸出』国と指摘されていると2014年3月5日の日記でも記載しました。現在は1歳時と小学校入学前の2回接種が定期接種となっており、95%以上の接種率があり2006年度から施行されております。それ以前の方にも予防措置として5年間ワクチン接種2回目を定期接種とし、現在28歳より若い方であれば皆さん2回接種の機会がありました。お陰で現在日本は麻疹排除状態にまで感染が少なくなり予防接種の有効性が証明されております。
しかしながら28歳以上の方は1回しか定期接種をしておらず、今後麻疹患者が少なくなるにしたがい徐々に抗体価も下がりやすく、感染の可能性も増えて行きます。今回沖縄から広がった麻疹患者さんの内訳も報道では38人中の12人はワクチンの接種歴が「なし」あるいは「1回」、23人は打った記憶がないなど接種歴が「不明」だったとのことですので、公衆衛生の観点からも合併症の予防の観点からも現在28歳以上の方は任意接種でも麻疹の予防ワクチンをうつべきだと思います。

2018年3月20日

ジェネリックにするとかえって高くなる・・・4/1からの薬価改定


4/1から診療報酬体系が変更になり、一部薬剤の薬価が変わります。殆どの薬剤は発売後から徐々に薬価が下がるのですが、何故か薬価が高くなる薬があります(原材料費高騰などのためとのですが他国ではもっと安価です)。
例えば、デキサンなどリンデロンVGの後発品(そもそもリンデロンVGも後発品ですが)が先発品と同額まで高くなります。
こうなるとジェネリック希望の方に後発品を処方しても、後発品加算やら薬局での加算でかえって医療費は高くなります。
保険証に『ジェネリック医薬品希望』とありますが、より高額になって本当に宜しいのでしょうか?
『ジェネリック医薬品希望』ではなく『安価な医薬品希望』と書き直して頂いた方が宜しいのでは。
国・政府は安価な医療を提供したいのか? 高額になっても良いのでジェネリック医薬品を普及させたいのか?
どこからか献金をもらっているのでしょうかと疑いたくなる方針です。

2018年3月9日

医療機関のHPの規制2 ・・・ 患者体験談も禁止、雑誌への広告料も禁止

今年の6月1日から施行が見込まれるとのことですが、さらに規制が厳しくなります(当院は最初から問題ありませんが)。
まず患者さんの体験談も禁止となるようです。広告可能な範囲であろうと認められないとのことです。
次に新聞、雑誌、出版、テレビ、放送物についても広告料を支払い患者を誘引しようとしたものについても広告内容問わず禁止となります。さらに虚偽広告の場合は特に、法6条の5第1項により医療機関だけでなく、ダイレクトメール、マスコミ、広告代理店、いわゆるアフィリエイター、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされるとのとで注意が必要です。つまりテレビCMも今までどおり『クリニック名を連呼する』ようなものにならざるを得ないことになります。

従いまして、『今度日本の名医図鑑を出版するにあたり、そちらの医院を載せませんか?』など依頼があっても、医療機関側が広告料(名目問わず)を支払って刊行した場合には、その刊行物は規制対象に当たるようになり、さらに名医が虚偽?である場合には出版元も規制されるようになるということになります。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000192249.pdf

2018年3月8日

あえて今書こう、アビガンであると!


先月新しいインフルエンザ治療薬、バロキサビル マルボキシル(商品名ゾフルーザ)の製造販売が承認されました。イナビルのように1回投与のみで効果があるのでこちらも日本で流行るでしょうね。これで日本で使用できる抗インフルエンザ薬は、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの4種類になります。。。。とお思いでしょうが、実はもう一種類あります。アビガンという薬です。もともとエボラ出血熱で効果があった件を知っている方は知っていますが、T-705は開発段階から私も気になっていて、この構造式、作用機序ならRNAウィルスならほぼ全てに効果があるのではないかと考え汎用性が高いと考えております。現に最近SFTSにも有効とのデータも出て、RNAウィルスであるSFTSのウィルスにも確かに効くのではないかなと考えています。ただ、催奇形性があることが動物実験で分かり、妊娠可能な年齢の女性には処方できませんし、そもそも日本では保険処方できません(災害時など緊急時のみ処方できるようになると思います)。

2018年1月22日

明けましておめでとうございます


皮膚悪性腫瘍ガイドラインも新しくなり、現在第2版にオプジーボを加えたものが出ております。皮膚科でよくみるSCC、BCCなどはほぼ変わりはありませんが、MMやCTCLについてはまとめ直しが必要になります。正直ガイドラインは最低限のものなので大学時代でまとめた内容で前者ほぼ問題ありませんが、当時無かった後者の新しい抗癌剤については臨床経験が不足しており研鑽のし甲斐があります。後悔しないためにも今まで以上に準備を怠らないように継続したいと思います。

2017年12月4日

サンタが病院にやってくる!


イギリス周辺の病院では毎年サンタがくることが多いそうです、
2015年のクリスマスに小児病棟に勤務していた職員186人を対象に、サンタクロース来訪に影響する因子を後ろ向き観察研究で検討したところ、サンタ来訪はイングランドの病棟の89%、北アイルランド100%、スコットランド93%、ウェールズ92%で確認されました(Park JJ et al. Dispelling the nice or naughty myth: retrospective observational study of Santa Claus. BMJ. 2016 Dec 14;355:i6355. doi: 10.1136/bmj.i6355.)
良い子にしていないからサンタが来なかったのではなく、どうしても感染症の観点でサンタが行けなかったり、プレゼントを持ち込めなかったりして、夢の中でしか逢えない可能性もあります。そうそう、煙突がないから かもしれません。


2017年11月14日

経鼻インフルエンザワクチンは来年以降か


原則的に副反応なども考えてインフルエンザワクチンのみで受診されるのではなく、病状など良く分かっている普段かかりつけの先生に予防接種など依頼して頂いた方が良いと考えます。12月中旬以降にインフルエンザ入荷できるかどうか不明ですが、当院スタッフなどは全員今年も接種済です。
来年日本で認可される可能性がある経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト)は、今年は薦められないといった米国CDCの報道もあり日本でも現行の不活化ワクチンの注射をするところが多いかと思われます。海外からの輸入品であり、生ワクチンなので保存温度の関係もあり、チルド室保存などが必要になることもあり、今後の課題です。

2017年10月26日

皮膚科専門医試験より


問題8. 薬剤性光線過敏症に特に注意が必要な降圧配合剤(商品名)はどれか?3つ選べ。
1. エカード
2. ミカムロ
3. ミコンビ
4. プレミネント
5. エックスフォージ

正解 1.3.4。まず商品名のみを問題に出すことはいただけませんが、処方種類減少、医療費削減を掲げ、最近流行の配合剤への理解や光線過敏症を生じやすい成分、薬剤、構造式の知識を問う問題ですね。エカード=カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド、ミカムロ=テルミサルタン+アムロジピン、ミコンビ=テルミサルタン+ヒドロクロロチアジド、プレミネント=ロサルタン+ヒドロクロロチアジド、エックスフォージ=バルサルタン+アムロジピンなので、ヒドロクロロチアジドが光線過敏になりやすいのでそれが含まれる薬剤を選べば良い。他にも有名な光線過敏症を生じやすい薬剤としてはニューキノロン系抗生剤、フロセミドなどの利尿薬などがあります。


問題47. 近年、水疱性類天疱瘡を誘発する可能性が高く示唆されている糖尿病治療薬はどれか?
1. biguanides
2. sulfonylureas
3. thiazolidinediones
4. α-glucosidase inhibitors
5. dipeptidyl peptidase-4 inhibitors

正解 5. DPP-4阻害薬 だと思います。まだ作用機序は分かっておりませんが、薬剤性BPの情報が多数寄せられ、テネリアなど添付文書にも記載されるようになったり、ブルーレターもありました。画期的といわれる2型糖尿病治療薬でしたのでその分衝撃も大きかったですね。

最近はこのように他科の疾患や他科の薬でも最新の知識を良く知るように皮膚科専門医では求めております。

2017年10月25日

水痘帯状疱疹ワクチン による帯状疱疹の予防接種

一昨年に厚労省に追加承認された帯状疱疹ワクチンのZostavaxは50歳以上の方の接種適応があります。まだ定期接種化もされておらず、自治体や国からの補助金もありません。水痘ワクチンもWHOで定期接種をするよう薦められてからも日本では10年以上任意接種のままでしたので、帯状疱疹ワクチンも時間はかかると思いますが、帯状疱疹の予防として唯一になりますので早く定期接種化して欲しいものです。当院で接種できますので御希望の方はスタッフにお声かけください。

https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/prescribe/pdf/bsi_yoshin_th.pdf

2017年10月18日

獨協病院の入院の子に星降る夜をプレゼント・・・移動型プラネタリウム

獨協医大病院とちぎ子ども医療センター病棟で13日、「病院にプラネタリウムがやってくる」が開かれ、入院している約30人の子どもたちが楽しんだそうです。この企画を全国展開している山梨県の一般社団法人「星つむぎの村」が14日、大田原市で開催される「星旅祭」に参加することから、同祭実行委員が橋渡しして実現。今までも浜松医大、札幌医大などでも開催しており、県内での開催は初めてだそうです。
寄付を募っていますが、無料で全国でプラネタリウムを開催し、星の説明などをしてくれます。海外ではピエロを雇っている病院もあり、血液疾患などで長期入院を余儀なくされる子供たちにとってとても素敵なイベントだと思います。

2017年10月17日

ホスピタルイン獨協医科大学 来年1月11日よりプレオープン・・・メガホスピタルへ

栃木街道を北上して行きますと以前は獨協医科大学の木々が見えていたのですが、今は目前に新しい大きな建物が現れます。来年からオープンする東横インのホテルです。獨協医科大学の敷地内に建てられており、大きな新しい建物は『また獨協の新しい病棟が増えたのかな?』と感じさせるような似たようなつくりになっており、統一感を持たせたのだと思います。
来年の受験シーズンに間に合わせるようにオープンするようで、患者さんのご家族だけでなく受験生も利用できますね。獨協医科大学受験時は宇都宮で宿泊し電車でおもちゃの町駅で降りて雪の中歩いた覚えがあります。獨協は今ではコンビニもスタバも施設内にあるのでとても便利です。研修に行った東海大相模原病院ではマックも入っていたりしてびっくりしたことがあります。
海外ではメイヨークリニックなど欧米ではホテル隣接も多く、日本でも広がって行くと良いですね。ただ、獨協の敷地内とのことで、全面禁煙になりますので通常のホテルとは異なりますので、ご注意を。

2017年10月13日

一口でシミと言っても。。。。


シミと言ってもできる要因、場所、年齢などにより色々な種類があります。原因による分類では
1)色素細胞メラノサイト異常によるシミ
2)角化細胞ケラチノサイト異常によるシミ
3)その他
に分けられます。
1)は肝斑や雀卵斑などがあり、肝斑は基底層のメラニンが増加し、真皮メラノファージが主な病態、雀卵斑は基底層のメラニン産性能が増加しているのが主な原因です。したがって、ユーメラニンでなくフォウメラニンへのメラニンの分化に対して効果があるVitCやトラネキサム酸内服やハイドロキノン外用が効果がありますが、肝斑は出力の強い色素レーザーではメラノサイトを刺激し禁忌になります。出力の弱いトーニングでは再発率も高く、時間もかかり費用も高額になりますので、肝斑だけなら内服など安価な加療で十分です(したがって肝斑でレーザートーニングのみを薦められる医師や医療機関に関しては疑問符がつきます)。
2)の代表例としては老人性色素斑や脂漏性角化症があります。シミを治療するには角化細胞が原因なので、物理的に角化細胞を除去してあげることになります。
3)の代表例としては炎症後色素沈着などがあります。一時的なものであり自然に消退する可能性がありますが、早く直したい場合や繰り返している場合などアレキサンドライトレーザーなど色素レーザーが良い適応になります。
異常より一口にシミと言っても、原因も部位も異なるため的確な治療法も異なっており、当院ではきちんと診察を受けて適切な加療を薦めさせていただいております。

2017年10月11日

今年からセルフメディケーション税制


高額療養費制度の上限額の引き上げなど個人に負担してもらい、増加し続ける社会保障費を抑制しようと国は考えております。
一方で医療費控除など年間でかかる医療費の個人負担分を軽減しようという税制もあります。ただ医療費控除は年10万円以上かかった場合に利用できるものであり、日々の健康維持のためというよりは保険的な意味合いが強くなっております。
このたび政府は今年からセルフメディケーション税制というものを打ち出し、日ごろから健康維持を心がける人にもより小額から優遇しようとしております。具体的には「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」として、定期健康診断などを受けている人が、1年間で、市販薬(要指導医薬品および一般用医薬品)のうち、医療用から転用された特定成分を含む医薬品を年間1万2000円を超えて購入した際に、1万2000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8000円)について所得控除を受けることができる制度です。医療費控除かセルフメディケーション制度のどちらかしか利用できませんが、家計を一とする人を合算して計算できるので、市販の風邪薬や湿布、ビタミン剤など年12000円以上かかる可能性があるかもしれませんので、ご確認してみてください。

2017年9月8日

うさぎ島に行ってきました。


2017年9月8日 

うさぎ島に行ってきました。


2017年6月20日

アトピー性皮膚炎の方に対して鶏卵アレルギー発症予防に関する提言

日本小児アレルギー学会はADの方に卵アレルギーなど生じしにくくするために、生後半年からの少量の加熱全卵粉末の摂取を推奨するように公式発表しました。つまりアトピー性皮膚炎の診断(皮膚科医は一度の診察で可能、他科は2ヶ月間の経過観察が必要)をうけた段階でスキンケアーなどを覚えたほうが良くなり、生後6ヶ月以降はスキンケアーに食事指導を加えるようになると思われます。自己判断で食事制限をしないようにしましょう。離乳食開始も以前は遅いほうが良いというデマが流れておりましたが、この通り6ヶ月を目安として、正しい医学知識を身につけてもらいたいものです。

日本小児アレルギー学会http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=205

2017年6月19日

ダーモスコピー道場のススメ


以前では肉眼(拡大鏡)で診断するため経験が重要視されていましたが、今はダーモスコープというものがあり若い皮膚科医でも診断精度を上げることができます。皮膚科学会でもダーモスコピーの講習会を開いたり、カシオのサイトでも訓練を積むことができます。小生の場合、診断はほぼ間違わないのですが、個々の所見名が難しいです(というか意味が分かっていれば良いのでは?と思うのですが)。
『カシオ』、『ダーモ』で検索してみてください。

2017年5月31日

虫除け新世紀 in 2017(再掲)


おススメの虫除けが分かりづらいとのご指摘を受け、画像を載せます。
・赤ちゃん用(左の製品など) :イカリジン含有製品が良い。イカリジンなら衣服やチャイルドシートなどにも気軽に塗れます。
・小児の肌用(中央の製品など) :10%までのDEETなら小児に使えます。
・大人の肌用 :30%までのDEETを今年から購入することができます。敏感肌の人は避けましょう。
・空間忌避剤(右の製品など) :ピレスロイド系の濃度が高いものを選びましょう。


2017年5月30日

遠隔診療の落とし穴 3 - 採算性


送料無料や即日配達が見直されています。医療機関でも送料無料をうたっている遠隔診療所がありますが、選定療養費の予約料で徴収していたりしており、皆さんが負担する金額的な負担は通常受診するときより高くなるのが一般的です。遠隔診療が流行るためには遠隔診療での採算が取れなければ広がりません。安価で遠隔診療をするためには
1. 郊外、ビルの一室、倉庫の一室で開業 : 看板すら掲げない 往診専門にするなど
2. スタッフは最小限のみで対応 : 医師のみのこともあるかも
3. SNS,Skypeなどで会話 : 実は医師もAIだったりして!?
4. 電子カルテはクラウド型で安価なものを利用
5. Spikeなどでクレジット決済
などの流れになると思います。ただのショッピングサイト、薬外来になるような匂いがプンプンしますが。。。。国は本当にこれを求めているのでしょうか?


2017年5月24日

遠隔診療の落とし穴 2 - 安全性


「ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)」の感染事例が大きなニュースになっております。
特に医療機関は重要なデータを扱っていることもあり、脆弱なシステムを狙った攻撃、個人情報流出に至るまでサイバー犯罪者の格好の標的になっています。病院や医療関連機関の個人情報流出に関するトレンドマイクロ社のリサーチペーパーでも、金融関連の情報に並び、患者の重要な個人情報が、依然としてサイバー犯罪に最も利用されるリスクがあることを示しているとのことです。
Dissecting Data Breaches and Debunking Myths(英語情報)

クラウド型の電子カルテなどは外出先、別医療機関でもカルテを見ることができる、保存しやすいといった利便性がありますが、その分外からの脅威に脅かされる可能性があり、注意が必要です。当院では電子カルテはネットワーク接続しておらずクローズな環境下で利用されています。利便性をとるか、安全性をとるかということですね。
問診は患者さんの手間など減らすために、ネットで問診をとっても良いかどうかを当院開業時に厚生労働省に問い合わせましたが、法律やら個人情報の観点で難しいと当時は言われました。これだけクラウドが流行っている今では変わっているかもしれません。遠隔診療が本格化する場合には、その安全性など暗号化、セキュリティがさらに求められるようになるでしょう。

2017年5月18日

せき止め薬「コデイン」小児への処方制限へ


厚生労働省は16日、せき止め薬などに使われる「コデイン」と呼ばれる成分を含む医薬品について、小児への処方を制限する方向で検討すると発表しました。ようやくと感じますが、日本では市販品にコデイン含有製品が多すぎて困ります。必要ないですし、逆に気管支喘息の方には危ないですし、大量購入され悪用される可能性があるからです。外国では咳を止めるためにはリン酸コデインよりデキストロメトロファン(メジコンRなど)が市販品では売られており、医師も処方をすすめております。
そもそも『コデイン』を市販品に採用しつづけていることが間違っているのですが、厚労省は認めないのでしょうね。

2017年5月11日

2017年は虫除け新世紀!-昨年までのものは効果が低いものも多い


今年もこのシーズンがやってきました。最近、虫除けの空間除菌剤が効果がないことを厚生省などから報告されましたが、それでは実際に効果がある虫除けは何なのか?その比較を最近の論文とともにまとめてみたいと思います。
今年の2月に北米での虫除けの比較をした論文 から引用
Efficacy of Some Wearable Devices Compared with Spray-On Insect Repellents for the Yellow Fever Mosquito, Aedes aegypti (L.) (Diptera: Culicidae) Stacy D et all De La Torre Fangjun Shu Immo A. Hansen J Insect Sci (2017) 17 (1): 24.
日本と違いアメリカではヒトスジシマカだけでなくネッタイシマカ(yellow fever mosquito)も繁殖しておりそれをターゲットにしていますので厳密には異なりますが、空間除菌を謳うウェアラブル端末ではピレスロイド系のメトフルトリンが、スプレータイプではDEET高濃度>DEET低濃度>ピカリジン(イカリジン)が効果が高く、シトロネラオイル、エッセンシャルオイルやハーブなどは効果がほとんど無い事が示されました。前述したように日本のヒトスジシマカは北米の蚊より小さくハーブ系でも多少は効果があると思われますが、科学的な論証ではそうなるそうです。
それでは日本の市販化されている虫除けは実際はどうなのでしょうか?空間除菌はピレスロイド系が効くとの事で、濃度もあると思いますが昔からある蚊取り線香やアースノーマットなどは効果があると思われます。スプレータイプですと効果からするとDEETが一番なのですが昨年までで日本で市販化されている虫除けはせいぜい10%から15%までしか入っていないので低濃度でもDEETが入っているムヒなどを購入するか、高濃度のDEETを個人輸入するしかありませんでした。子供に対してはDEETは低濃度までとなって使用しないよう記載があったり、煙やプッシュタイプのピレスロイドを吸い込むと子供なら影響が出ることもあると思いますので、赤ちゃんなどにはピカリジンを、大人ではDEETをなどそれぞれに合わせた使用、購入をお勧めします。
実は昨年から厚労省が30%までのDEETの市販化を認めたため、今年から各社DEETが含まれた虫除けを購入することができます。昨年までの虫除けと今年からの虫除けは全く効果が異なる事が多いので、今年から買いなおすのが良いですね。
当院では海外のさらに高濃度DEETを購入できますので、本気でヤブカ対策などをしたい方などお勧めします。

2017年4月17日

遠隔診療の落とし穴 1- 正確性


内閣、厚生労働省は遠隔診療を広げようと来年の診療報酬の加算を組み込むように取り組んでおります。確かに、僻地や離島など遠隔診療ができるようになれば便利ですし、遠隔で専門家の画像診断を受けられるようになれば診断精度も上がります。
しかしながら遠隔診療では不完全な視診しかできず、聴診、打診、触診などはできません。またご本人が主訴で言わない限り見つけることもできなくなります。
例えば、昨年当院を新規受診された方のうち、悪性腫瘍の方は15人いました(SCC4,MM2,BCC4,その他5)。そのうち6割の9人の方は、自分で気にしてそれを主訴にご来院されましたが、残りの4割の6人の方は他の主訴でご来院され、偶然見つかったものでした。遠隔診療になるとみれる部位も減るでしょうし、ご本人が気にしてない部位は見せないと思います。
個人的には遠隔診療は遠隔診療のみで完結させる診療に代替できるものではなく、画像診断、専門家の意見など補助的に使えるように進んで欲しいものです。

2017年4月14日

イオントフォレーシスの正しい知識

徐々に全国の医療機関で多汗症の治療であるイオントフォレーシスができるようになってきました。ここ栃木県でも、増えてきております。小生が開業する前は県内で施行できる医療機関がなかったため、小生が自分で持ち歩き施行したり、他県に紹介するしかありませんでした。
できる場所や機会が増えてくると、徐々に知識としても浸透し始めますが、そうすると今度は誤った情報が散見されるようになります。例えば、現在は手・足の多汗症に関してはイオントフォレーシスは保険適応ですが、腋窩多汗症に関してはまだイオントフォレーシスは保険適応と認められておりません。専門家の某先生も間違えるくらいで製薬会社が作成した疾患のリーフレットにも間違った記載があったため、訂正を促しそのリーフレットは廃盤、記載が直り改訂されることもありました。いくつかサイトを見まして間違った情報がありましたので下記記しておきます。
・腋窩多汗症に関してはまだイオントフォレーシスは保険適応と認められておりません。
・アメリカなどでは保険適応で自宅で行えますが、医療機器として日本で認可されているものは限られております。
・直流電流と交流電流によって施行方法も異なり、機器も異なります。
・局所多汗症のガイドラインが改定され、外用療法と同等のBと認定されました。

2017年3月14日

キュレーションサイトの閉鎖とFakeニュース


まだエイプリルフールではありません。DeNAが自身のまとめサイト(キュレーションサイト)の閉鎖を発表しました。各種法律違反が疑われる内容を記載し悪質でも検索結果が上位に来るように追及した結果のためです。一時期ステルスマーケティングといった言葉も流行りましたが、有名人、有名サイトが悪質なフェイクニュースを流す風評の流布は困ったものです。自身で正しいかどうかを判断するためにネットリテラシーの論争も専門家が言うからと間違ってしまうこともあるでしょう。ひとつのところから情報を仕入れるのではなく、色々な専門家から何度も話を聞いて判断するのが良いと思います。

2017年1月19日

梅毒患者数の激増!-30年ぶり


一昨年、昨年と倍々に増加しており、ここ栃木県でも一昨年35人、昨年28人の報告があります。国立感染症研究所の報告では特に20代女性など若年層での増加が挙げられております。ここまで増加したのは以前は30年前とのことで、現役医師で梅毒を見たことがない方も多いかもしれません。最初の対応としてHIV同様、梅毒でも皮膚科に来院される方が多く小生は数多く診させて頂いたことがありますが、梅毒が進行すると消化器外科、神経内科や呼吸器内科などとの連携も必要になります。
ここまで最近増加している原因としては、若年層の不特定多数との接触やペニシリンの使用頻度の低下などが考えられるでしょうか。


2017年1月18日

ニセ薬を薬局で販売、奈良県、チェーン薬局名不明


奈良県内の薬局でC型肝炎治療薬のハーボニーの偽物が販売され、患者さんがいつのも薬と形や色が違うと気づいて発覚したそうです。正規の販売ルートからの入手ではないと言われているそうですが、だとしますと非正規での個人入手した薬剤を不正販売したのでしょうか?チェーン店の他の薬局でも同様のニセ薬が確認されているそうで、組織的関与が疑われます。どこの薬局チェーンなのかもメディアは明らかにしておりません。医療機関で同じことをした場合には、保険内のため医師・薬剤師個人の免許証停止処分、薬剤を違うものを認識した上で販売した詐欺行為での刑法処分、会社や事業所に対して保険診療停止処分や廃業などの重い罪に問われます。

朝日新聞より引用

2017年1月7日

獨協医科大学病院でノロウィルスの集団感染


ノロウィルスの新種への変異が昨年確認され、まだ免疫を持っていないためにこのような集団感染のおそれがあります。今回獨協医科大学病院でも200人以上の患者さん、病院関係者の感染が確認されました。ノロウィルスは嘔吐、腹痛、脱水、下痢などの消化器症状を呈することが多く、ワクチンはなく治療法は水分補給、点滴での補液など対処療法になります。吐しゃ物、排便などに対して次亜塩素酸での清掃が必要になります。アルコールは効きません。事前の食器などには90度以上90秒といった煮沸消毒が効きます。
一般で手に入りやすい次亜塩素酸は塩素系漂白剤に含まれますので、ご確認ください。

2017年1月4日

謹賀新年


新年明けましておめでとうございます。寒い日が続きますが、御身体にご留意されご自愛くださいますよう願い、新年の挨拶と代えさせていただきます。

2016年8月3日

諸外国ではどんどん進むHPVワクチンによる癌の予防


アメリカでもHPVワクチンを今までどおり男児・女児だけでなく、成人男性(26歳まで)にまで接種の推奨を決めました。
イギリスなどでも、すでに女児だけでなく、男児にもHPVワクチンの接種を行っております。男性の肛門癌発症にHPVが高率に関わっているためです。

一方日本では、男児どころか、女児にもワクチンは現在接種を勧められておりません。

http://www.cancer.org.au/news/news-articles/boys-join-national-hpv-vaccination-program.html

2016年7月6日

日本の虫除けは効果が低い


先日プロゴルファーの松山選手がヤブカに刺されると危険と判断し南米のリオオリンピック参加の辞退を発表しました。ヤブカ対策として日本にある忌避剤は海外と比べ濃度が低いために効果が低いことが知られています。今まで厚生労働省が低濃度の成分しか認可していなかったのですね。この度、厚労省はさらに濃度の高い成分の忌避剤を企業が作ることをようやく認可し、通常で半年ほどかかる審査を3カ月以下に短縮するとの発表をしました。
現在販売されている日本の商品は、主な虫よけ成分である「DEET」の濃度は12%以下、「イカリジン」は5%以下。今後DEET30%、イカリジン15%までの製品について早くて9月中に承認するとしています。それでも外国ではさらに高濃度の製品があり(濃度が高すぎても持続時間が長くなるだけで効果はあまり変わらないとのことですが)、蚊アレルギーの方などは30%DEETでも少なく感じると思われます。
日本では空間忌避剤も販売されておりますが、国民生活センターに誇大広告は辞めなさいと言われているくらい効かないものです。

2016年6月26日

子宮頸がんワクチン薬害研究班の捏造、マスコミの偏向報道につきまして


テレビの影響力は日本では凄まじいものですね。たとえ間違った内容でも専門家が吟味することなくそれらしく報道されると、詳しくない方は信じてしまいます。詳細は下記のリンク先、WEDGEに載っておりますのでご覧ください。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7080?page=1
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7124?page=1

何を言いたいか分かりやすい方のブログも見つけました。産婦人科医からの視点です。
http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12174342374.html

上記内容を各社、各人よく吟味されマスコミに関しましては訂正報道をよろしくお願いします。

2016年6月22日

日光暴露による皮膚癌の増加


日本でも徐々に日光暴露による皮膚癌が増えてきました。小生が日光暴露により今後増加する皮膚癌の統計学的検討をとった10年以上前からしても有意に増えているかと思われます。
某有名俳優が自身のインスタグラムで皮膚癌にて切除をうけていることを報告しております。繰り返しており5回切除されているそうです。彼の出身であるオーストラリアでは今では子供は日焼け止めを塗ったりしないと外に出て遊んではいけない『no hat, no play』を学校でも教えられますが、若いときからの日光暴露や日焼けサロンなどでの照射によりこのような皮膚癌が増加します。彼自身も日焼け止めは必要だと訴えており、日本もそうなってくれることを望みます。


2016年3月4日

電子お薬手帳でも代用可、お薬手帳持参優遇へ

4月からの診療報酬改定で、このような見直しが盛り込まれました。今までは、処方する際に薬の説明等をしっかりと受けて、お薬手帳に調剤日や薬の名前、服薬の注意点を記録したシールを貼られると「薬剤服薬管理指導料」として41点の診療報酬が加算され、お薬手帳がない場合の管理指導料は34点だったため、患者は「手帳を持参しない方が支払いが少なくて済む」事態になっていました。薬剤師にしっかりと服薬管理をさせようという国の考えとの間に矛盾が生じていました。 そこで4月からは、薬局に初めて来たり、手帳を持ってこなかったりした患者への指導料を50点に値上げし、原則半年以内に処方箋と手帳を持って同じ薬局にかかった場合の指導料は38点に下げるそうです。薬手帳を持参していたり服薬を理解されている患者さんにとっては、4月から安価になります。
日本薬剤師会も調剤グループ各社も電子お薬手帳の導入をすすめており、現アプリでの互換性の乏しさが問題ですが、ただシールを貼るだけ、QRコードを読み取らせるだけでは管理指導とは呼べませんので、そこもよろしくお願いしますね。

2015年3月2日

最高裁判決で逆転無罪―老齢介護問題2


昨年4月25日のコラムでも記載した問題ですが、最高裁で逆転無罪が確定されました。
最高裁判例では『ある者が,精神障害者に関し,このような法定の監督義務者に準ずべき者に当たるか否かは,その者自身の生活状況や心身の状況などとともに,精神障害者との親族関係の有無・濃淡,同居の有無その他の日常的な接触の程度,精神障害者の財産管理への関与の状況などその者と精神障害者との関わりの実情,精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容,これらに対応して行われている監護や介護の実態など諸般の事情を総合考慮して,その者が精神障害者を現に監督しているかあるいは監督することが可能かつ容易であるなど衡平の見地からその者に対し精神障害者の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか否かという観点から判断すべきである』としました。1審2審とは異なる判例でこれで確定です。
これが幼少のわが子だったらどうでしょう? 監督義務責任が生じるのか?
禁治産者ならどうでしょう? 監督義務責任が生じるのか?
入院中の方はどうでしょう? 24時間拘束をしないといけないのか?
そして被害者は損害賠償を請求することができないのか?仕方ないので亡くなっても加害者への損害賠償請求を多額にするしかないですね。財産放棄できますので限度がありますが、損害賠償がないよりマシです。


2016年2月25日

昨年はしかワクチンをうたれた方へ

昨年接種された麻疹風疹混合ワクチのある種で麻疹ワクチンの力価が下回り、効果に乏しい可能性あるとのことが発表されました。北里第一三共社製のHF055A番の方は、抗体価の測定、追加の予防接種が必要になる可能性があります。追加の費用は無料になりますので、受診された医療機関等にご相談ください。ちなみに当院で受けられた任意・定期予防接種の方は全員ロット番号が異なるため問題ありません。
このようなことが考えられるために、当院でワクチン接種をされた方は定期・任意に関わらず記録させていただいております。自治体にも以前このような記録を残すよう話をしたことがありますが、定期接種のみ記録に残し、任意接種の記録はいらないと断られました。再考をよろしくお願いいたします。

2015年11月27日

イギリスの病院でストライキ


イギリスの国民医療制度(NHS)は国民が無料で国営病院(一部民間運営移行中)にかかる事ができるシステムですが、その分国の財政も圧迫しておりさらに経営効率化を叫ばれ医療従事者にも皺寄せがきております。イギリスで医療にかかる方はこのNHSの無料かプライベートの高額かの選択を迫られます。日本とは異なり、一般的には同様のシステムを確立している国が多いです。
そんな中、看護師や助産婦を含むNHSのスタッフ数千人が13日、賃金上昇をめぐってストライキを実施しました。
また、BBCは英国の医療関係者たちの労働組合機関となる英国医師会は、12月1日から3回に分けて、イングランド各地の国民医療制度(NHS)の病院において、「ジュニア・ドクター」がストライキを実施する予定であると発表しております。全医師の半数以上にのぼると思われます。
日本では看護師さんが3交代制を獲得した28運動を含めて医療関係者がストを起こした事は記憶にありませんが、疲弊しまくっている現場の職員にこれ以上に鞭をたたいたり、医療費削減をすすめるようなら日本でもストライキに発展するかもしれません。

http://www.news-digest.co.uk/news/news/uk-news/14382-2015-11-20.html

2015年11月18日

口コミよりも信頼性が高いのは先生からの紹介


昨日某TV番組で、都内の皮膚科の先生をご紹介されていました。SjSやWellsかなと思っていたら、別疾患CAPSでした。青少年期発症と考えるとちょっと難しかったかと思います。すばらしい先生だなと思って、ご勤務されている病院をネット検索してみると、口コミが少なくて少なくて。。。口コミの内容も、医院が綺麗でした、対応が丁寧でした、キッズスペースがあります、といった内容です。
結局口コミサイトやランキング本などあまりあてにならないかもしれないのですね。一緒に勤務したことがある先生なら、その先生の人柄や得意分野など詳しく知っていることが多いので紹介しやすいです。幸いなことに小生は栃木県内であれば、東西南北全て勤務したことがあり皮膚科の先生をご紹介承ります。

2015年11月11日

ピーナッツを避けるとかえってピーナッツアレルギーに


重症例も多く、先進国の1-3%の子供たちに見られるピーナッツアレルギーは、ここ10-15年で有病率が3倍になるなど大きな問題となっています(アメリカ)。イギリスの研究では5歳までにピーナッツを食べていた子供の方が、食事制限していた子供よりピーナッツアレルギーを発症するリスクが70-80%も低くなるといったデータがでました。経口での免疫獲得で理論的です。
もちろん、アレルギー反応を起こすことも考えられるので、専門医の指導の下で制限や摂取を考えるべきだと思います。

2015年11月10日

保湿でアレルギー疾患を予防へ


産まれてすぐの新生児の段階で保湿剤を塗っておくと将来アトピー性皮膚炎になりにくいことが分かっています(発症リスク34%低下)。アレルギーマーチといい、アトピー性皮膚炎を発症すると食物アレルギーや喘息など他のアレルギー疾患になりやすいことも分かっているため、生後すぐから1歳くらいまで保湿をすることが薦められます。ちなみに、母胎内でもこうすると子供にアレルギー疾患を発症しにくいなどといったデータもあります。一方、妊娠中、授乳中の母親の食物制限は子供の食物アレルギーやアトピー発症に関係ないこともわかり、食物制限は推奨しません。もちろんそれだけで全てが関係するわけではありませんので、ご参考まで。

2015年10月30日

『今までずっと使っていて大丈夫だったんです。』は間違い


先週、厚生労働省より染毛剤製造販売業者への通達が再度通知されました。
よく診察時にアレルギーについて説明いたしますが、花粉症を例に出して「今までアレルギー症状がなかった人でも徐々に感作されるとアレルギーを発症するものですよ」と伝えています。この『過去にないから大丈夫』といった間違った考えは一体どこから生まれてきたのでしょう。
染毛剤についての詳細は下記記しておりますが、抜粋させていただきます。
1. 酸化染毛剤やアレルギーの特性 について
・酸化染毛剤は、染毛料等の他のカラーリング剤と比べてアレルギーを引き起 こしやすいこと。
・人によっては、アレルギー性接触皮膚炎が日常生活に支障を来すほど重篤化 することがあること。
これまでに 酸化染毛剤 で異常を感じたことのない人であっても、継続的に毛 染めを行ううちにアレルギー性接触皮膚炎になる 可能性 があること。
・アレルギーの場合、一旦症状が治まっても、再度使用すれば発症し、次第に 症状が重くなり、全身症状を呈することもあること。
・酸化染毛剤との接触回数が増加すると、アレルギーになるリスクが高まる可 能性があること。 。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000102309.pdf

2015年10月29日

皮膚科専門医試験にも載るようになりました


毎年皮膚科専門医試験を解いていますが、今年の試験にアクリル人工爪など巻き爪に関することが出題されました。ようやく時代が追いついてきた感じですね。多汗症のイオントフォレーシスも推奨度が上がりましたし、多くの皮膚科で対応できるようになると良いと思います。

2015年10月6日

ノーベル賞受賞おめでとうございます。


大村智・北里大特別栄誉教授らに今年のノーベル生理学・医学賞が決まったそうです。おめでとうございます。
大村先生が開発した抗寄生虫薬「イベルメクチン」は発展途上国だけでなく、先進国や当院でも良く処方する薬です。世界で一番流行っている病気はいまだに感染症であり、死亡者が多いのも感染症です。今回受賞された3人もその感染症と向き合った方々であり、尊敬いたします。

2015年9月9日

AGAの遺伝子検査につきまして


当院では開院当初から検討した結果、施行しておりませんし、薦めておりません。理由は信頼性に乏しいからです。
AGAに将来なりやすいか、AGAの内服薬がどれくらい効く可能性があるか、を調べる(具体的にはレセプターのトリプレット)ために毛髪や血液を採らせていただいて、専門機関に郵送するもので2万から3万円くらいします。この検査、以前小生が調べた時には信頼性が低かったのです。たとえば検査では効きにくい遺伝子配列だったが、実際内服したら効いた(偽陰性)、検査では効果が高いといわれたのに内服しても効かない(偽陽性)が3割だったかな?、もう何年も前のことで忘れてしまいましたが。。。ようするに信頼性が低いです。
以前調べたときから時が経っているので、当時よりは信頼性があがっている可能性もありますが、正直、知ってか知らずかこの検査を薦める医師や医療機関、検査機関も疑わしく思えてしまいます。
最近では郵送で唾液を送れば安価で遺伝子診断をしてくれるところもありますが、その陽性度、特異度(つまり信頼性)に疑問が残りますね。

2015年9月7日

宮城県の石巻赤十字病院が軽症患者に時間外料金算定へ


河北新報によると宮城県石巻市の石巻赤十字病院は2日、休日、夜間に救命救急センターを受診する軽症患者に10月から時間外料金(税込2700円)を請求すると発表した。東日本大震災後、軽症患者が増え、本来の重症患者診療に支障を来しているのが理由。時間外の診療で追加料金を徴収するのは県内の医療機関で初めて。小生が知る限りでは、軽症と重症で分けているのは他に藤枝市立総合病院などもそうですね。
保険診療でも時間外加算がありますが、さらに選定療養費の設定で自費での追加徴収をしますよというわけです。軽症の方がいきなり大病院に押し掛けることで重症の方に時間をさけなかったり、地域のかかりつけ医にも迷惑をかける事となるためでしょう。全ての大病院も同様に舵を切れるようになると良いですね。

2015年7月28日

今年も虫除けが必要です デング熱


ニュースになっていないだけで実は昨年並みに患者さんがいます。東京都感染症情報センターによりますと、東京都では先週までで37人の患者さんが発生しております。必要以上に怖れる必要はありませんが、昨年の爆発的な報告数の増加を考えると1、2ヵ月後が心配になります。今のうちに雨樋の掃除、虫除けなどできることをしておきましょう。
今年6月からデング熱の迅速検査が保険適応になりましたが(233点)、適応条件で入院して集中治療を受けていることがあり、実質スクリーニングでは保険が使えないのが現状です。現場では個人輸入での自費検査になるのでしょう。

2015年4月24日

樹齢1000年以上と言われる福島県三春町の滝桜です。ベニシダレザクラは今が見ごろでしょうか。


2015年4月16日 任命責任があるように、承認責任もありませんか?

厚生労働省の社会保障審議会医療分科会が東京女子医大、群馬大学病院の両病院の特定機能病院の承認を取り消す見通しを立てました。プロポフォールの件と腹腔鏡下肝切除術でどちらも死亡に至った事例ですが、女子医大の承認取り消しは2001年に続いて二度目ですね。
一方、日本医療機能評価機構が認定する病院としても両病院が入っておりますが、こちらはまだ承認が取り消されるなどの見通しすら立っていないようです。サイトによりますと、『医療を見つめる第三者の目。それが病院機能評価です。 病院機能評価は、病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動 (機能) が、適切に実施されているかどうかを評価する仕組みです。評価調査者 (サーベイヤー) が中立・公平な立場にたって、所定の評価項目に沿って病院の活動状況を評価します。』とのことですが、この評価自体に問題があったということに他なりません。また承認を受けるまでに多額の金額を振り込まないといけなかったり、その承認基準が患者さんや医療従事者の実情と異なっていたりで、最近評価を受けようとする病院は減ってきており、申込金も以前より減額しております。
間違った評価をした評価調査者(サーベイヤー)にも責任があると思いますし、日本医療機能評価機構も承認した責任を負うべきと思われます。責任を負えないのであればそのような評価は意味がないものですし、評価機構もいらないものと思われます。

2015年4月8日 日本のニキビ治療

日本でも今月から『過酸化ベンゾイル(BPO)』が保険適応で使えるようになりました。ようやく日本でも東南アジア並みのニキビの治療ができるようになりましたが、まだまだ先進国のトレチノイン内服などは認められていないので、ニキビ治療に関しては後進国のままです。
右のグラフのように、ようやく今までの保険加療でよくならなかった方でも効く可能性がある方法を保険診療で選べるようになりました。
http://www.obgynnews.com/fileadmin/qhi_archive/ArticlePDF/CT/084020110.pdf


2015年3月17日 仲が良い職場ではないですか?

三重県の上野市民病院で職員の誕生日を祝いFBに写真を投稿したことに対してニュースになりました。わざわざ市議会議員から質問もあったそうですが、暇なんですね。看護師の勤務は二交代か三交代制をしいているところが多く、勤務時間外でお祝いしにくい環境であることは間違いないでしょう。勤務時間内に職場を離れるわけにはいかないので、勤務時間内に職場で行ったことと写真をツイッターやFBなど投稿したことが問題と思われます。微笑ましい光景ですが、立場上公務員であり時間と場所をわきまえろということなのでしょうね。
思い出せば、小生も大学ICUに勤務中にクリスマスだったので、夜勤のスタッフにクリスマスケーキを差し入れたことがあります。当時は時間もなかったので、「皆さんでどうぞ」と一人の看護師さんに渡して自分は帰宅しました(自分は勤務時間外です)。翌日出勤してみると、私と同名の女性からの差し入れと思われたそうです。まあ、私のいかつい外見からはそのようなデコレーションケーキの差し入れは想像できないでしょうが。。。
外見で損も得もしますね。

2015年3月5日 意味のある検査をしましょう―遅延型食物アレルギー

以前から指摘されておりましたが、日本アレルギー学会は、食物抗原特異的免疫グロブリンG(IgG)検査が頻用によっては健康被害を招く恐れがあるとして、非推奨の注意喚起を発しました。同検査を巡っては、日本小児アレルギー学会も2014年に「推奨しない」との見解を示しており、今回日本アレルギー学会もこの見解を支持し、同検査を根拠に食物除去を指導しないよう呼び掛けました。食物抗原特異的IgG抗体は、食物アレルギーのない健常者にも存在するため、食物アレルギー確定診断としての負荷試験結果と必ずしも一致しなく、血清中のIgG抗体レベルは食物摂取量に比例しているに過ぎない―などの理由で、欧米のアレルギー学会では診断的有用性を否定しております。
しかしながら、それを知ってか知らないでか医師も患者さんも、遅延型食物アレルギーが疑われるような場合にIgG検査を行う方が多く困っております。まず症状がないにもかかわらず検査をご希望される場合には保険診療とならず自費診療となります。花粉症によるOASなど症状がある方には保険診療で行えますが、陽性率、偽陰性率など説明してからとなります。以前のコラムでも記載したように検査の意味を理解して行う必要があります。
先日、アレルゲンの検査会社のポスターが送付されてきました。上記のことがあるにもかかわらず、「食物アレルギーが疑わる場合には検査セットがおススメです」みたいなもので、すぐにゴミ箱に捨てました。東京医科歯科大の某教授のコメントも載せておりましたが、この先生はご自分の発言が学会の意に反して使われていることを理解されていらっしゃるのでしょうか?

2015年3月4日 予防接種拒否で4百人逮捕 パキスタン北西部

今年ノーベル平和賞を受賞されたマララ・ユスフザイさんのご出身でもあるパキスタンは人口1億8千万の大国ですが、残念ながら世界のポリオ発生国ワースト3位に入っております(他はアフガニスタン、ナイジェリア)。昨年2014年では300件を超え世界の年間ポリオ発症者数の約8割がパキスタンで発生しており、パキスタンからポリオウイルスが世界に広がるおそれがあるとして、世界保健機構(WHO)からも強く対策が求められておりました。
その最中にパキスタンの警察当局から北西部ペシャワルでポリオの予防接種を子どもに受けさせるのを拒んだとして親ら471人を逮捕したとの発表がありました。予防接種が不妊につながると考えたり、テロリストが反抗を煽る手段としてワクチン禁止を利用されたりしたため、予防接種が進んでいない現状があります。
日本でも前述したように予防接種を受けさせない事に罰則規定はありませんが、積極的に受けさせない行為は違法行為であり逮捕も可能と言われても仕方ありません(予防接種法第九条 予防接種を受ける努力義務)。たとえば麻疹は世界的にも日本は感染症輸出国となっており、WHOから先進国では中国、日本が名指しで強く対策を求められております。

2014年12月25日

温故知新

今年も残すところあとわずかとなりました。スタッフの皆様、棚卸、掃除などお疲れ様です。
今年一年を医学的な総括でみてみますと、IPS細胞での網膜移植に代表される先端医療の進歩とエボラなど感染症の流行があります。まだ感染症は世界的な死因の第一位であることが再確認できました。世界的にも日本が予防接種で大変遅れていることなども周知された年だったかもしれません。
写真はローマのトレビの泉です。学生時代にイタリアに医学研修に行ったときに訪れました。デング熱などを媒介とする蚊を駆除するために将来のこの泉の水を枯渇させる日もくるかもしれませんね。


2014年11月6日

予防接種は義務?権利?


予防接種を受けられない方、お子さんがいらっしゃいます。お子さんでは判断能力が乏しいので保護者の意向でしょう。現在のところ定期予防接種は努力義務であり、受けなければいけないといったものではありません(自治体首長は予防接種を行わないといけません)。罰則規定も1976年になくなっております。ただ受けなかった場合公衆衛生の観点から以外にも、医療関係者は重症化した感染症患者など多数診ているため、受けた方が良いとおっしゃられる方が多いと思われます。私も過去に診た成人水痘や麻疹、脳炎・髄膜炎合併で後遺症を残したり、SSPEになった方など知るにつけ、予防できるものは予防した方が良いと思います。
現在の安穏とした日本では確かに、罰則規定はそぐわないでしょうし、予防接種が義務化される事はないでしょう。ただ、WHOが警告するようなウィルスによるパンデミックになった場合など非常事態の場合には予防接種が義務化されるかもしれませんし、他国から干渉される可能性はあるでしょう。スイスでは予防接種を義務化する法案が何度も議題に上がっては否決されております。日本で先天性風疹症候群が取りざたされ風疹の罹患率が高いことを原因にアメリカなど渡航喚起レベルを上げたことなども記憶に新しいかと存じます。現在でも留学したい人は予防接種を打ってからでないと留学できない国が多いです。鎖国状態に戻るだけでなく、医療費高騰をたてに 自己責任だ、自分が悪いという論争に拍車がかかり、VPDでの加療には保険が使えなくなるといった国の方針を定めるかもしれません。 

2014年9月3日

デング熱の蔓延についての対応


厚生労働省は昨日、地方衛生研究所や都内医療機関に検査キットを配布することを発表しました。8/29の日記に記載しましたが、素晴らしい対応です。これで潜伏していたデング熱の実態が明らかになるかもしれません。
東京都保健医療公社荏原病院皮膚科の中野先生がまとめたデング熱19例の症例検討の論文では皮疹の説明が詳しく載っておりますので、臨床診断のご参考にしてみてください。

2014年9月1日

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」


ドイツの名宰相の言葉と言われています。吸血昆虫やデング熱やマラリアの媒介となる蚊を撲滅しようと、日本では過去にも大規模な駆虫作業を行ったことがありました。1964年の東京オリンピックに備えて1955年から3年計画で行われました。結果的には実施地域の伝染病は激減し、家畜の健康も増進し、畜産業も潤ったそうです(日本の有害節足動物 加藤六郎著より)。
今回のデング熱の蔓延についても早速発生源と思われる代々木公園にDEETを散布したようですが、河川や農地に安易に散布することは難しいので、まずは雨水ますや一般家庭の軒先などから駆虫はすすめられると思います。

2014年8月29日

約60年ぶりにデング熱の国内発生が確認!


例年発生はしておりましたが、このたび東京都、埼玉県で新規発生例が確認されました。全員海外渡航歴はなく、日本にいる蚊にさされて発症したものと推定されます。蚊の遺伝子を調べれば、ある程度の発生源の特定は可能かと思われますが、おそらく日本にデングウィルスを持った蚊がいることは間違いないでしょう。
デング熱については、ヒトからヒトへの直接感染はなく、蚊を介しての感染となります。症状は1回目、二回目以降で異なりますが、2,3日の高熱の解熱後(二峰性の中間)に麻疹様の皮疹が出ること、関節痛、頭痛なども伴い、血小板減少による紫斑、出血斑などが特徴ですが、症状自体は通常のインフルエンザウィルスに近かったりして特定するのは困難です。刺し口や臨床皮疹で蚊かどうかを判定するのも皮膚科でないと難しいかもしれません。そうすると血液検査で判断することが多くなると思いますが、実際にこの検査ができる病院が日本にはほとんどないのが現状です。
厚生労働省がすすめている検査はいずれも保険適応でなく、自費での検査になります。早期ではウィルス量の測定で10から20分で出る迅速検査、その後血小板減少などの検査値を経てIgM抗体の測定は結果までに3週間ほどかかります。保険適応でないので、日本では扱っている検査会社が少なく外国への外注ですと外注費だけでも24000円かかるそうです。結果を早く知りたいと思われますのでデング迅速検査キットを個人輸入で購入するだけでも8万円近くかかりますし、入手するまでにも時間がかかります。そうなると現実では人口の多い都内や空港近くのトラベルクリニック、旅行クリニックで行うことが多くなると思われます。
本来ならば医師に届出を義務付けている以上、その検査を医師に負担させるのではなくせめて保険適応にすべきですし、疑われる場合の検査は保健所などで検査できるようにするべきだと思われます。60年ぶりの新規発生であることを考え、国が検査キットを買って各医療機関に配るくらいしても良いかと思われます。

2014年8月27日

おすすめ市制


北海道岩見沢市で興味深い制度があることがわかりました。『健康ポイント』というもので、同市に在住する30歳以上の方を対象に、検診や人間ドックを受けたり健康相談をしたり、献血をしたり、健康目標宣言・達成などでそれぞれポイントがつくものです。ポイントをためるとスパやゴルフ場、総合体育館など施設を利用できる施設利用券と交換できるそうです。市営の施設の利用率も上がり、市民も健康に向けて積極的になれるすばらしい制度だと思います。健康でいることが本人だけでなく周り、市にとっても大切ですよね。

2015年5月6日

診療時間の変更につきまして


皆様、6月からの午後の診療時間を1時間早めさせていただきます。
当院は開業より栃木県内で一番早くから、遅くまで診療受付をしている皮膚科専門医として活動しておりましたが、大変申し訳ございません。新しい診療時間は、午後の診療は14時から17時半までとなります。午前の診療は今まで通り8時半から12時まで行っております。ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

2014年4月25日

介護マークをご存知ですか?


愛知県の認知症の男性(要介護4)が2007年に、徘徊中に列車にねられて死亡したのは家族が監督を怠ったためとして、JR東海が損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決が4月24日に名古屋高裁で言い渡されました。結果は男性の妻(自身要介護1)の責任を認めた上で、約360万円の賠償を命じました。介護の責任があるとみなされたんですね。老老介護の問題、24時間介護しなくてはいけない、かといって鍵を閉めたり閉じ込めたりしてはいけない、など様々な問題があります。
一方で、そういった介護をされている方を守るために介護マークというものを作っている自治体があります。
サービスエリアや駅などのトイレで、介護者が付き添う際、周囲から冷ややかな目でみられて困る。 男性介護者が店頭で女性用の下着を購入する際、いつも困っている。 認知症高齢者を病院に連れて行った際、2人で診察室に入っていくと、見た目は健康そうなのになぜ2人で診察室に入るのか、呼びとめられる。 駅で切符を買う時や、スーパーで買った物を袋詰めしている時など、認知症高齢者は目を離したわずかの間にどこかに行ってしまうことがある。 通りがかりの人に少しの間見守ってほしいと頼むのが大変、といった介護者であることを周囲に知らせるようなマークを作ってほしいとのことでできたそうです。


2014年3月30日

はま皮フ科クリニック OPEN!


 大学病院時代の先輩にあたる先生が4月から宇都宮でご開業されるされることになり、内覧会にてご挨拶させていただきました。ご夫婦ともに皮膚科専門医で特に旦那さんとは旧知の仲であり、とても信頼のおける地域の皮膚科医になることは間違いないと思われます。

2014年3月28日

「空間除菌グッズ」に根拠なし

 部屋に置いたり、首から下げたりすることでウイルス除去や消臭に効果があるとうたった空間除菌グッズの広告に根拠がないとして、消費者庁は27日、大幸薬品(大阪府吹田市)や中京医薬品(愛知県半田市)など17社に対し、景品表示法違反(優良誤認など)で再発防止を求める措置命令を出しました。自主回収されるのでしょうかね。昨年3月にも日記に書きましたが、無益なだけでなく有害ともなりえます。同じように効かないだけでなく有害な健康食品やサプリメントなども多数ありますので、芸能人やマスメディアに騙されないようにしましょう。このような事件が続くと、広告塔になった芸能人を糾弾してあげても良いのではとさえ思ってしまいます。

2014年3月19日

『神様のカルテ』を見て

『神様のカルテ』という書籍、映画があります。内科の先生が書いたもので、一人の若い医師が患者さんとの付き合いの中で色々な葛藤を覚えたり経験をさせてもらうものです。よくできたカルテは確かに患者さんのためになりますし、自分のため、他の医療関係者のためにもなり得ます。私のカルテも「すごい」や「芸術的だね」と言われたことがあります。一番記憶に残っているのは大学病院の研修医のころにNICUの先生方と一緒に皮膚科で診ていた一人の赤ちゃんのカルテです。
先天性表皮水疱症という稀な疾患です。最初は全身の皮剥けでNICUから相談され、皮膚科依頼となりました。丁度この疾患の講演を聞いており、勉強していたため、この病気ではないかと疑い検査して確定しました。全身に水膨れができて皮がむけて瘢痕拘縮となり、低栄養状態となり、発育不全、若年死となる疾患です。主訴、診断にあたる精査、今後予想できること、それを予防するために、また遺伝子相談など皮膚科の入院カルテに何ページも書き込んだことが思い起こされます。まだ教科書にも載っていない治療法なども記載して、当時の上司に相談してカンファレンスで検討しようと考えていたところ、すぐにNICUの先生がその治療薬剤を投与開始してくれました。なんでも他科の皮膚科のカルテを見て、判断してくれたそうです。他科のカルテも見てくれていて、そして研修医の意見を採用してくれてとても嬉しかったです。
数年後、その赤ちゃんは大きくなり外来に来られるようになりました。歩いてです。この疾患では手足が硬くなり歩ける可能性は低いものなので、とても感慨深かったです。一つのカルテが契機となり診断当初から適切な治療を行えました。それからもカルテは詳細に書いたり他科への依頼や紹介状はさらに詳細に書くようにしております。

当時とてもお世話になったNICUのM先生へ謝辞を申し上げます。

2014年3月5日

撲滅はどこにいった?   麻疹(はしか)の流行につきまして


国立感染症研究所によりますと、今年2ヶ月間ですでに、昨年1年の半数の麻疹の患者が出ているそうです。
今年の麻疹の患者数は2月19日までに103人。ウイルスを分析によりフィリピンで流行しているB3型を多く検出、東南アジアへの渡航率も高かったです。サイトをみると、20代から30代の方に多く、発症者の約6割以上は予防接種を受けておりませんでした(不明を含めると85%)。予防接種をうけずに感染地域に行くのを辞めましょう。フィリピンの予防接種は任意では日本同様個々のワクチン接種を受けられますが、定期では風疹がなかったり、麻疹も以前の日本のように1回しか接種しないため、抗体保有率が低い可能性もあります。
短期旅行で日本で麻疹を流行させるだけなら、諸外国から文句は言われませんが、長期旅行で諸外国でのウィルス媒介者になる方が増えると日本から渡航する際にはワクチン接種が義務付けられる日が来るかもしれません。

2014年2月5日

「お薬手帳」の活用を!

日本医療安全調査機構は、医療者側が問診票やお薬手帳の記載を見逃したことで、薬剤性のアナフィラキシーショックを発症、死亡に至った症例を「警鐘事例」として紹介し、注意を呼び掛けております。
60歳代の女性が蜂窩織炎で整形外科を受診し、抗菌薬セファゾリン点滴開始後、数秒で「口の中が熱い、全身が熱い」と訴え、3分後には血圧測定不能となり低酸素脳症などに陥り、受診時にすでにあったと思われる他疾患から約11カ月後に死亡しました。 当事例で問題なのは、問診票やお薬手帳にはアレルギー歴が記載されていたが、医療者側が確認していなかったこと。問診票の裏面に「CCL(セファクロル)全身まっ赤」と記載があり、「CCL禁 第1世代抗生物質はダメ」と書かれたお薬手帳も持っていたが、患者本人が提出していなかった事が理由に挙げられております。
薬疹は当科ではよく見るものです。当院の診察券の裏はそのまま大学で使っていた「薬疹カード」になります。商品名ケフラール(一般名セファクロル)は小児でもよく出されセフェム系の中ではアナフィラキシーが少ないと日本医療安全調査機構は発表しておりますが、その様な事はなく2010年までで日本では少なくとも38例のアナフィラキシーショックの薬疹情報が寄せられております。
まず薬疹など薬剤性が疑われた場合には必ず皮膚科にかかることをお勧めします。かかりつけの先生から紹介状をもらってきてください。どの薬剤をどれくらいの期間、どれくらいの量、どれくらい頻回に投与されたかの情報が必要になるからです。なかなかご本人では覚えきれない内容ですので、『お薬手帳』も有用な情報源になります。
次に各医療機関にかかる際には必ず『お薬手帳』を持参してください。お薬手帳を持参された場合、国は再診料や初診料などの診察料を安くしたりする政策をとるべきだと思います。一方で医療機関には簡易的診療情報提供書である『お薬手帳』を毎回診察時に確認することで医療機関に医学管理の点数をつけるべきだと思います。
将来はオンライン化してどの医療機関でも現在内服されている薬がわかったり、アレルギーや疾患歴なども共有化したいものですが、個人情報の観点から各医療機関で扱える情報はクローズに現在はなっております。

2014年1月22日

スギ花粉症に対する舌下投与による減感作療法の承認について

今年の花粉飛散状況は例年並みとの予想で、ここ栃木では2月中旬くらいから飛び始めるそうです。1月17日厚生労働省はスギ花粉症を対象とした減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬「シダトレン®スギ花粉舌下液」を認可いたしました。今まで注射でしか減感作療法ができなく煩雑だったのが、うまく管理できれば頻繁に通院することなく自宅で加療することができるようになりましたね。 ただ処方するには、舌下投与による減感作療法に関する十分な知識・経験を持つ医師であり、副作用など対応が十分にできないといけませんので、当院では処方はできません。ご希望される方はご相談ください。

2014年1月20日

水痘ワクチンと成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種化の見込み


厚生労働省の専門家会議で水痘(水ぼうそう)のワクチンと、高齢者を対象とした成人用肺炎球菌のワクチンについて、定期予防接種に加えることを決めたそうです。早ければ2014年10月からの実施を目指すとのこと。アメリカでは20年前から水痘ワクチンは定期接種化しており、ワクチンは日本で開発されたものなのに日本では使えないといった事案に心を痛めておりましたが、ようやくこぎつけましたね。
小児が水痘に罹患しても症状は大したことがなく高熱があってもけろっとしていることも多いのですが、大人が罹患すると成人水痘と呼ばれ、全身の浮腫や水痘肺炎や脳炎を合併することもあり、重症化しやすいです。妊婦さんが罹患して流産のリスクも高まり、大学に勤務していた時はかなりの方を診る機会がありました。この絵の様に水痘はchicken poxとも呼ばれます。
アメリカでは帯状疱疹ワクチンも推奨されており、確かに帯状疱疹の発祥の予防、重症化の予防になると思われます。帯状疱疹のワクチンも実は水痘ワクチンからできており、こちらは専門家によると日本での認可にはまだ3年以上かかりそうとのことでした。


2014年1月4日

賀正

明けましておめでとうございます。昨年は富士山が世界遺産に登録されたこともあり明るい話題も増えてきました。世界遺産に認定されることは誇らしい事であると同時に責任を負います。そのため地元に世界遺産があってもあまり有難味がないと感じる人もいるかもしれません。
最近外国での医療情報を手に入れることも容易になってきました。海外での医療制度などを知る事で日本の医療制度との比較をすることができ、日本がどれだけ恵まれていたのかと分かってもらえる機会が増えるでしょう。一方でこの国民皆保険制度は財政を圧迫し徐々に転換を余儀なくされます。


2013年12月17日

小麦アレルギー:体調による吸収率の変化


食物の加工によって吸収率が異なることは前回お話しました。次に体調によってもアレルゲンの吸収率が異なることを説明します。食物依存性運動誘発性アナフィラキシーというものがありますが、これはアレルゲンをただ摂取しただけでは、アレルギー症状を呈さず、アレルゲンを摂取して運動負荷して初めてアレルギー症状がでるものです。なぜそうなるかということですが、例えば小麦では小麦を食べて安静にしていると小麦成分であるグリアジンという蛋白質を十分に消化してから吸収されるため血中にはグリアジンが検出されませんが、小麦を食べた後で運動すると消化管への血流が不足するためあまり分解できずに血中にグリアジンが検出されるようになります。これが小麦の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーです。運動負荷だけでなく、NSAIDS内服でも胃・小腸が障害されるためアレルギー症状を誘発することがわかっています。小麦のFDEIA患者さんがPGE1製剤であるミソプロストールを内服すると、この誘発を抑制でき、血中にグリアジンも検出されなくなることも期待できます。
つまり、皆さんの体調によってもアレルゲンの吸収率が異なることがわかります。落ち着いてゆっくり、よく噛んで食べましょう。

2013年12月16日

豆乳アレルギーと大豆アレルギー:食品加工による吸収率の変化


前述した豆乳アレルギーでも食物依存性運動誘発性アナファラキシーを生じることがあります。昨今の給食での事件により食物アレルギーがあるかどうかなどの学校生活習慣指導表を記載させていただく機会も増えました。たとえば大豆アレルギーでも、大豆のコングリシニンという蛋白質に対する抗体を持っている方は、豆乳を食べて運動してもアレルギー症状はでないですが、豆腐を食べて運動するとアレルギー症状を呈することがあります。コングリシニンは胃の中のペプシンで分解されるとその抗原性が少なくなるのですが、豆乳ににがりを加えて固めた豆腐のコングリシニンは凝集して大きな分子となっているためアミノ酸に分解されにくく直接吸収されしまうのでアレルギーの抗原になりやすいといった可能性が示唆されております(豆乳のコングリシニンはペプシンにより30分で分解、豆腐のコングリシニンはペプシンにより120分経っても残存あり)。
つまり、食品加工によって消化管からの吸収されやすさが変化してしまうのです。同じ大豆アレルギーでも食品加工により生じる可能性と生じない可能性があるということを覚えましょう。他にも、ピーナッツはローストにより、ミルクは低音殺菌により抗原性が増加することが知られており。逆に大豆製品では発酵させる事によって抗原性が低下し、味噌や醤油ではアレルギー症状を起こしにくくなります。

2013年12月6日

豆乳アレルギーと花粉症


国民生活センターによると豆乳での口腔アレルギー、花粉症との関係について報道されました。シラカンバ、ハンノキの花粉と豆乳の抗原の大豆コンポーネントのGly m4が交差反応を生じると考えられており、島根大学の先生方による統計によると本邦で報告された豆乳アレルギーは全例花粉症を合併しており、ハンノキの特異的IgE抗体陽性率100%、大豆の特異的IgE抗体陽性率は26%、Glym4特異的IgE抗体陽性率は74%(保険未適応)とのことです。したがって現在豆乳アレルギーがあるかどうかを調べるために保険で認められている検査では実際に持っていても4人に1人しか陽性に出ません。保険が早く適応になって欲しいものですが、陽性率や偽陰性率を知った上で検査をされることをお勧めします。

2013年11月27日

改正道路交通法が施行 H25.12.1より

てんかん患者の人身事故などを契機に制定された改正道路交通法が来月1日より施行されます。これにより、運転に支障の出る可能性のある疾患の方は、免許受験・更新時に報告する義務が出て、症状があるにもかかわらず虚偽の申告をした場合には罰則規定が設けられました。
 疾患とは例えば、てんかん、統合失調症、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の睡眠障害などで、症状があるにもかかわらず報告しない場合を指します。免許更新時には、医師の診断書をもってきちんとコントロールできている旨の証明が必要になることがあります。
 なお、これらの「一定の疾患」で免許取消し後3年以内に、症状が改善するなどして免許を再取得したドライバーについては、特例として、取消された免許を受けていた期間と再取得した免許を受けていた期間は継続していたものとみなし、その合算期間中に5年間以上「無事故・無違反」を続けていれば「優良運転者」とされる優遇措置を2年以内に施行する予定だそうです。
 http://www.think-sp.com/2013/06/19/news-dokoho-kaisei/

2013年11月18日

日本の医療費と国際比較.2

 追記になります。2012年度の概算医療費は38兆4千億円と10年連続で過去最高を更新しました。何が諸外国と比べて高いのでしょうか。
厚生労働省が公表している概算医療費データベース(メディアス)の制度別医療機関種類別医療費と社会医療診療行為別調査(e-stat)をもとに推計すると、2012年度の入院の薬剤費(出来高部分)は6千億円、入院外の薬剤費は7兆8千億円で合計8兆4千億円となります。これに入院の包括医療に係る薬剤費約9千億円(2010年度厚労省推計値)を加えると2012年度の薬剤費は極めて過小に推計したとしても9兆3千億円となり、薬剤費が概算医療費の24%を占める事が分りました。前回計算した21%より増加しております。ちなみに調剤料を含めると平成20年で29%です(厚生労働省HP)。

2013.9.27

原発性局所多汗症


日本皮膚科学会は原発性局所多汗症診療のガイドラインを改訂いたしました。今までイオントフォレーシスが推奨度Cでしたが、欧米の基準のようにBに上がりました。したがって、まず塩化アルミニウム外用液の選択であったものが外用剤とイオントフォレーシスの二つとなりました。患者さんが選べる選択肢が増えたということになりますね。その後、効果が低い場合にはボトックスの注射となります。
小生は長く多汗症の加療で上記治療を全て行っており、当院では上記加療を全て行えます。他皮膚科の先生よりのご紹介も各種承っておりますので、ご紹介ご連絡お待ちしております。


2013年8月26日

全身熱傷

京都の花火大会での事故により全身熱傷で数名の方が亡くなられたとの報道があります。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 今回の事故で全身熱傷の怖ろしさを理解された方が多いかと思います。全身熱傷は早期のショック期を乗り越えられたとしても、その後に必ず来るre-filling期、感染期を経て回復期に向かいます。Arzの基準にて10以上が重症熱傷として入院が薦められ、片腕か片足の3度熱傷だけでもすでに重症になります。その範囲や面積、そして時期に応じた治療を必要とされます。私が大学病院のICUに在籍して全身熱傷の方を診ていたときの例を出します。
 まず来院時、バイタルサインを確認して、受傷機転と搬入までの時間及び処置を確認します。炎による熱傷、熱による熱傷、化学薬品による熱傷、電気による熱傷[電撃症]などにより異なります。気道熱傷があるかどうかが大事です。血管を確保して輸液をほぼ全開で流します。数十分以内の利尿が確認できたら、Baxterか広範囲熱傷の場合のHLS療法にて輸液を調整します。受傷後6-8時間ほどで血管透過性のピークは越えるので、アルブミンやデキストランなどを併用して流します。超急性期に処置や手術をするならこの時間です。CHDFという透析を回しながら利尿が確保できたとしても、受傷後48時間を超えるとthird spaceから水が血管内に戻り、全身からは浸出液が多量に出てきますので全身の処置を頻回施行します。初期の気道浮腫や腎不全が抑えられても、戻ってきた水による肺水腫や心不全、そして脳浮腫になりやすく、当初意識がある方もこの間耐え難い疼痛を抑えるために意識レベルを抑える必要があります。このように救急医だけでなく、各科の専門医にお願いする形になります。そして、受傷後1週間が過ぎre-filling期が終わると広範囲熱傷の場合ほぼ100%生じる感染症との戦いになります。数回?数十回にも及ぶ植皮術で感染源となりうる皮膚欠損部を覆いながら、回復期に備えて心理サポート、リハビリなど環境面でも整えます。本人も周りの人にとっても長い闘いになります。
 特に急性期は数日間不眠不休で働く必要がありました。尿管からの尿が一滴一滴落ちるのを目前に見ながら、眠りに落ちてしまった事も多々あります。

今回の件に尽力された市立福知山市民病院の方のブログを転記させていただきます。http://fukugim.blogspot.jp/2013/08/0815.html

2013年8月1日

日本の医療費と国際比較


中医協が昨日厚労省に提出した書類で最新の医療費や薬剤費の国際的推移が確認できます(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147719&name=0000013715.pdf)。対GDP比でみると、日本の薬剤費はOECDで最低だとか、国民一人当たりでは最低だとかまとめておりますが、計算のトリックと言い方の問題です。そもそも日本の医療費自体がOECD内でもほぼ最低の水準であり、高いGDPや多い人口と比べればそうなるのは当たり前でしょう。問題は医療費の中に占める薬剤費が高いという事です。折角の資料なので、計算してみましょう。
各国の薬剤費/医療費ですが、フランス18%、ドイツ19%、アメリカ13%、そして日本21%(イギリスはもっと低くなりますが、なぜかこの資料では計算できないとして数値が載っておりません)。これは調剤料などは除いておりますので、実際に皆さんが薬剤をもらう際にかかる費用の高さの実感はもっとあると思われます。トリルダンやリスモダンといった薬はドイツの約2倍、イギリスの約4倍薬価が高い事などを考えるに、日本の薬剤費は高いはずです。また、医療機器も例えばペースメーカーは日本では160万あたりですが、アメリカでは60万、イギリスに至っては30万ほどで購入できます。ステント類も欧米の2-3倍します。TTPで自由化されようが、価格を決める所がこのような考えですと、最終的に皆さんに反映されるときにはほぼ変化ないでしょうね。

2013年7月24日

角質内水分量と経表皮水分蒸散量の測定


ようやくテレビでも特集するようになりましたね。そうなんです、自分の皮膚がどれくらい潤っているのか?ドライスキンなのか?を検査する医療機器が当院にはあります。高価な機器で勤務医の時に購入してからもう長いのですが、自主研究や患者さんの説明によく使っています。保湿剤はどのくらいたっぷり塗るのが良いのか?持続時間はどれくらいなのか?ひいては一日2回と3回でどれくらい違うか?など客観的なデータを取り説明することができます。自分の使っている化粧品がどれくらい効いているのか、なども分かってしまいます。
スキンスコアの測定をご希望される方はまず受付にお声掛けください。


2013年7月23日

Kanebo化粧品による白斑の副作用報告―追記

先日、昨年一年でのパッチテストの報告をまとめ日本皮膚アレルギー学会事務局に郵送しました。成分パッチテストまで行っている医療機関は栃木県では少ないので貴重だと思います。しばらくして学会長よりお電話いただき少しお話をさせていただきました。丁度話題になっていたKanebo化粧品のロドデノールでの白斑はありますか?と聞かれたので「はい、あります」とお伝えいたしました。現在日本皮膚科学会と共同で試薬を作成中とのことで、それがあれば当院での成分パッチテストもできるようになると思われます。8月中旬が目安だそうです。
白斑をきたしやすい内服薬なども多数あり、サイアザイド系利尿薬、抗菌剤、筋緊張治療薬、NSAID、β-blockerなどがあります。接着剤、インク、ワニス、合成樹脂改質剤、香料、殺虫剤、殺菌剤、ゴム酸化防止剤、塩化ビニル安定剤、界面活性剤などにはフェノール、フェノール化合物が入っており、それも白斑の誘因になりえます。
いずれにしても皮膚科専門医への受診を学会ではおススメしております。

2013.7.5

美白と白斑

古来より様々な薬、化合物が肌を白くするとして重宝がられてきました。鳥のフンから始まり、麹を扱う職種の方の手が白くきれいなことから発見されたコウジ酸、コケモから抽出したアルブチン、リンゴやイチゴなどに広く存在するポリフェノール構造を持つエラグ酸など現在までに多数の美白剤が見つかり、POLAのルシノール、SUNSTARのリノレン酸など各社競って調合しております。チロジナーゼ活性の阻害とチロジナーゼ合成阻害作用を有するものが主体で、ハイドロキノンに類似したものが多い中、後者は偉いなと思います。ハイドロキノンに類似している構造式ということは当然、副作用も類似してくるはずです。美白成分が濃いことは、接触皮膚炎の可能性も上昇し、細胞毒性も強くなりやすく、アメリカでは2%以下はOTC、4%以上は医師処方が必要となり、日本でもコウジ酸などは2003年3月7日厚生労働省医薬局安全対策課から通知があり、医薬部外品等の製造・輸入を見合わせていると思います。
カネボウとその関連会社は昨日、そのような美白成分の一つである「ロドデノール」が配合された化粧品を自主回収すると発表しました。白斑誘発作用の可能性が見られたためでしょう。2011年以降、39件の報告は確認できているそうです。厚労省からの通知前に自主回収されたのは素晴らしいと思います。茶の●石鹸とは大違いな対応です。美白と白斑は表裏一体なのかもしれません。
ビタミンCも美白作用が確認できておりますし、多量に摂取しても尿として排出されるので、まずはそれが一番薦められますね。

カネボウのお問い合わせ窓口、回収商品一覧

2013.6.24

日本への渡航注意情報

 読売新聞によりますと、米疾病対策センター(CDC)は19日、風疹の流行が続く日本への旅行者に渡航注意情報を出したそうです。注意情報は、東京や大阪、神奈川、鹿児島などで多くの風疹患者が確認され、今後も流行が続くと指摘。妊娠初期の女性が感染すると赤ちゃんに障害が残る場合があるため、風疹の予防接種を受けた経験や風疹にかかった経験がない妊婦には、流行が収まるまで渡航を延期するよう勧告している。それ以外の旅行者には、渡航前に予防接種を受けるよう呼びかけました。まだ渡航禁止[Level3]ではありませんが、ここ数ヶ月風疹がさらに流行するとそこまで行くかもしれません。
 これがワクチン後進国の日本の現状です。外国に留学する際にも日本であらかじめ多くのの予防接種を打った証明書など必要な国もあり諸外国から感染症を輸出しないでくれと言われております。

2013.6.19

風疹の流行につきまして


先天性風疹症候群CRSの子供を持つ母親たちが厚生労働省に20歳?40代の男女に無料接種をするよう、つまり国庫負担をするよう厚生労働省に6/17提出しました。毎年予算の時期になると増加する医療費を削るようマスメディアなど叩きますが、予防医療に関しては他の先進国同様くらいの国庫負担にして欲しいものですね。
私が学生のころはMMRワクチンなどの定期予防接種のため、CRSのお子さんは非常に少なかったのですが、MMRワクチンからMRワクチンに変更になった時の暫定処置で国庫負担があるにもかかわらず接種されない方が多かったり、集団接種から個別接種に変更になったなど煩雑になったため接種を控える方が多くなり、風疹抗体価が低い方が多くなり風疹罹患率が高まりました。これは麻疹にも言える事です。麻疹は国庫によるキャンペーンなどを打ち出し(それでも昨年が麻疹撲滅年間だったことを知っている方がどれだけいらっしゃることか)ましたが、妊娠前にワクチンを接種した方が良いですよと伝えても、ワクチンの副作用などリスクベネフィットを含めて接種しなかったのでしょう。N●TやN●K並に広告費を使って啓蒙してもらいたいものです。
そして数年が経過してこのような事態になりました。悲しい事ですが、起きるべきして起きた事象です。今年6月初旬までで、昨年の4倍の風疹患者数に達しているとのこと。このままでは当たり前ですがワクチン不足に陥る可能性が高いです。数年前の豚インフルエンザ流行の時もワクチン不足を騒がれ、結果的に作りすぎて●億円無駄になった!などとマスメディアに叩かれました。啓蒙する面が違うと思います。ワクチン接種希望者が著増することを考えると、まず行うことは、優先順位を高い本当に必要な方に接種を促す事でしょう。例えば、
1.任意接種を受けていたにも関わらず、抗体価が高くなく[落ちてしまった]妊娠の可能性がある女性(単独ワクチン接種しても1/20人くらいは抗体価が維持できません)とその家族(風疹は不顕性感染も高い疾患なので)
2.自己判断で任意接種を受けていない方で20代から40代の女性とその家族
3.接種歴が不明(抗体を持っていると思っている方の実際は半数程が勘違いしているそうです)で抗体価が低い20代から40代の方
といった優先順位になるのではないでしょうか。そして抗体価の検査も無料または保険診療にしてほしいと思います。

そして予防接種を受ける皆さんも、この間違った情報が過多な世の中で正しい知識を身につけ判断してもらいたいと思います。子宮頸がんワクチンも数十年後同様の二の舞になりそうで恐ろしいです。

2013年5月25日

おめでとうございます!

 先日、当院のスタッフの結婚式にお呼ばれしました。
とても幸せそうなお二人で、新郎は凛々しく新婦はお美しい。
お似合いのお二人を祝福できて私も嬉しく思いました。

結婚式の写真撮影のために、当院へ受診される方なども増えてきましたね。
ニキビを治したい、色を白くしたい、シミを減らしたいなど。
式まで時間がないと治療は自費診療になってしまうこともありますが、保険診療でお話を伺えますので、まずは気軽にご相談ください。

それでは、お幸せに!


2013年5月22日

平成の大遷宮

 先日出雲大社で60年に一度の遷宮が行われました。付随して神楽踊りや狂言、能などの祭事も多数行われております。一生に一度体験できるかどうかのイベントですので、皆さん時間があれば足を運んでみてください。
 写真は某漫画のマスコットキャラクターの箸置きです。出雲大社への道すがら、妖怪に出くわすのも一興と思います。


2013年4月16日

日焼け禁止法案(アメリカ)成立

米国皮膚科学会(AAD)は4月2日、17歳未満の未成年に日焼けマシン使用を禁じる法律が1日にニュージャージー州で成立したことを報告した。2013年10月1日から施行予定だそうです。ちなみに、イリノイ州ではすでに18歳以下の日焼けマシン使用を法律で禁止されております。
 この法律は、日焼けサロンが悪性黒色腫(メラノーマ)などの皮膚癌発症リスクの増大に関与しているという科学的なエビデンスに基づいたもの。メラノーマの発生率はここ30年間増加の一途であり、中でも日焼けマシンを頻繁に使う若い白人女性における増加は最も急激である。米国保健社会福祉省(HHS)は2002年、太陽光や日焼けマシンなどの人工紫外線(UV)は既知の発癌物質であると公言しているが、米国では年間約3000万人が日焼けサロンを利用しており、うち230万人が10代である。
 米国では毎年200万人以上に350万件を超える皮膚癌が診断されている。5人に1人が皮膚癌を発症し、ニュージャージー州では2013年には、2520件が新たにメラノーマと診断されると推測している。予防が最善策であり、同学会は「SPOT Skin Cancer」キャンペーンを立ち上げ、ウェブサイト(www.SpotSkinCancer.org)を通じて、皮膚癌の予防や発見のための様々な取り組みを行っているとのことです。
 アメリカも日本ほどではないですが、まだ30歳未満の方の半数以上が日焼けは健康的だと間違った考えをもっており、特にセレブと呼ばれる人たちにとって小麦色に焼かれた肌は一種のステータスにもなっております。オーストラリアやニュージーランドくらい日焼けに対して知識を持つべきでしょう。

New Jersey prohibits indoor tanning for minors under 17

2013年3月15日

花粉症とOAS(再掲)


 昨年が飛散量が少なかった分、今年は多く感じますね。花粉症対策メガネなどとても売れているようです。皮膚科にとって花粉症はアレルギーマーチの通過点としても重要で今後のアレルギー疾患の発症や乾燥肌があること自体で花粉症になりやすいなどといった関係もあります。また花粉症を持っている方が、ある種のフルーツを摂取すると口の周りがかゆくなる口腔アレルギー症候群(OAS)も有名です。
 たとえばスギやヒノキの花粉症を持っている方は、トマトを食べて口の周りがかゆくなったりする可能性があります。抗原が近いので体が勘違いして症状を引き起こすのでしょうね。シラカンバなどは多数と、カモガヤなどはラテックスと交差感作を引き起こす可能性があります(ラテックス・フルーツ症候群については後述)。
 まず自分のアレルゲンを知る事が大切です。当院ではプリックテストやスクラッチテストも施行できます(日本皮膚アレルギー学会提唱)。抗アレルギー剤で症状を和らげることも可能ですし、諸外国のようにクロモグリク酸を食前投与したりして予防したいものです(日本ではクロモグリク酸は食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎にしかまだ保険が通っておりません)。

2013年3月12日

今年から麻疹(はしか)の届け出の制度がかわります。

麻疹(はしか)の予防接種の5年間の特例措置[予防接種を受けられなかった方への]が昨年で終了しました。子供への二期の定期予防接種が施行されているので、これでようやく日本も先進国並みに患者数が減ってくれることを期待します。
それに伴い、麻疹の検査診断体制も変わることになりました。今までは、臨床診断で疑わしい方には採血や尿、咽頭ぬぐい液など採取をしなかったのですが、これからは取らせていただくこととなります。検体は保健所職員が取りに来てくれるとのことで、結果は1週間ほどでお伝えできると思われます。

2013年3月11日

首からぶら下げる「ウイルスプロテクター」による化学熱傷

国民生活センターによると首からぶら下げるタイプの空間除菌?剤での化学熱傷を生じた製品の自主回収が行われております。
そもそも次亜塩素酸ナトリウムを皮膚に接触させる事自体が間違っておりますが、ある種の漂白剤や洗浄剤にも含まれておりますのでお気を付け下さい。

2013年1月31日

ジェネリック医薬品の淘汰

厚生労働省は日本の医薬品の製造管理基準を満たしていないことを確認せずに原料の成分を韓国から輸入し、医薬品を製造、販売していたとして、薬事法に基づき、沢井製薬(大阪市)など製薬13社に改善命令を出しました。指摘された医薬品は、降圧薬、抗真菌剤、抗アレルギー剤などが多数です。日本はまだジェネリックの種類が多くインドのジェネリックのように並の品質を保つよう競争し早く淘汰されてほしいものです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002txex.html

2013年1月22日

インフルエンザ注意報


 読売新聞によりますと、今年のインフルエンザ患者はここ最近で急増し、患者数が昨年同期の2倍近くに上っていることが、国立感染症研究所の報告で分かったそうです。 全国約5000か所の医療機関から今月7-13日の1週間に報告された患者数は、1医療機関あたり平均12・07人で、前週の3倍に増え、20歳以上の成人が65%を占め、ウイルスの型はA香港型が8割強。都道府県別では、群馬県で同27・71人、茨城県で同25・88人、千葉県で同22・52人と、関東地方で患者が多い。佐賀県で同19・97人、愛知県で同14・14人など九州、東海地方も多い。9県で警報レベル(同30人以上)、38都道府県で注意報レベル(同10人以上)の地域と、全国的に猛威を振るっているそうです。都内では17日にインフルエンザの流行注意報を発し、昨年より1週間早く注意を促しております。また、山形県では8ヶ月の男児も亡くなっておりインフルエンザが原因ではないかと言われております。年間1万人[超過死亡で算定]ともいわれるインフルエンザの死亡者数はここ数年の日本での推移で、特に若年層に感染しやすくなっているのが特徴です。その結果流動性が高く、感染が拡大しやすいといった側面を持っています。
 なお、T-705(メシル酸ガノレキサシン)はまだインフルエンザウィルスに保険適応が通っておりませんのでご了承ください。

2013年1月21日

増加する皮膚がん―日光角化症について

顔に赤いものやシミがありませんか?実は日光角化症かもしれません。光線角化症とも呼び、紫外線に長時間曝露していると生じる皮膚腫瘍です。これ自体は転移などせず悪性ではないのですが、4つに一つ、25%[最近ではもっと低くなりましたが]で皮膚がんになる可能性があるので、境界悪性とする文献もあります。持田製薬のサイトに詳しく載っておりますので、ご覧ください。また、環境省が提唱している日焼け対策のサイトもあげておきます。2011年から処置や手術だけでなく、外用剤でも治すことができるかもしれませんので、ご相談ください。

2013年1月18日

初日の出と時代の潮流

 Healthday Newsによりますと、米国では、ほとんどの人種・民族で、男女とも癌(がん)、特に肺癌、大腸(直腸結腸)癌、乳癌、前立腺癌などによる死亡率が継続的に低下していることが報告されました。米国癌協会(ACS)のEdgar Simard氏によると、肺癌の死亡率低下は喫煙者の減少と治療の改善による部分が大きく、大腸癌と乳癌についてはスクリーニングおよび治療の向上により死亡率が低下したと考えられる一方、男性ではメラノーマ(悪性黒色腫)、女性では子宮癌の死亡率が上昇。肝癌および膵癌の死亡率も上昇しているとのことです。
 日本も食生活の欧米化などにより悪性腫瘍が増えておりますが、今後喫煙率の低下により肺癌の減少が見込まれる可能性がある一方、日光曝露に伴い皮膚癌は増加の一途をたどるでしょう。ワクチンや定期健診などの予防医学にシフトした方が結果的に見込まれる医療費も削減できるはずですが、日本ではまだ公費負担が少なく、このような状況では保険料率も上昇してしまうのは仕方ありません。本来ならば公費負担がなくても医療機関を受診するべきなのですが、いずれ毎年の癌を含んだ定期検診が義務となるような保険などができると良いと思います。


2012年12月27日

今年もお疲れ様でした


 2012年も各種大学病院様、スタッフの皆様に大変お世話になりました。本日は今年一番の冷え込みになるそうで、例年より急激な寒さのためか凍瘡(しもやけ)になる方が多いです。凍瘡は寒くなると生じると間違っている方がいらっしゃいますが、温度変化によるもので、温めても生じます。したがって、寒くなり始める11、12月と暖かくなり始める2、3月などが多くなることが予想されます。最近は保温効果の高い手袋なども売られておりますので、急激な温度変化を避けご自愛くださいませ。
 それでは皆様、良いお年を!

2012年12月1日

ワイヤーから趾ブロックによる手術やアクリル人工爪までできる医院


当院では巻き爪外来という専門外来を土曜日午後に行っております。よく「どんな爪にでも行えます!」と謳っているHPがありますが、巻き爪のみの治療でなく白癬菌の治療も必要なことがあるため、厳密には医療機関でないとそれはウソになります。医療用弾性ワイヤーも特許をとっている正規品で行わないと期待できる期間での加療が難しいため、正規品をつかっている当院では治療期間も短くて済みます。手術療法も大学病院や関連病院で神経ブロック麻酔で数多く行って加療した経験があります。アクリル人工爪も行っておりますので、様々な爪にも対応して加療することが可能です。


2012年11月30日

インフルエンザワクチン接種につきまして

栃木市のインフルエンザ協力医療機関の一覧です。金額は高齢者が1000円で、その他の方は各医療機関によって若干異なりますので、それぞれお問い合わせください。経鼻のインフルエンザワクチンが早く日本でも認可されると良いですね。重症化を防ぐ注射タイプと異なり、経鼻だと交差防御能も期待できるので、インフルエンザ株が特定できなういうちから使用できます。なんといっても、痛くないというのが皆さん一番なのかもしれません。

2012年11月15日

熱傷にラップ療法はやめましょう


日本熱傷学会は熱傷創部にラップを巻くラップ療法をやめるよう通達を出しました。当たり前のことなのですが、ようやく見解が出たという事で嬉しく思います。熱傷はその深度(深さ)に応じて1度(アラビア数字)、2度SDB、2度DDB、3度などになります。この区別もできないことは問題外ですが、ほとんどの外来患者さんは深くないのでラップ療法で良くなってしまうことが問題なんですね。子供のようにラップを清潔に保てない場合やそもそもすでに感染している場合などにはラップ療法は感染症を増悪させるので行ってはいけません。水絆創膏も同様ですね。ちゃんと添付文書にも感染している場合には使わないよう書いてあります(ほとんどの方は読んでいませんが)。さらに広範囲熱傷では感染症を起こす可能性が100%です。上手に医療用被覆材を使えば創傷治癒は促進されますので、感染症を伴っていない浅い熱傷でもきちんと専門家に診てもらった方が良いと思います。

2012年10月10日

ノーベル医学生理学賞おめでとうございます


京都大学の山中教授とケンブリッジ大学のジョン・ガードン博士が今年のノーベル医学生理学賞を授賞されることが決まりました。皮膚細胞からのiPS細胞を作成された研究のみでなく、そのお人柄も素晴らしいですね。特にここ数年での飛躍的な成果は目を見張るものがあります。ES細胞と異なりiPS細胞なら拒絶反応が少なく倫理的にもクリアされるので臨床応用が早く実現される事が期待されます。この度は本当におめでとうございます!

2012年9月15日

医療機関のHPの規制

自費(自由)診療でも保険診療でも、医療機関のHPには規制があるのをご存知ですか?例え事実でもダメなのです。
1.「日本有数の実績有する」、「当院は、県内一の医師数を誇る」など、自らの医療機関が他より優良であることを示す表現
2.科学的根拠が乏しい情報に基づき、「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください」などの表現
3.内容が虚偽にわたる、客観的事実であることを証明することができない事項・加工修正した術前術後の写真等の掲載
4.「当院では、絶対安全な手術を提供しています」、「1日ですべての治療が終了します」・「○%の満足度」など
5.手術・処置等の効果・有効性を強調するもの
6.提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引 「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」など
7.早急な受診を過度にあおる表現や、費用の過度な強調 「キャンペーンを実施中」、「○○治療し放題プラン」など

『ホクロ切除1個あたり●円!』といった表現もダメのようなのですが、一方で、自費診療のHPに掲載すべき事項で、
1.通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項
2.治療等のリスク、副作用等に関する事項
などがあり、現場は混乱してしまいますね。

県内に当院にしかない医療機器があっても、伝えられません。どういった症状があったら医療機関にかかるべきかを伝えられません。目に線を入れた、ビフォーアフターの写真もダメということになります。そして、目に線を入れないと個人情報保護法に触れる可能性があります。これらはリンク先でもダメだとのことで、リンクも貼れないようになりますね。

2012年9月11日

感染症輸出国

読売新聞によりますと、宮崎県内の中学校の男女教諭各1人(いずれも30歳代)と女性教諭の夫(20歳代)の3人が麻疹になったそうです。昨日から学級閉鎖でなく、学校閉鎖となっているそうです。ワクチン接種歴は不明ですが、年齢から考えると、30歳代では麻疹のワクチンを打っていない可能性があります。今回は東南アジアで感染した可能性が言われておりますが、日本の予防接種は遅れているので、感染症輸出大国と言われかねません。

2012年9月8日

セアカゴケグモ 大量発生

以前日記に記載したセアカゴケグモの追加報告です。朝日新聞によると福岡市などで女性がセアカゴケグモに咬まれる事件があったそうです。関西地区でも大量発生しており、外来種ではありますがすでに相当繁殖している可能性があると思います。
松瀬らの研究によると、5℃で最長47日間生存し、10℃で175日、15℃で270日生存するらしいので、日本全国で越冬する可能性が高くこれからも増加の一歩をたどるでしょう。原産のオーストラリアのSutherlandらの研究によると2144件のうち、死亡例はないとのことがまだ救いだと思います。しかしながら、神経毒であることを考え各種自治体や日本中毒センターなどに血清を念のため常備していた方が無難だと思います。今回報道にあった、福岡市でも血清を備蓄しているとのことです。

2012年9月7日

不活化ポリオワクチン承認へ


ポリオ単独不活化ワクチンが今月初めから接種開始となりました。ジフテリア、破傷風、百日咳を加えた4種ワクチンも11月から接種開始となるようです。今までの生ワクチン接種回数に応じて不活化ポリオワクチンの接種回数が異なるなどありますので、役場や医療機関に問い合わせるようにしてみてください。なお、当院ではまだ施行しておりません。当院で可能な予防接種は、風疹・麻疹のMRワクチン、インフルエンザワクチン、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンになります。

2012年8月30日

OTC(
Over the counter

 医師処方箋がなくても買える市販薬のことである。近年、ロキソニン●にしろ、ザジ●ンにしろ日本では加速度的にOTCになる薬剤が増えている。OTCを購入するのは構わない。本当に分からない、困っている人だけ病院に来て頂ければ医療関係者らも助かる。ただ、安易に購入することは当然勧めない。問診で今まで飲んでいた、塗っていた薬でOTCを使っていたとしても隠している人も多い。目隠しで診療するよりは可能な限り協力していただけたほうが、医療従事者からしても、患者さんからにしても目標に達しやすい。
 今のところ日本でのOTCは安易に購入できるだけである。実際安価かどうか調べてみても、3割負担としてもOTCは3倍から10倍も高価であることが多い。ただの軽い病気だから、こんなので病院に行ったら悪い気がすると気が引けてしまうことは全く必要ない。価格だけでなく、安心、今後のことも考えて医療機関には一度かかった方がよいだろう。早く診断でき、治療できることでかかる医療費も安くなるだろう。このOTCが頻発しているのはアメリカの流れである。見かけ上医療費は抑えられるので、日本政府も薦めているのだろう。一方、イタリアではOTCはほとんどなく、風邪薬や胃薬が欲しければ医療機関で処方箋をもらわなくてはならない。グルジアでもほぼ同様である。睡眠導入剤などOTCであるとグルジアの友人の医師に話したとき、「大量に睡眠導入剤を飲んで何かあったらどうするの?」「説明書皆読んでるの?」と質問を受けた。自己責任なんてただの責任転嫁よと罵られた事は忘れない。それでも買うなんて勇気じゃなく無謀よと。 確かに、OTCは、Over the courageなのかもしれない。

2012年7月30日

悪性黒色腫と日焼けサロン

 皮膚がんの中で、日光曝露と関係するものに有棘細胞がんSCC(扁平上皮癌)、基底細胞がんBCC、皮膚付属器腫瘍SAT、Bowen病、そして悪性黒色腫MMなどがあります。今回、若年から日焼けサロンに通っている方などで悪性黒色腫になりやすいといったデータが出ました。日本も「No hat, no play」のオーストラリアや他の先進国並みに日焼けに対する啓蒙が進めばよいと思います。

Boniol M et al.Cutaneous melanoma attributable to sunbed use: systematic review and meta-analysis.
BMJ 2012;345:e4757

2012年6月6日

金星の太陽面通過


今年は金環日食といい、天体ショーの一年ですね。満月の力はヒトを惑わせ、事故・自殺などをひきおこすと言われており、英語の「lunatic」という単語の意味でも残っています。確かに満月は科学的に毛の成長や植物の成長や女性の性周期などに影響を与えているらしいです。しかしながら、月の満ち欠けと犯罪率の統計を出すと特に満月だからといって増えていたりしていないことが分かっています。

2012年4月6日

ジェネリック(後発医薬品)につきまして

東京保険医協会のHPからの引用です。皮膚科では特に外用剤での先発品と後発品の比較が論文によくなっております。混合した時の配合変化などもあるため、データが沢山ある先発品の方が使いやすいのは事実です。

2012年3月10日

診療時間の変更のお知らせ

4月から土曜日の診療時間が変わります。
第1,3土曜日 午前 一般診療
        午後 巻き爪外来(予約制)

2012年2月22日

ニキビ対策   3. それでも気になる場所にはポイントメイクで

ベースメイクアップファンデーションの2色使いが薦められます。赤みの強い皮疹には通常皮膚色より少し黄色い色の部分使いをし、そのなった色に健常部のファンデーションを使う。ファンデーションスポンジの洗浄はされていないことが多く、表・裏と考え、1日一面使用で2日で洗浄するようにしましょう。それでも気になる場所がある方には、ポイントメイクがおススメ。
人は印象の強いところに視線がいくものです。ポイントを作るとそこに視線がいき、嫌な部分が案外気にならなくなり、患部から視線をそらす事ができます。例えば、口紅を使用する代わりに、眼鏡やスカーフの着用やアイメイクなどのポイントメイクを念入りに施します。また、小さな鏡を使いメイクしていることが多いので、皮疹など自分のコンプレックスに視線が行きやすくなります。大きな鏡で顔全体、または姿見で全身を映してみると良いでしょう。

2012年2月21日

ニキビ対策   2. ノンコメドジェニックまたハイポコメドジェニック化粧品で

お化粧は避けましょうとニキビの方で言われることがあるかもしれません。ですが、正しい化粧はニキビを増悪させることは少ない事が知られております。正しい知識を身につけましょう。
洗顔後に大事になるのは保湿です。ニキビ患者は健常人より経表皮水分蒸散量が高値であり、角質内水分量が低下していることが多く、化粧水はノンコメドジェニックの化粧品を使いましょう。例えば、実際に売られている化粧品ではNovや2e(ドゥーエ)などがあります。
化粧水を手に取り、手のひら全体で包み込むようにし、手の温度を感じる程度にゆっくりとなじませてください。コットンを使用する場合でも、パッティングのように叩く刺激は避け、優しく押さえるようにし、最後には手のひら全体で包み込みなじませるようにしましょう。乾燥が強い場合には、肌に合う化粧水を2~3度重ねつけするのがよいです。また紫外線でニキビができやすくなる事もあまり知られておりません。最後に重ねて日焼け止めを塗るようにしましょう。多湿な日本では日焼け止めは何度も塗りなおす事が大事です。

2012年2月20日

ニキビ対策   1. 正しいクレンジング、洗顔

ニキビがよくできる方に特徴的な洗い方が、回数が多かったりゴシゴシと強すぎる力で洗いすぎることです。1回あたりのメイク落とし洗顔料(クレンジング)の使用量の少なさと、泡立て不足も共通してよく見られます。使用量の目安は、皮膚にしわができず手がスムーズにすべる量が必要であり、写真を参考に十分泡立てて多めに使用して下さい。指先での洗浄は力が入りやすいため中止とし、手のひら全体で優しく洗ってください。手のすべりが軽くなるタイミングを洗い流しの目安とし、こすりすぎにも注意してください。乾燥する部位から洗顔していることが多く、長時間の洗顔を避けるために洗顔の部位を変えることも必要です。ぬるま湯の流水で十分にすすぎ、特にフェイスラインの洗い残しに注意して、慣れてきたら短時間で洗い終えるようにしましょう。
当院ではスキンタイプや角質内水分量、経表皮水分蒸散量を測定できるため、その人に合った化粧品や洗顔など指導することができます。


2012年2月11日

巻き爪外来につきまして

当院では第1、第3土曜日午後の専門外来で巻き爪外来を行っております。院長は大学病院で長く経験もあり、巻き爪の様々な治療法を選択できます。たとえば、切らないで治せる弾性ワイヤー法などがあります。ワイヤーなどでは自費診療になる可能性がありますので専門外来にお越しください。こちらのサイトでご自分の自宅や職場の近くでワイヤーを入れられる所を調べることができ、質問集もありますので、ぜひご覧になってください。
http://www.tama-medical.com/


2012年1月30日

粉瘤を侮るなかれ

粉瘤の切除など時に行いますが、綺麗にカプセルが取れると嬉しいものですね。プレパラートに収まらないくらいの大きなものだったりすると自己満足してしまいます。以前勤務していた某総合病院で外科の先生から、粉瘤を取ったら、悪性だったとのご紹介があったことがあります。長年患っていたからでしょうか、その後拡大切除し大事に至りませんでした。それ以来粉瘤でも、あやしい場合には組織を調べております。当院では組織は皮膚病理のトップクラスである札幌皮膚病理にまで郵送して調べてもらっており、私も組織をみてダブルチェックしております。組織説明まで他院よりお時間をおかけし申し訳ございません。

2012年1月25日

インフルエンザが流行しております。

埼玉県の某病院での院内集団感染が報告されました。職員19名、患者さん20名の院内感染だそうです。医療機関として常々思っているのですが、なぜ職員のワクチン接種を無料にしないのでしょう。今まで勤務してきた私立病院、公的病院のどこもが金額に差があれ料金を徴収していました。当院ではスタッフは無料で接種できます。院内感染防止のためにも、医療機関の職員のワクチン接種は推奨されるべきです。

2012年1月20日

「清涼タオル」ご使用の注意

国民生活センターで水でぬらすだけで冷感を得られることをうたったタオルについての接触皮膚炎がご報告されました。イソチアゾリノン系の防腐剤が原因として疑われております。詳しくはこちらまで。この防腐剤が原因でサポーターでもかぶれてしまった方もいましたね。冷感が得られるとのことで、やけどをした際に貼ったり、巻いたりしている方もいますが、アロエクリームと同様におやめください。
日本の化粧品には成分表示が義務付けられているのですが、守っていない会社が多すぎて困ります。

2012年1月18日

日本はOTCが多すぎです

4月からビタミン剤を保険で出せなくなるかもしれません。薬事ニュースによりますと、厚生労働省は4月から、全ての医療用ビタミン剤について保険給付を制限することに決めたそうです。現在しもやけの方にビタミンE内服や外用を処方したりしておりますが、これもできなくなってしまうのでしょうか。市販化されているOTCに似ているものは保険給付から徐々に外して、見かけ上医療費を下げたいようです。市販品で買えるものは買う形になるので、実質医療にかかる金額は変わらないか上がるでしょう。ビタミンの後は、亜鉛なども保険処方できなくなるのでしょうか。ビタミンEと同様、亜鉛も肝炎などに効果があると知られており、当科以外でもよく処方されるのですが。
米国で自主回収したOTCが日本でまだ売られていたりしているのを見るに、日本のOTCは多すぎだと思います。イタリアなんて風邪薬でさえ、購入するのに処方箋が必要となります。

2012年1月1日

賀正

新しい年が明けました。この正月は明けましておめでとうございますと素直に言えない年だったかもしれません。気持ちを新たに一所懸命に生きていきます。今年もよろしくお願い申し上げます。

2011年12月2日

国民生活センター

前述した石鹸による小麦アレルギーになった方などは国民生活センターに寄せられた情報からも確認することができます。その他にも、最近ではネイルアートによる感染症の被害やアートメークの危害などについて載せられております。昔は刺青によるC型肝炎など被害があっても、こういった組織がなかったため知られるまでに被害が拡大してしまった経緯もあります。正しい情報を仕入れましょう。

2011年11月26日

スキンバンクをご存知ですか?

ドナーカードの提供組織に皮膚もあるのをご存じですか?広範囲熱傷ではそのままでは皮膚欠損部より感染することはほぼ100%です。そのため、早期に代替皮膚で補う必要があります。以前は豚皮や人工皮膚などよく用いましたが、生着の関係でやはりヒトの皮膚が一番良いです。自家培養の表皮シートでは培養に時間もかかり、広範囲をカバーできる分はまだ難しいのが現実です。
最近は皮膚科の先生より形成外科の先生が多くご参加されており、熱傷や植皮の知識が豊富な皮膚科の先生は少なくなってしまっているかもしれません。ICUに勤務した事のある皮膚科の先生に関してはかなり少ないと思われます。
初期救急から回復期、リハビリまで全て携われたことはとても貴重な経験でした。

2011年11月25日

小麦による食物依存性運動誘発性アナフィラキシー(FDEIA)

前述の続きとなります。例えば、小麦によるFDEIAを疑った場合、簡便なため採血検査を行います。ちなみに一般的な小麦のDEIAでの特異的IgEの陽性率は小麦が48%、グルテンが56%、ω‐5グリアジンが80%です。つまり、小麦によるFDEIAをもっている方でも、採血検査では陰性となることがあるということです。さらに島根大学皮膚科学教室のご報告によると某石鹸でのWDEIAでの抗体陽性率はグルテン80%になるなど、異なるそうです。また、グルパール19Sによるプリックテストを施行します。陰性の場合やIgEの数値により、確定診断で入院しての経口負荷試験やトレッドミルなど用いて経口負荷後運動をします。小麦とエビによるFDEIAが多いのですが、アトピー性皮膚炎などでIgEが陰性にもかかわらず、牛乳を飲むと皮疹が増悪するmilk induced eczemaなどもあり、上記の知識とともに詳細な問診と臨床所見を診る目が必要となります。
安易に自己診断し、除去されないようにして必要以上に怖がらないでもらいたいのと、今まで大丈夫だったからとか、天然成分だからとか、間違った知識を持たないように。小麦に限らずビタミン剤や化粧品、医薬外部品による薬疹などの報告も多数ありますが、ご存じでしょうか。

2011年11月23日

食物アレルギーあれこれ

食物アレルギーと呼ばれるものには、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショック、口腔アレルギー症候群(OAS)、食物依存性運動誘発性アナフィラキシー(FDEIA)、接触蕁麻疹症候群などがあります。今話題の小麦によるFDEIAで有名になったかもしれませんね。それぞれ検査の陽性率や特異度は異なり、例えば卵での偽陽性率の高さ、小麦での偽陰性率の高さなどなど知っておかなければなりません。その上で、採血、食物負荷や運動負荷試験など意味がある検査を行い、食物除去や薬物療法など選択します。
大学にいるときにFDEIAの方を診ました。採血では陰性でしたが、入院してトレッドミル運動負荷試験をして陽性と確認できました。多くが入院しての精査、加療を必要としますので、ご相談ください。

2011年11月11日

祝開院一周年

先日当院を開院して1年が過ぎました。日本で初めての予約システムと電子カルテの連動であったり、指導・教育の徹底など様々な試みを行っております。長く地域の皆様に愛されるように続けてまいりますので、これからもよろしくお願い申し上げます。

2011年10月24日

ダーモスコピー

足の裏に黒色斑がありませんか?この医療機器をつかうと肉眼的よりも拡大してみえるだけでなく、ゼリーをつかって分散を抑えると、表皮・真皮の所見がよく見えます。例えば、ホクロか悪性かを判別するのに使います。


2011年10月14日

アトピー性皮膚炎と免疫

昨日、東北大学の相場教授のご講演を聞いてきました。さすが免疫のスペシャリストです。複雑に入り組んだ免疫系統を臨床を踏まえて分かりやすくご説明して頂けました。アトピー性皮膚炎AD=A×B×C×D×E×F×G×H×Iの公式にも理解が深まりとても助かりました。

2011年9月29日

サリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリング

当院では皮膚科専門医監修の元、グリコール酸とサリチル酸マクロゴール(上田説子先生の開発)でのケミカルピーリングを行っております。事前や事後に皮膚の状態を客観的に測定できる角質内水分量測定器、経表皮水分蒸散量測定器、色差計での評価もできます。

2011年9月27日

防災ガイドブック

岩手医科大学で有志の方が作成した防災ガイドブックへのリンクを貼ります。各自治体の救急診療と合わせて閲覧ください。
歯科の分野で詳しく載っているのが助かりますね。

2011年9月19日

麻疹ワクチンの二度目接種につきまして

2006年から麻疹に関して二度目の予防接種が日本でも始まりました。今年度の栃木市の予防接種スケジュールへのリンクを貼ります。本日は敬老の日です。早く結核に対しても二度目のブースターが認可されるようになってほしいものです。

当院ではMRワクチン、麻疹単独ワクチン、風疹単独ワクチン、Hibワクチン(アクトヒブ)、肺炎球菌ワクチン(プレベナー)を承っております。
その他、子宮頸がんワクチンや水痘などご要望がありましたら、ご連絡ください。

10月3日の院内講演は「ワクチンの日本の実情」についてです。


2011年9月5日

皮膚科救急疾患

本日の院内講演でお話した『皮膚科救急疾患』には、初期救急が大事な皮膚科の病気があり、蕁麻疹、蜂刺症、帯状疱疹、熱傷、神経毒をもつ生物による被害などがあります。ここ最近では情報が気軽に手に入ると思いがちですが、間違った情報や知られていない情報もまだ多いのが実情です。例えば一部のアスピリン喘息ではコハク酸エステルや防腐剤であるパラベン類に対しても過敏症をもっているため、知らないと治療でかえって重症化することなどもあります。神経毒をもつ生物も例えば昨年、沖縄でプロダイバーがオニダルマオコゼに刺されて命を失った事件がありました。ハブクラゲに刺され水で洗って重症化するなどもあります。こういう話をすると怖いと言われる方もいらっしゃると思いますが、知らない方が怖いと感じてしまいます。

2011年9月1日

セアカゴケグモ咬症

日本皮膚科学会雑誌の最新号に記載してあった論文が印象的だったので、記します。もとは外来種でしたが、本邦では現在までに日本の近畿周辺、中国地方、九州地方、沖縄でこの蜘蛛の生息が確認されております。α-ラトロトキシンという神経毒を有し、咬傷部位以外にも疼痛を生じるのが特徴だそうです。こういった小さな生物や海洋生物などは生存のために“山椒は小粒でもピリリと辛い”神経毒をもっているものが多いですからね。なお、国内の抗毒素血清の保有施設は国立予防衛生研究所、三重県立総合医療センター、大阪府急性期・総合センター、沖縄県立中部病院の4ヶ所だそうです。
    大阪府済生会富田林病院の久米井先生の論文より引用させていただきました。


2011年8月29日

もうすぐ ガーダシル その3

サーバリックスの公費負担が実質9月までということで、かけこみの子宮頸がんワクチン接種が多いそうです。大変ですね。一方、もう一つのワクチンであるガーダシルは同時期に申請したにもかかわらず、ようやく先ごろ承認され、9/15から公費負担となります。この承認のラグは何なんでしょうね。我が栃木市でも早めに公費負担となり、どちらも選択できるようになってほしいものです。ちなみに、今年の1月と6月にLancetに掲載された下記の論文を引用いたします。
Early effect of the HPV vaccination programme on cervical abnormalities in Victoria, Australia: an ecological study
The Lancet, Volume 377, Issue 9783, Pages 2085 - 2092, 18 June 2011
Quadrivalent human papillomavirus vaccination and trends in genital warts in Australia: analysis of national sentinel surveillance data
The Lancet Infectious Diseases, Volume 11, Issue 1, Pages 39 - 44, January 2011
(女性だけでなく、男性についても関係します)

どちらを選択するかのご参考にしていただけたら幸いです。

2011年8月21日

そうとめ皮膚科クリニック 祝開院!

先日、後輩が石橋町で開業するので挨拶に行ってきました。音声入力できる電子カルテや綺麗で考えられた医院のつくりに嫉妬しちゃいましたよ。大学病院の医局長を長く勤めた経験もあり、近隣にお住いの方でなくてもお薦めできます。
http://www.sotome-skin-clinic.com/

2011年8月19日

マダニ症とインディアン

県北で働いていた時には多く診ていたマダニ症を先日県南の当院でも診ました。長野県の某所で刺されたらしいのですが、作成しているマダニマップに追加しておきます。栃木県北ですと、那須高原や日光あたりに出没していますね。早期ははたくだけで落ちるマダニも24時間経つとセメント様物質を出しがっちりと皮膚に食い込みます。無理に自力でとろうとすると、注射器のように押し出す形でマダニの体内に飼っているスピロヘータという病原菌をヒトの体内にまき散らしライム病を引き起こす可能性があります。アメリカ先住民族のインディアンは狩りをした後に、お互いの背中をはたくという踊り、儀式を行うことでマダニをはたき落してました。時間がたってしまったら無理に自分で取ろうとしないで、すみやかに皮膚科を受診してください。


2011年8月1日

ある意味、ラップ療法

最近、ハイドロコロイドを含有した水絆創膏が市販化されております。本日『創傷治癒と被覆材について』の講演を行いました。表皮は18時間で0.1mm再生しますが、乾燥時より湿潤時の方が2~3倍も早く再生することが知られております。そういった湿潤環境での創傷治癒を促進させるのが、それらの製品です。市販化されている水絆創膏も同様なのですが、感染していると使いづらく、使用を控えるように添付文書にも記載してあります。したがって、伝染性膿痂疹(とびひ)などではかえって、水絆創膏の下でグジュグジュしたり、感染が拡大し、とびひが広がる事もあります。難しい場合にはご相談ください。


2011年7月17日

緩和ケア講習会 in 佐野厚生総合病院

本日、明日と受講しております。癌による疼痛ケアーなど中心に学ぶものですが、各機関から有名な先生を講師としてお招きされ、とても勉強になりました。旧知の先生ともお会いできてよかったです。今後、徐々に在宅での緩和ケアーも進んでいくと思います。様々な選択肢を提供できるようにしていきたいと思います。

2011年7月16日

手足口病も流行しております

西日本で流行していた手足口病が、今月に入ってからここ栃木県でも流行してきました。県南健康福祉センターによると今月も増加傾向にあり、このまま流行しそうな勢いです。当院でも手足口病の方を診る機会が増えてきました。伝染性紅斑と同様に出席・出園禁止ではありませんが、間違った知識で差別されてしまうこともあるため、悩んだらご相談してください。
来月8/1の講演内容は、『創傷治癒と被覆材について』です。施設の方の参加もお待ちしております。

2011年7月15日

もうすぐ ガーダシル その2

厚生科学審議会感染症分科会の予防接種部会は7月8日の会合で、国内2製品目となるMSDの子宮頸がん予防ワクチン「ガーダシル」を公費助成の対象にすることを了承した。厚生労働省の担当者によると、ガーダシルは早ければ9月にも各医療機関で接種できるようになるが、公費助成の開始時期は未定だという。同部会では、ガーダシルが7月1日付で製造販売承認を取得したことを受け、公費助成とするかを審議。厚労省が、既に公費助成の対象となっているグラクソ・スミスクラインの「サーバリックス」との違いを明確に示すことなどを条件に了承した。市町村がどちらも公費助成の対象とする場合、どちらのワクチンを使用するかの判断は、各医療機関に委ねる方針』とのことです。サーバリックスとの明確な違いを説明できる医療機関がどれくらいあるか。。。どちらを選んでも、がん検診をすることは薦められます。

2011年7月6日

蜂アレルギーについて

今週の講演会でお話いたしました。以前は年間30名以上の死者を出しておりましたが、最近は正しい啓蒙のおかげか年間10名以内にまで減ってきております。ただ、刺される被害数に関しましてはあまり減っていないようにも感じられます。正しい知識を身につけましょう。

2011年6月13日

もうすぐ ガーダシル

朝日のWEBROZNAに記載されておりましたが、ようやくガーダシルの製造販売が、早ければ6月末にも承認される見通しになったそうです。現在日本で承認されている、HPVワクチンはサーバリックスのみなので、選択できることは良い事ですね。サーバリックスを製造しているイギリスではガーダシルが認可されておりませんが、感染症専門医の方に自分の子供にどちらを接種させたいかと聞いてみると、個人輸入をしてでもガーダシルを接種させたいと考えている親が多かったりします。当院もサーバリックスの予防接種を行わないようにしておりました。詳しいことはご相談お願いいたします。

2011年6月2日

蜂アレルギー

栃木県は養蜂場、イチゴ菜園など多く、全国でも蜂による被害がトップクラスに多い県です。
蜂アレルギーは即時型の、ハチ毒抗原と体内のIgE抗体との抗原抗体反応です。したがって、刺された一度目ではアレルギー反応は生じず、ハチ毒のみの反応となります。しかし、二度目以上ではハチ毒の反応とともに、アレルギー反応が生じる可能性がでてきます。ハチ毒には主にホスフォリパーゼ、ヒアルロニダーゼ、メチリンなどアレルゲンとなる物質とヒスタミン、セロトニンなどかゆみやいたみ、血管拡張などを引き起こす成分が含まれております。つまり、刺されたのが初めてでも、刺されたところは1日をピークに赤く腫れて痛くなります。一度に多数の蜂に刺された場合もハチ毒による直接作用が強く出ます。したがって、刺されて気持ち悪い、息苦しいなどの自覚症状が出た場合や一度に多くの蜂に刺された場合には速やかに医療機関を受診してください。当院ではエピペンの処方も承っております。来月ハチに関する院内講演を予定しておりますので、聴講をご希望の方はご来院お待ちしております。


2011年5月21日

夏なのに乾燥?

冬に乾燥しやすいことは知られておりますが、夏でも入浴後に裸でいる時間が長かったり、汗をかいたままにしていたりすると、汗など水滴が蒸発するときに皮膚の水分も一緒に持っていってしまい、皮膚は乾燥してしまいます。当院ではどれくらい肌が乾燥しているか、医療機器で客観的に測定することができます。入浴後すぐに保湿剤を塗りましょう。
一昨年の研究で、乾燥肌があるだけで、アレルギー疾患がなくても、5年後にアトピー性皮膚炎(7.7%)やアレルギー性鼻炎(38.5%)になりやすいというデータがでました。子供の成長に従って、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎など発症していく「アレルギーマーチ」の出発点が食物アレルギーだけでなく、乾燥肌にもあるということが検討できたわけです。
こういった予防医療にも重点を置いてケアーしていきたいですよね。

2011年5月10日

予防接種あらかると(
日本小児科学会が推奨している予防接種スケジュール)

よくご両親から どの予防接種から順番に受ければよいのか? とご相談されることがあります。日本小児科学会ではスケジュールの例をサイトに載せておりますので、ご参考にしてみてください。2度接種するべき麻疹のワクチンなど一度しか接種しないとどうなるのでしょう。答えは、ワクチンの効果が次第になくなってしまいます。
2008年に麻疹が再度流行した時期がありました。当時私も修飾麻疹を診ましたが、麻疹罹患者の約25%にワクチン接種歴があり、多くは一歳以降の幼少時の一回接種をした方であることは後日分かりました。通常の麻疹より症状が軽かったり(異型)することが多く、鑑別することは難しいです。ワクチン接種歴があることもあり、大病院でも私が一人麻疹だと臨床診断しても採血結果がでるまで信じてもらえず、抗体の結果がでてあわてて個室に移動してもらった記憶があります。
2度目のブースター効果を期待しないと、せっかく打った一度目のワクチンの効果が切れてしまうことがあるのです。

2011年5月9日

日焼け止めのお話

5月から6月にかけては一年の中でもっとも紫外線量が多い時期なのはご存知ですか。暑い夏がピークではないんですね。日光は疾患にも関係します。例えば、紫外線によりアトピー性皮膚炎など悪くなることもよく知られており、この時期に日焼け止めをよくお勧めします。
日焼け止めにも多くの種類がありますし、個人個人で合わない事もよくあります。気になる方はご相談ください。


2011年3月19日

当院での予防接種 4月1日から

4月1日以降より当院で受けることができる定期予防接種(公費負担あり)は、麻疹・風疹混合ワクチン、麻疹単独ワクチン、風疹単独ワクチン、任意予防接種ではHibワクチンと肺炎球菌ワクチンになります。子宮頸がんのHPVワクチンは現在サーバリックスが日本で認可されておりますが、当院では行いません。これはガーダシル待ちのためです。その他の任意予防接種に関してはご相談お願い申し上げます。

2011年3月14日

計画停電(輪番停電)につきまして

停電中も可能な限り診療をさせていただきますが、レーザーなど一部の医療機器は停電中使用できません。会計処理なども停電復旧後とさせていただきますので、ご不便をおかけすると思いますが、よろしくお願い申し上げます。

2011年3月11日

夜間救急診療につきまして

本日東北沖での地震により、栃木市以北での大規模な停電など生じております。当院では幸いなことに現在停電の被害など生じておりません。当院の200m北から停電が生じているようです。本日夜間から明日朝までの落ちてきた家具による裂創など当院で処置いたしますので、当院にご来院の際には、建物裏のインターホンを押してください。乱筆失礼いたします。

2011年3月11日

退任記念式典

昨日恩師である獨協医科大学皮膚科学教室主任教授がご退任され、宇都宮で記念式典が行われました。大学病院に皮膚科を開設して以来の33年間もご尽力されたそうで、私はその1/3しかまだお付き合いがございませんが、色々勉強をさせていただきました。言葉もさることながら、その向き合う姿勢など人間性を含め、今も尊敬しております。大学病院にいるときに医局で検討した組織の全データを開設時から当時まで統計を取り、まとめたことがあります。膨大な数でしたが、教授や医局の実績を考えるにとても感慨深いものがありました。私も一人一人と向き合い、一歩一歩進んでいきたいと思っております。

2011年3月7日

伝染性紅斑が流行しております


昨年末から今月にかけて、いわゆる “リンゴ病” のお子さんを診る機会が何度かありました。日本では妊婦の方しか伝染性紅斑の採血検査は保険適合がなく、麻疹IgM抗体が弱陽性を示すこともあり、また麻疹と異なり不顕性感染も多いため、典型的な臨床症状でないと診断が難しいこともあります。といっても、教科書的な対処法はウィルス感染なので安静にすること、水分補給に留意することくらいで臨床皮膚科医会は登校・登園も問題ないとしております。

2011年2月12日

ジェネリック(後発品)使用につきまして

以前も取り上げられたことがありましたが、生活保護を受けている方へのジェネリック使用を促進させ、使用しなかった場合の生活保護受給資格を剥奪する可能性もあるとのことが報道されました。目先の医療費を減らすためのこういった政府の指導方針とは反して、日本ジェネリック協会によると、ジェネリックを希望する患者さんは以前は50%ほどありましたが、現在は30%台にまで減少しています。まずは日本のジェネリック薬の質を上げるように促すのが政府のやるべき方針ではないでしょうか。日本のジェネリックは差がありすぎておススメできないものもあります。

2011年2月11日

子ども予防接種週間3月1‐7日

入園・入学前の子どもを対象に予防接種の促進を図るため、日本医師会と日本小児科医会、厚生労働省は、3月1‐7日を「子ども予防接種週間」として、集中的に予防接種を実施するよう報道がありました。個人的には子供の予防接種を定期化もさることながら、ワクチン世代になった今の成人(抗体価が低い方)への2回目以降のブースターをおすすめしたいところです。具体的には、粟粒結核予防や成人発症の麻疹・風疹などです。成人麻疹や成人水痘などは小児に比べて重症化しやすく、大学病院にもよく入院していました。水痘や結核などの二度目のワクチンはは公費負担ではありませんので、現時点では子供の麻疹や子宮頸がんワクチン(多価のもの)が自治体で推奨されるものでしょう。

2011年2月7日

花粉症とOAS

本日の講演は花粉症とOASを予定しております。今年は猛暑の影響もあり例年よりスギ花粉など多く飛散する予報があります。敏感な方ですともう感じているのではないでしょうか。TVのCMでも流れているように、花粉飛散前から予防しましょうというのが最近の医療の流れです。市販品も鼻に塗るクリームであったり、今までにないタイプの予防グッズも多く出回っています。予防医学という観点からも早めの対策をお薦めします。

2011年1月4日

年始のご挨拶

あけましておめでとうございます。日進月歩、医療は発達しております。今年の注目は経鼻のインフルエンザワクチンやT-705でしょうか。多剤耐性菌なども益々多くなると思われます。皮膚科は昔から感染症と出会うことが多く、自分で培養したりする感染症に造詣の深い先生方も多いです。例えばある病院ではAIDS患者さんの大多数が初診で皮膚科に来院されるといったデータもあります。世界的に一番多い死因はやはりまだ感染症です。細菌、ウィルス、真菌、寄生虫、様々な感染症があります。一期一会とはいえ、あまり出会いたくない相手といえます。

2010年12月31日

大晦日

今年も残すところあと数時間となりました。皆様、来年の準備はできていますでしょうか?
まだ開院して2か月しか経っていませんが、大掃除、棚卸とすでに大変なことになっております。スタッフの皆さん、お疲れ様です。また今年、医療連携につとめてくださった近隣の先生方と大学病院の先生方に感謝いたします。
皆様により一層のご健勝をを賜るようお願いし、年始の挨拶に代えさせて頂きます。


2011年12月27日

院内講演会のお知らせ

皆様、こんにちは。当院では定期的に院内講演会を実施しております(毎月第一月曜日の午後14:30から15:00)。

1月の内容は                 2月の講演予定は変更する可能性がありますが
・薬学研究会   1月17日          ・花粉症とOAS口腔アレルギー症候群    2月7日
                       ・永久脱毛について            3月7日
                       ・疥癬について              4月4日
を予定しております。

2010年12月25日

クリスマス!

皆様こんにちは。今宵はクリスマス。百貨店では色々なクリスマスケーキが並んでいました。日本ではあまり馴染みがないですが、丸太のケーキが私は好きです。人数分取り分けるのが簡単だったりしますので。しかしながら丸型のケーキで大きい、小さいがあった方が子供たちには良い経験になるかもしれません。とちおとめのイチゴを兄弟で取り合ったり仲睦まじい(争っている本人たちは必至ですが)光景も楽しめそうです。私は、留学中に友人たちとともにイタリアの教会で迎えたクリスマスが特に印象に残っています。それではみなさん、
Bon natale!

2010年12月22日

問診票の記入につきまして(
問診票ダウンロードはこちら)

予約をした上で当サイトの問診票を印刷していただき、余裕をもって記入していただいてからご来院していただくのが、一番スムーズに診察を受けられます。『直接伝えるからいい』といわれる方もいらっしゃいますが、できるだけ記入を宜しくお願い申し上げます。
今のところそれほど混雑していないため、時間をかけて対応できますが、夕方など徐々に混雑してきますとご本人様の訴え以外を診れなくなる可能性があるからです。昨日も首や体がかゆいとのことの問診の上で、診察いたしました。首を診て、体を診て、違和感を覚え他の部位も診せていただきました。『しもやけがよくできるんです。』そうおっしゃる方に案の定と感じました。一通り診察を終え、お話してみました。
「●●病といわれたことはありませんか?」
『△大学病院にかかっています。』
お願いします。問診票に記入をしておいて下さい。
先生によっては、情報を伝えてもらえないことを「治したくないのか?」と感じて嫌がる方もいますし、他の疾患と関係があるものも多くあるため、ご本人様の訴えだけを診ると見落とす可能性がでてきてしまいます。

2010年12月16日

トナカイ!?

皆様、おはようございます。街はイルミネーションに彩られ、クリスマスシーズンが近付いてまいりました。皮膚科をしていると、季節ごとに色々な動物による被害をみることがあります。例えば、蜂に刺された人、ヒルに咬まれた人、マダニに刺された人、クマに噛まれた人、県北にいた時には、シカに噛まれた人というのもいらっしゃいました。それぞれ対処が異なりますし、創傷治癒の観点から、傷の治りが悪い方などご相談して頂きたく思います。


2010年12月10日

医療連携につきまして

皆様、こんにちは。先日勉強会で栃木県内の他の皮膚科の先生方とお話しができる機会があり、とても有意義な時間を過ごせました。近傍の皮膚科の先生は素晴らしい先生方ばかりなのですが、あまり他科先生方からのご紹介がないとのことでした。皮膚疾患は他の疾患と関わることも多いため、大学や中核病院ではお互いに紹介する機会も多く、気軽にご専門の先生に診て頂くことが多かったです。例えば、先週も 『 糖尿病 と 皮膚 』 という院内講演会を行いました。既往歴も重要になりますので、当院を受診される際には薬手帳など持参していただけると助かります。
小生も連携をもっと密にとれるように頑張っていきたいと思います。

2010年12月8日

アレルギーの検査

皆様、こんにちは。今年は猛暑の影響もあり、例年より広大な紅葉狩りを楽しむことができます。一斉に色の変わったイチョウ並木など静観ですね。気を付けていただきたいのですが、イチョウでかぶれたことはありますか?銀杏を取っていた手が赤く腫れ上がることなども同じです。こういった皮膚など体に影響を及ぼす成分を抗原といいます。そしてこの抗原はその形が似ていることから、交差感作といい、他の抗原でも反応するようになっていきます。例えば、イチョウ→ウルシなどです。ウルシなんて触らないという人もいるかもしれませんが、ウルシ科の食物もあるんですよ。さらに花粉症、フルーツ、ラテックスなどの交差感作が有名です。アレルギー・マーチといいますが、例えば小さい頃に喘息を持っている子供はアトピー性皮膚炎や花粉症など併発しやすくなります。だからこそ早めに自分が反応してしまう抗原を調べる必要があります。採血も意味のあるものを選んで行う必要があります。当院ではその他にも、金属アレルギーはもとより日本接触皮膚炎学会が提唱する日本人に多い抗原を調べるスタンダードパッチテストも保険診療で行うことができます。

2010年12月7日

AGA

皆様、こんにちは。AGA診察カードをお持ちいただくか、問診票にAGAと記載していただければ、即診察を受けることが可能です。内服薬は自費扱いとなりますので、各医療機関で値段が異なるのが実情です。1ヵ月で1万円くらいが相場でしょうか。かなりお詳しい説明もできますので、金額も含めまして詳しくは当医院までご相談ください。またネットではこの薬剤の偽物も多く流れておりますので、ご注意を。
http://aga-news.jp

2010年11月29日

低温やけどにご注意を!

皆様、おはようございます。朝露の霜がおりているのをみると、今年も寒くなってきたことを実感しますね。ここ数年、低温やけどになる方が増えています。こたつを入れっぱなし、カイロをじかに体に貼っていてなど、高温と違い低温だと気づきにくいために、長時間あたる可能性があり、結果として深いやけどの傷になることがあります。ちなみに皮膚の中の表皮全体に不可逆的変化をもたらすのは44℃で6時間。そこから51℃まで1℃につき半分の時間で生じるようになります(つまり45℃で3時間、46℃で1時間半、47℃で45分、48℃で22.5分、49℃で11分、50℃で5.5分、51℃では2.75分)。この季節に熱いお風呂に入りたい気持ちは分かりますが、くれぐれも気を付けてくださいね。

2010年11月27日

医薬品副作用被害救済制度をご存知ですか?

皆さん、おはようございます。最近ようやく高額療養費制度が周知され、利用者が増加しております。一方、治療や診断などで薬害を受けた方に対してこのような制度があるのをご存知ですか?遺族年金、障害年金などといった言葉は聞きなれているかもしれませんが、それ以外にも医療手当、医療費が返ってくる制度です。以前は山のような申請書類が必要で、必要な検査が足りなくて申請が通らないこともありましたが、現在は徐々に簡素化してきております(それでも20枚以上の書類記載など面倒なのですが)。平成20年の年間利用者は900人ほどでした。薬剤のアレルギーなどを診る機会が多かったので、何人か申請させていただいております。もちろん、正確な診断、検査、治療が必要となりますので、副作用かなと疑われる場合にはご相談ください。

2010年11月23日

レーザー機器につきまして

皆様、こんにちは!
当院にあるレーザーはロングパルスアレキサンドライトレーザーと炭酸ガスレーザーです。
冷却ガスと同時に照射されますので、痛みは最小限で済みます。

他のレーザー脱毛などで効果が低かった方や満足のいかなかった方など、気軽にご相談ください。


2010年11月20日

アクセスにつきまして

皆様こんにちは!
当院は栃木市の南、大平町の中心部に位置しており、町循環バスの通り道です。カンセキさん前でご降車していただければ、お隣ですのでご利用しやすいかと存じます。お車で来る場合には駐車場も20台以上完備しております。一つ一つが利用しやすいように広めのスペースとなっております。
毎月第一月曜日の14時半から15時まで、当院で講演を行っておりますのでお気軽にご利用ください。


休診日/木曜日午後・日曜日・祝日
※第1,3土曜日午後は特別外来になります(予約制)
第2,4,5土曜日は休診日となります。

携帯電話からのアクセスは上記のQRコードを読み込むか
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